「マイ・ブラザーズ・ウェディング」
いわゆるインディーズ映画ですが、これという大事件が起こるわけでもない中で、黒人社会の現実を、的確なカットつなぎとスピーディな展開で映像に仕上げて行く手腕は大したもので、見終わって振り返ると、ちょっとした映画だったという気がする一本でした。監督はチャールズ・バーネット。
黒人男性のクローズアップから映画は幕を開ける。クリーニング店で働く真面目な青年ピアースは、漠然とした日々を送っている。弁護士の兄は裕福な女性と結婚することが決まり、ピアースは居心地の悪さと劣等感を感じ始めていた。そんな時、親友のソルジャーが刑務所から出てくる。しかし、出所して間もなくソルジャーは亡くなってしまう。
葬儀の日程を決めたもののその日は兄の結婚式だった。結局、両方同じ日に行うことになり、ピアースは板挟みになりながらも、それぞれに関わることになる。こうして映画は終わる。
黒人コミュニティ内の階級差、貧富の差、若者たちの苛立ちを、ハイスピードなカット繋ぎで描いて行く。その映像表現の上手さに何かを感じられる一本でした。
「キラー・オブ・シープ」
特に一貫したストーリーがあるわけでもなく、黒人社会の姿を、ドキュメンタリータッチの筆致で物語を語って行く映像作品。カットの切り返しと、細かいエピソードの積み重ねで描きたいメッセージを映像にして行く様がなかなかの見どころの一本でした。監督はチャールズ・バーネット。
1970年初頭のロサンゼルス、一人の黒人の子供が父親に叱られている。弟がやられているのに、助けなかったことで責めている。まず、このオープニングに、舞台となる黒人社会の現状が映し出される。妻と子供たちと平穏に暮らすスタンの家族が描かれるが、その周囲に絡んでくる様々な人たちの姿に、独特の社会を垣間みせられる。決して裕福でもなく、まるで題名の羊たちの群れの如しである。
スタンは羊の屠殺場で働いているが決して裕福ではない。日々の労働で肉体的にも精神的にも疲れ果て、楽で稼げる仕事はないかと探すも、友人たちは、犯罪まがいの話ばかり持ってくる。そんな中で、孤独感に苛まれていく妻。それでも子供たちは精一杯元気よく遊んでいる。映画は、そんなスタンの周りの姿を細かいシーンの連続で描きながら、黒人社会のありのままを映像として見せてくるが、カメラアングルもカメラワークも実に美しい。映画は、そんな現状を捉え、そのまま幕を閉じる。
作品の中身は非常に充実感のある作りで、そこにある何者かを見終わって感じ取るとことになる作品だった。