「ビッグ・リボウスキ」
やりたい放題に脚本を書いて、やりたい放題に演出していったクソ野郎達の支離滅裂な映画なのだが、見終わってみると、なんか癖になってしまう面白さがある。シュールで下品で、エロティックで、それでいてめちゃくちゃ、そんな個性の塊のような映画だった。監督はジョエル・コーエン。脚本はコーエン兄弟である。
リボウスキという自分の名前が気に入らなくて、デュードと自称している田舎町に暮らす男がスーパーで牛乳を買って家に帰ると、訳のわからない男達に突然拉致され、借金をした嫁の金を返せと言われるわ、便器に顔を突っ込まれるわ、絨毯に小便されるわ、されて映画は幕を開ける。しかし、デュードが独身だと知って人違いとわかりあっさり出ていってしまう。
デュードは、ボウリングチームの仲間でベトナム帰りのウォルターと、存在感のないドニーに打ち明けると、それなら本物のリボウスキに詰め寄って金を要求しろとけしかけられる。デュードは、早速大金持ちのリボウスキの所へ行くが、車椅子に乗った大富豪にけんもほろろに追い返される。ところが後日、その大富豪の妻バニーが誘拐されたから、その金を受け渡す役をしてほしいとデュードに連絡が来る。
訳もわからないまま、デュードは金を預かって、犯人からの電話を待ちながら車で受け渡し場所に行こうとするが、勝手に乗ってきたウォルターは、偽の空鞄を渡して、犯人を撃ち殺し、金だけもらおうと提案して強引にことを進める。犯人から、橋の上から金を投げろと言われ、ウォルターは勝手に空鞄を投げて、犯人は気づかずにそれを持って逃げるが、後から、バニーの指を切り落としたという脅しの手紙が大富豪の下へ届く。デュードはこれは狂言誘拐ではないかと疑い始める。
そんな時、大富豪の娘でヴァギナ芸術などと言っている前衛芸術家モードから連絡が来て、大富豪のリボウスキには金は無く、全て財団の金で、リボウスキは、金欲しさに狂言誘拐を企てたのではないかと言う。妙な展開に困惑するデュードに、ポルノ映画界の大立者ジャッキーから呼び立てられる。デュードは自分の推理が当たっていたらしいと思ったが、ニヒリストと名乗る犯人一味は執拗にデュードらに襲いかかってくる。
ボーリング場で大乱闘したが、そこでドニーは心臓麻痺で死んでしまう。デュードとウォルターは、ドニーの骨を散骨し、何事もなかったかのようにボーリング場で過ごすデュード達、ここで出会ったカウボーイの爺さんのセリフで映画は終わる。
とにかく、好き放題のストーリー展開と、次々と出てくる新キャラクターに翻弄されながら、シュールでお下品な映像が散乱する様に放り込まれてしまう作品で、個性が爆発するような作品だった。
「ボーイズ・ゴー・トゥ・ジュピター」
芸術作品という感じの3Dアニメで、ストーリー展開はシンプルながらよくわからないけれど、妙な空気感のあるアニメーションが楽しい一本でした。監督はジュリアン・グランダー。
フロリダの浜辺でこの町で暮らす若者ソバカスやピーナツ、ビリー達の姿から映画は幕を開ける。高校を中退し、姉の家のガレージで暮らすビリーは、フードデリバリーで生計を立て、5,000ドル稼いでこの街を出るのを目標にしていた。ある時、ジュース業界の女王ドクター・ドルフィンの果樹園に配達に行ったビリーは、ドルフィンの娘で、同じ学校だったローズバッドと出会う。ローズバッドは、ビリーにこの果樹園の秘密を教え、新種のレモンをプレゼントする。
ビリーは、郊外にピザを配達しに行ってゴルフボールをもらったり、いつのまにかバッグの中に忍び込んだドーナツのようなエイリアンと出会ったりする。いつもスパゲッティを配達する家には、謎のエイリアンが住んでいたが、ビリーが知るわけがなかった。ドルフィンは消えたレモンがビリーが盗んだ事を突き止める。ドルフィンの果樹園の地下には、謎の生き物がいて、その生き物が、ドルフィン果樹園の繁栄を生み出すアイデアをドルフィンに与えていたが、最近は業績も良くないのでドルフィンはクビになってしまう。
ビリーは、ドルフィンから、ドーナツを引き渡す代わりに5,000ドルの報酬を約束されていたが、ビリーはすんでのところで、引き渡すのをやめる。その帰り車に轢かれそうになるがドーナツに助けられ、森に連れて行かれる。そこに、あちこちにいたエイリアンが集まり、新しく未来を作ろうとビリーも誘われるが、結局ビリーは勇気がなかった。こうしてビリーの日常が戻り映画は終わる。
とにかくストーリーがシュールで、アニメ技術は稚拙ながら、素朴で夢溢れている。物語を楽しむというより、モダンアート的なアニメを楽しむ作品だった。
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