「ARCO アルコ」
アカデミー賞にノミネートされたというのでどの程度かと見に行ったけれど、アニメ技術はそれほどでもないし、絵の独創性も普通、ストーリー展開も何処かで見たような雰囲気の作品だった。先日見た同じくノミネート作品「アメリと雨の物語」とは雲泥の差の一本でした。監督ウーゴ・ビアンブニュ。
近未来、雲の上で暮らすアルコたちの家族の姿から映画は幕を開ける。虹の姿のようになって時間旅行ができるこの時代の人々は、様々な時間旅行を楽しんでいた。この日、アルコの両親と姉らは、時間旅行から帰って来たが、そんな両親を羨むアルコだった。時間旅行は十歳のアルコにはまだ認められていなかった。でもどうしても恐竜を見たいと思ったアルコは、家族が寝静まってから姉のマントを借りて一人で時間旅行に出かける。
気候変動により荒廃した2075年、この日も嵐が吹き荒れ、各家はドームのようなもので守られて生活していた。両親は遠く離れた街で仕事をし、子育てロボットミッキと暮らすイリスは、翌朝、不思議な虹の物体が森に落下するのを目撃する。行ってみると一人の少年が倒れていた。少年は時間旅行がうまくいかず、不時着したアルコだった。イリスはその少年を家に連れ帰り、ミッキに治療してもらう。一方で虹の物体を謎の三つ子も目撃していた。彼らは幼い頃、同じものを見て、じっと追い続けていた。
目覚めたアルコは、時間旅行のためのダイヤクリスタルがなくなっているのに気がつく。イリスは、おそらく森で出会った三つ子が持って行ったのだろうと推測する。クリスタルなしで飛ぶのをアルコは試してみたが光を集められずできなかった。イリスは両親に相談するが両親は、アルコが未来からきたことを信じず警察に連絡してしまう。イリスはアルコを連れて家を出るが、その後を三つ子も追いかけて来た。
イリスらは学校へ逃げ込み、三つ子も学校へやって来る。三つ子は、自分たちがかつて虹を見たことを話し、あっさりとクリスタルをアルコに返す。折しもそばで山火事が起こり、火が迫ってきた。学校まで警察が迫ってきたので、イリスとアルコは森に逃げる。その頃、ミッキはイリスたちを助けるべく学校にやって来る。そして燃える山に逃げたイリスたちを助けて洞窟に逃げ込むが、ミッキは壊れかけてしまう。それでも必死で過去の記憶を洞窟に彫り、やがて命が尽きてしまう。
イリスとアルコはミッキに別れを告げて洞窟を脱出すると、そこにたくさんの虹がかかり、アルコの両親らが現れる。ミッキが彫った洞窟の絵を見てアルコがこの時代にいるのがわかったのだという。しかし、両親らはアルコが家を出た時から年を取っていた。アルコを探して様々な時代を行き来しているうちに時が流れたのだという。家族はイリスに別れを告げて帰って行く。やがてイリスも大きくなり、かつてアルコに教えられた木の上の家のデザインを手がけるようになる姿で映画は幕を閉じる。
要するに時間テーマの作品ですが、イリスが学校へ逃げる際に突然現れるイリスを好きなクラスメートのクリフォードや、三つ子の存在感、ミッキとイリスのエピソードなど、傍のエピソードの扱いに妙に力が入っているので、アルコのドラマが希薄になってしまっているのは残念。決して出来がいいように思え得ないので、アカデミー賞ノミネートは全く納得できない作品だった。
「SAKAMOTO DAYS」
たわいない映画ですが、例によって福田雄一ワールド全開に進んで行くのは楽しかった。ただ、主演の目黒蓮ら主要な役者が力不足で、伝説のと言われるほどの迫力と笑いのツボがつかめていない事もあり、アクションのキレばかりに力が入ってしまい、緩急が描き切れていないので、もっと面白くなるのにという一歩手前で全部終わってしまったのが残念。とはいえ、二時間近く気楽に楽しめたから良いとしましょう。上戸彩もコミカルな演技で楽しかったし十分面白かった。
プロの殺し屋からも憧れられる伝説の殺し屋坂本太郎の紹介から映画は幕を開ける。ところが、コンビニで葵と出会い一目惚れ、葵の願いで殺し屋を辞めることを条件に結婚、子供もできて平和な家庭が築けた物の激太りした坂本太郎の姿になって本編へ。今や坂本商店の店長となった坂本太郎だが、彼に10億円という懸賞金がかけられたことがかつての相棒で人の心が読めるエスパーシンによって知らされる。
世界中から懸賞金目当てに坂本太郎に襲いかかって来る殺し屋を迎え撃つシンと坂本太郎。今更殺し屋連盟が坂本太郎を裏切り者として襲って来るのはどこかおかしいと感じたが、背後に懸賞金をかけた謎の人物が浮かび上がって来る。こうして、坂本商店のバイト陸ら個性的な仲間が襲いかかるこれまた個性的な殺し屋と対峙して行く。そして見えて来るシンの過去、さらに殺し屋連盟の上層部の姿などが入り乱れて、あとは、原作の色々を交えながら、福田雄一ばりのコミカルシーンとアクションが繰り返されて、最後は、シンの恩師を助け出し、謎の黒幕が明らかになってエンディング。
福田雄一の常連もちらほら顔を出し、お決まりのスマホネタも飛び出し、全編、軽いタッチとコミカルな展開で流れて行くのですが、そんな福田雄一色を感覚で身についていない主要な役者陣が今ひとつ生きてこなくて、やや不完全燃焼気味な場面もちらほらしたのは勿体無い。まあ、面白かったけれど、もっと面白くなるだろうにと思う映画だった。

