「許されざる者」
さすがに、年代を感じさせる作品で、インディアンと開拓民であるアメリカ人との確執を勧善懲悪で割り切って作っているので、いま見ればメッセージが見えなくなってしまった。といっても、映画としてはしっかり作られた娯楽映画であることに変わりはなく、それはそれで名作の域に達している一本だと思います。監督はジョン・ヒューストン。
テキサスで牧場を営むザカリー家、その長だったウィリアムの墓が映されて映画は幕を開ける。この家に住むレイチェルは、捨て子だったが、ウィリアムと妻マチルダに育てられて立派な娘になっていた。この日も、愛馬に乗って草原に繰り出すが、そこで、サーベルを下げたケイシー老人と出会う。不気味なケイシーの姿にマチルダは不安を覚える。
間も無くしてウィチタに行っていた兄ベンとキャッシュ、アンディらが帰って来る。レイチェルはベンをことの外慕っていた。近隣の牧場主ゼブ・ローリンズはベンを信頼し、一緒に六千頭の牛を引いて仕事をしようとしていた。さらに長男チャールズの嫁にレイチェルを望み、長女ジョージアをキャッシュの嫁にと考えていたら。しかし、レイチェルは密かにベンを愛していた。ある日、レオチェルの愛馬が盗まれる。どいやら犯人はケイシーだと思われた。
そんな頃、ケイシーは、レイチェルがインディアンの娘であるなどという噂を言い始める。さらにカイオワ族のロスト・バードがザカリー家を尋ねて、レイチェルは自分の妹だから引き渡して欲しいとやって来るが、ベンはきっぱりと断る。ある夜、チャーリーはレイチェルに求婚し、ベンらも認めた帰り、カイオワ族に殺される事件が起こる。ゼブの妻は、レイチェルがインディアンだから悲劇が起こったと非難する。
ベンは男たちを連れてケイシーを捉えに行き、ゼブの前に引き出す。ゼブの問いかけにケイシーは、レイチェルは、ウィリアムがカイオワ族から奪った子供だと宣言したが、直後、マチルダがケイシーが首に縄を巻かれまたがっている馬を蹴り出し、ケイシーは首をくくられて死んでしまう。ゼブは、ベンにレイチェルをカイオワ族に引き渡さないなら、事業の共同関係も解消するというがベンは引き下がらず、レイチェルらを連れて家に返る。しかしキャッシュはインディアンの娘と一緒は嫌だと言ってザカリー家を出て行き、ジョージアのところへ行ってしまう。
ベンらはカイオワ族が襲って来る事に備えて家にこもる。一時、レイチェルは、カイオワ族の元へ行こうとしたがベンが引き止める。さらにカイオワ族の平和の使者をベンが殺すようにアンディに指示したことから、ザカリー家とカイオワ族との争いが起こってしまう。襲いかかるカイオワ族を迎え撃つベンたちだが、マチルダは撃たれて重傷を負い、弾も尽きてくる。さらにカイオワ族はベンらの家に牛を放って、ベンは家に火をかけて追い払うが、家は燃え崩れてしまう。死を覚悟したベンたちだが、そこへキャッシュが駆けつけてきてカイオワ族を蹴散らし、さらにレイチェルの目の前に迫ったロスト•バードをレイチェルが銃で撃ち殺してしまう。やがてカイオワ族は引き上げ、ザカリー家は落ち着いて映画は終わって行く。
インディアンが悪でアメリカ人が善であるという構図に、民族間の争いへの疑問や変わりゆく人々の考え方の変化を描いた作品だとおもうが、ややそのメッセージは迫力にかける気がする作品だった。
「サンキュー、チャック」
シュールなファンタジーという感じの一本で、SF色で始まるオープニングからホラーチックになって、最後は人生の物語を哲学的に締めくくる、本当にスティーブン・キングという人はすごい才能やなと思ってしまった。監督はマイク・フラナガン。
第三章、ハイスクールのマーティの教室、一人の生徒が前で詩を披露しているが、女学生がネットで災害のニュースを見つける。外には緊急車が走り、間も無くネットも通じなくなり、教師のマーティは世界がみるみる崩壊して行く姿を目の当たりにして行く。そんな街に「サンキュー、チャック」の看板が目につく。彼のところに、元妻のフェリシアから電話が入る。交通は遮断されて車も使えず、近所の人たちも絶望の中に放り込まれている。マーティは夜、フェリシアを尋ねるが、途中でローラースケートをする少女に出会う。次の瞬間、町中停電し、家々の窓にチャックの映像が映る。フェリシアを尋ね、二人で夜空を見上げていると、北極星が消え、次々と星がなくなって行く。三十九歳のチャックは、妻らに看取られベッドに横たわっていた。
第二章、有名音楽スクールを辞め、独学でドラムを覚え、路上ライブをするテイラー。会計士風の姿のチャックがその前を通りかかり、カバンをおいて踊り始める。そこへ、彼氏にふられて人生のどん底の女性が参加して一緒に踊り、通りの人たちを魅了、二人はテイラーらと夕方まで過ごしてやがて別れて行く。
第一章、幼き日のチャック、両親が事故で亡くなり祖父母と暮らす日々になる。その家の階上には円形の部屋があり、そこは入ってはいけないところだと鍵がかかっていた。優しい祖母のサラは料理の合間にダンスをし、それをチャックは覚えて行く。やがてサラは、パンを買いに行って店で亡くなってしまう。チャックは学校でダンスの才能を発揮し、ダンスクラブの少女とダンスをする。脳腫瘍で余命いくばくも無くなったチャックは妻にその思い出を語る。
円形の部屋が気になるチャックは、祖父のアルビーが酔いつぶれているときに鍵を取り部屋を開けるが、すんでのところでアルビーに見つかり、追い出される。その時、アルビーは何かを見て驚く。間もなくしてアルビーは心臓発作で亡くなる。遺産を継いだチャックは、祖父母の家に住み、受け継いだ祖父の鍵で円形の部屋に入ると、ベッドに横たわる自分に出会うが、すぐに消えてしまう。チャックの中には無限の宇宙が広がっているというナレーションの中映画は幕を閉じる。
カール・セーガンの宇宙カレンダーが物語の核のように何度も出てきて、人間の人生がほんの一瞬であることを示唆しているかに見える一方で、頭の中に広がる無限の宇宙というエピソードも出てきて、さらに主人公が脳腫瘍という設定など、非常に哲学的な表現が散りばめられている。スティーブン•キングの短編が原作ということなので、行間を読んで楽しむ作品なのだと思うが、これが映画の面白さと言わんばかりの映像の数々を楽しめる一本でした。
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