くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ザ・タウン」

ザ・タウン

非常に優れた一級品のクライムアクション映画でした。とにかく冒頭から一気に引き込むストーリー展開は最高です。
これが監督第2作目(第一作は未公開)のベン・アフレック、脚本家としてはすでに手腕は認められていますが、もちろん今回は主演もしています。この人の演出手腕はなかなかのものです。

映画が始まり、物語の舞台になるタウン(チャールズタウン)の姿が説明されます。銀行強盗さえもが日常の仕事のごとく行われているいわば無法地帯のような町。そこを舞台にストーリーが進むことが語られ、画面はその町並みへ。
一台の車がとある銀行の入り口に到着、一気に蹴破って中へ。まさに先ほどの説明どおりの展開が一気に私たちをこの映画の本編へ引き込んでくれます。

手際よく従業員達を伏せさせ、支店長である女性に金庫をあけさせてから金を取るまでの鮮やかさは胸を透くようです。そして、予期せずしてその女性支店長を人質に取って逃走。ところが解放後彼女の免許証を見た犯人達は彼女もまた自分たちと同じタウンに住むことに気が付く。あまりにも身近にいるために不安になる犯人達はリーダーのダグ(ベン・アフレック)と片腕のジェム(ジェレミー・レナー)を中心に彼女をマークし始める。ところが彼女に近づいたダグはこの女性クレアに恋をしてしまう展開へ。

一方で次の強盗事件の計画が進み、一方でダグとクレアのラブストーリーが語られていく。さらにFBIの捜査が迫ってくるというサスペンスフルながら娯楽性満載のおもしろさがこの映画の最大に見せ場でしょうね。
特に、二件目の現金輸送車強盗事件の後のカーチェイスシーンは見事なもので、狭い路地を巧みに逃げる犯人の車と、次々と行く手をふさぐパトカーとの攻防が巧みなカメラワークで様々なアングルやカットを積み重ねてみせる演出はピーター・イェーツ監督の「ブリット」の名シーンのごとく拍手ものでした。

間一髪で逃げたダグ達を待っていたのは次第に捜査の手が迫ってくる恐怖、さらに彼らの元締めである花屋の主人の不気味な圧力でした。
そして、これを最後に脱出を考えたダグ達は無謀に近いと思われる野球スタジアムの売上金強盗を計画します。

ところが、FBIの策略にはまり、窮地に・・そして相棒のジェムが殺され、間一髪でクレアと別れて脱出したダグ。
ボランティアで少年少女達にアイスホッケーをやらせたいと願っていたクレアの夢を叶えるためにクレアが世話する花壇の中に強奪した金を埋め、彼女に渡した後ダグは脱出します。
かつてのアイスホッケー選手としてスカウトまでされ未来を約束されながら道半ばで夢破れたダグの明日への希望を託したラストシーンが実に素晴らしい感動を呼び、もちろん、アクションシーンやFBIとの駆け引きのおもしろさも重なって、一級品の映画として完成されていました。

さらにエンディングでチャールズタウンにすむ人々の大半は善人である人コメントするあたりも心配りが効いていてアメリカらしいですね

本当にお薦めの一本だったと思います