くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「ソング・サング・ブルー」「これって生きてる?」

「ソング・サング・ブルー」

これはいい映画だった。ミュージシャンの話なので音楽シーンが圧倒的に多いのだがドラマ部分がしっかり描かれているので、物語が非常に厚みを帯びてきて、さりげなく配置された脇役の存在感もひかり、主人公たちが引き立ってくるのがとにかく素敵。ニール・ダイアモンドの曲はほとんど無知なのですが、それでも画面から溢れてくる名曲の数々に引き込まれてしまう。ケイト・ハドソンとヒュー・ジャックマンの熱演も相まって映画が盛り上がってきます。本当にいい映画だった。監督はクレイグ・ブリュワー。

 

マイクがギター片手に断酒会で歌っている場面から映画は幕を開ける。ニール・ダイアモンドを崇拝し、自らライトニングと名乗って稲妻のロゴを背中に描いて、トリビュートミュージシャンとして、有名な歌手をそっくりに真似て歌うことで生計を立てていた。この日も、友人に頼まれて仕事に行くが、自分が望む歌が歌えなさそうだからと、その場で仕事を断ってしまう。その現場でクレアという同じくトリビュートミュージシャンと出会う。音楽に対する考え方が一致した二人は意気投合し、二人でニール・ダイアモンドのトリビュートバンドとして歌うことを計画、完璧な演出でその場を盛り上げることを考えて、友人たちも参加して練習を始める。

 

小さなガレージからスタートした二人はやがて話題になり、街の人々の心を掴んで、人気ミュージシャンの前座を務めるまでになる。マイクの娘アンジー、クレアの娘レイチェルと息子のデイナも彼らを応援するようになる。ところが、家の前に花を植えていたクレアのところの車が突っ込みクレアは重傷を負って左足の膝から下を失ってしまう。駆けつけたマイクは、気が動転して持病の心臓発作を起こすが、レイチェルに助けられる。

 

手術も終えて義足のリハビリを始めるはずのクレアだったが、精神的に不安定になり薬の副作用もあって、マイクとクレアは頻繁に衝突するようになる。ステージの仕事もなくなり、マイクはタイレストランで司会の仕事やカラオケで歌う仕事などを始める。間も無くして、クレアは幻覚を見るようになり、とうとう精神科の病院へ入院してしまう。そんな頃、レイチェルが妊娠する。

 

彼氏と別れたレイチェルは、子供を養子に出すことに決めたと言い、証人としてクレアになって欲しいと言う。クレアは、ようやく自信を取り戻し、退院してレイチェルの証人となり、義足のリハビリも積極的に始めて、マイクとステージ復帰を目指すことにする。そしてライトニングアンドサンダーは見事返り咲き、再び話題になる。やがてリッツの大ステージでメインの仕事が入る。しかも、その日はニール・ダイアモンドのコンサートでもあった。本物の向こうを張ってのトリビュートミュージシャンのステージ、しかもニール・ダイアモンドがステージ終了後マイクらに会いにくるというのも決まる、

 

舞い上がるマイク達。クレアは先に劇場へ向かい、マイクはレイチェルの車で後から駆けつける予定だったが、化粧室でマイクは心臓発作で倒れかけてよろめき頭を強打して倒れてしまう。何とか起き上がるもふらふらだった。それでも気を取り直して劇場へ向かい、周りに隠してクレアとのステージを最後までこなす。そしてニール・ダイアモンドがやってくるアイスクリームショップにやってきたが、マイクはそこで息を引き取ってしまう。

 

葬儀の場、クレアはニール・ダイアモンドの曲を絶唱する。デイナがマイクが生前に撮っていたホームビデオを見て、マイクの歌う姿をみんなで見て映画は終わる。

 

とにかくドラマ部分が実によくできていて、マイクの友人の存在感、子供達の姿は映画を生き生きと盛り上げてくるから良い。よくできた映画というのはこういうふうに隅々まできっちり描いたものではないかと改めて納得してしまう一本だった。

 

Song Sung Blue

Song Sung Blue

  • Neil Diamond
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「これって生きてる?」

面白い作りの映画なんですが、少々終盤がくどい。ラストへの流れが読めてくるあたりで、再度引き戻すような流れにしたのはちょっと勿体無い。それでも、クローズアップと手持ちカメラを繰り返した個性的なカメラワークと、実話とはいえ、構成の工夫の面白さを楽しめる映画だった。監督はブラッドリー・クーパー。

 

中国の獅子舞を見る子供達に混じって一人の男アレックスにカメラが寄っていって映画は幕を開ける。アレックスと妻のテスは、別居する計画をしている。そんな両親の様子に子供達も気づいている。二人の子供はアレックスの元で暮らすようになる。テスと距離を置いたアレックスは、夜の街を彷徨い、コメディクラブの前に来るが金がない。オープンマイクでステージに立つなら金はいらないと言われ、訳も分からずステージに立ち、妻との事を語ると何故か笑いをとってしまう。

 

以来、アレックスは、ことあるごとにステージに立ってこれまでの私生活を話すことで客に喜ばれることに酔い始める。次第にトークも上手くなり、同じような芸人達とも親しくなり始める。一方、妻のテスはかつてバレーボールのオリンピック選手だった。そんな彼女に二年後のオリンピックに備えてコーチとして参加しないかという声がかかる。

 

アレックスの友人で役者を目指すボールズとその妻クリスティーンとも付き合いを続けていたが、彼らもまた中年夫婦の危機に陥っていた。テスはある夜、コーチに誘ってくれたレナードと一緒にコメディクラブに立ち寄り、アレックスのステージを見てしまう。アレックスはたまたま、先日、芸人の一人の女性とSEXをし、それをネタにしていた。ステージの後、テスを知っている芸人からテスが来ていた事を知ったアレックスは店の外でテスに声をかける。テスはステージに立つアレックスをセクシーだと言い、その夜二人は久しぶりにSEXをする。そしてこれから秘密に会うことにする。

 

毎年恒例でボールズ夫婦の別荘に誘われたアレックス達は、お互いの関係を隠しながら毎夜合い挽きまがいのことをするが、アレックスが、テスの現役時代の背中を向けてジャンプする写真をポスターにした事を告げると突然テスの機嫌が損なわれる。訳も分からず、ステージで言いたい放題のことを言ってしまうが、そのステージに父親が見に来ていた。

 

落ち込むアレックスの元にボールズが遊びに来る。そしてテスのポスターを見て、何故こちらを向いていない写真じゃないのかと責められ、アレックスはようやく自分の間違いに気がつく。この日、テスは自宅でコーチ会議をしていたがアレックスが訪れ、こちらを向いている写真を見せて、これからは一緒に不幸になろうと告白するとテスの顔が緩む。こうして映画は終わる。

 

終盤の展開が少しくどいので奇妙なくらいに長く感じてしまう。面白い作りの、面白い構成の映画なのだが、ボールド夫妻のエピソードをしつこく繰り返したのと、子供達の立ち位置が今ひとつうまく機能していないのがちょっと勿体無い。でも、個性的な味わいの映画だった。