2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧
「ザ・スクエア 思いやりの聖域」 前作はなかなか才能を感じさせる映画でしたし、今回もその感性の素晴らしさに圧倒されてしまいます。ただ、明らかに映画祭向けの作品という感じの一本でした。監督はリューベン・オストルンド。アート界で成功を収め、近代…
「危険な場所で」 え?これで終わりか?というストーリー展開と、あまりに雑な脚本にあっけにとられる映画ですが、この荒削りが、時代を感じさせてくれて面白かった。監督はニコラス・レイ。腕はいいが少々乱暴な捜査で上からも睨まれている主人公の刑事ジム…
「きみへの距離、1万キロ」 アイデアはとっても面白いんですが、それを生かしきれなかった感じで全体が上滑りになって本当に残念。ラストの畳み掛けも少しさらっと流しすぎた感じがするし、それがカナダ映画の色だと言われればそれまでですが、少し物足りな…
「ダンガル きっと、つよくなる」 実話をもとに二人の娘をレスリングの世界で成功させる父親を描いたスポ根ドラマであるが、映画として実にうまく脚色されているので思い切り感動してしまう。映画づくりというのはこういうのをいうのだと思う。監督はニテー…
「泳ぎすぎた夜」 全編台詞なしで淡々と描いて行く物語ですが、特に映画が美しいわけでもなく、リズムがしっかりしているわけでもなく、いわゆる一人の少年の心象風景という感じで語られる映像は、個性的ながらも、これというほどのものではありませんでした…
「全身小説家」 作家井上光晴の最後の5年間を描いたドキュメンタリーで、その年のキネ旬ベストワンに選ばれた作品。監督は原一男。2時間以上ある作品ですが、ほとんど眠くならなかったということは優れた作品と呼ぶのでしょうか。ドキュメンタリーを分析した…
「タクシー運転手 約束は海を越えて」 大ファンのソン・ガンホ主演なので見に行きました。物語の構成が良くできている。もっと平凡な映画かと思っていましたが、しっかりとした社会テーマとヒューマンドラマがマッチングした良質の映画でした。監督はチャン…
普通に面白い娯楽映画。特に斬新と思うほどの映像演出も見られなかったし、今更珍しくもないCG映像も秀でたものはなく、でもまぁまぁ純粋に楽しめたからいいのではないかという映画でした。監督は佐藤信介。定年間近のサラリーマン犬屋敷壱郎のいかにもお…
「アンロック 陰謀のコード」 台本が良くない。主人公が颯爽と活躍するかと思えばすぐピンチになる。その展開をワンパターンで繰り返すので、だんだんヒロインに見えなくなってくるし、殺すべきでないキャラクターをあっけなく殺してしまうので物語が上滑り…
「ダンケルク」(1964年版) 先日公開されたクリストファー・ノーラン監督版のオリジナル版の方の作品で、こちらはフランス兵士を主人公にして映画が展開する。ただ、全体の雰囲気はほとんどおなじで、スケールの大きな浜辺のシーンを何度も写しながら、様々な…
「パシフィック・リム アップライジング」 前作はもっと面白かった気がするのですが、今回はなんとも雑な物語だった気がします。ストーリーに工夫がないというか、人間描写が希薄というか、悪役に魅力がないというか、ただロボットと怪獣の戦いを描くためだ…
「娼年」 さまざまな感想を聞くにつけ、どんな映画かと思ったが、思いの外しんみりと身にしみる映画でした。もちろんエロシーンはふんだんに出てきますが、それはそれで映画の味であるし、舞台の地名のテロップが効果的に映画に味を深める感じで、いい演出だ…
「エヴァの匂い」 センスのいい監督というのはどんな俗っぽい物語も端正でスタイリッシュに仕上げてしまうなと思います。この映画もそんな一本。シンプルな室内のセットを有効に使用し、鏡の演出を交えた映像作りはもちろんですが、外の景色の捉え方も実に美…
「さよなら、僕のマンハッタン」 これは良かった。音楽のセンスといい、映像のリズムといい、カメラワークといい、どこをとっても感性の素晴らしさに息を飲んでしまいました。監督はマーク・ウェブ。主人公トーマスは作家を目指しているがまだパッとしたもの…
「殺人者」(1944年) 面白い。フィルムノワール作品で典型的な二転三転するストーリー展開と、ファムファタールな美女、どん底に落ちていく男の物語が描かれていく面白さを堪能できます。監督はロバート・シオドマク。エバ・ガードナーが抜群に美しい。あるカ…
「ラッキー」 本当にいい映画です。淡々と進む映像ですが、なんとも言えない心の動きがしみじみと伝わってくる。とは言っても、ストーリーのその淡々さが不思議に眠気をもよすことも確か。監督はジョン・キャメロン・リンチ。ある朝、一人の老人がベッドで目…
「恐怖省」 面白い。しかも光を有効に使った見事な演出に舌を巻く。映画を作る人はもっと勉強すべきだと思う。どんどん巻き込まれて転がるように展開するストーリーに引き込まれて行く名作でした。監督はフリッツ・ラング。主人公ニールが時計をじっと見つめ…
「ラブレス」 ラストシーン、ボリスは新しい妻との間の子供がいて、遊んでいる子供を保育器の中に放り込む。泣きじゃくる子供。イニヤは新しい夫と生活している。ベランダでランニングマシーンに乗る。彼女のこちらを睨むようなショット。冒頭でアレクセイが…
「ブロンドの殺人者」 レイモンド・チャンドラー原作のフィリップ・マーロウものの何度も映画になった一本。フィルムノワール特集で見る。監督はエドワード・ドミトリク。机に映るスタンドのライトからカメラが引くと主人公フィリップが警察の取り調べを受け…
「ジュマンジ ウェルカムトゥジャングル」 単純に面白かった。最高の出来栄えではないものの、それなりに楽しんだという感じの普通の娯楽映画。ドウェイン・ジョンソンがどうも好きではないので、最後までのめりこめなかったが、まぁこの程度楽しんだなら良…
「花咲くころ」 少女二人を主人公にした瑞々しい話のはずなのに、とにかく地味で殺伐としている。舞台がソ連から独立し、混乱が続く時代のグルジアゆえであろうが、観ていてやるせなくなってくる。監督はナナ・エクシュテミシュピリとジモン・グロス。14歳の…
「修道士は沈黙する」 面白いのですが、思わせぶりが多すぎて、ラストも分かったようなわからないようなエンディングでした。監督はロベルト・アンド。ドイツのリゾート地で財務首脳会議が行われようとしている場面から映画が始まる。そこに一人の修道士サル…
「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」 画面、色彩がとにかく上品で美しいし格調がある。それだけでもこの映画を見た値打ちがあるというものですが、それ以上に、ゲイリー・オールドマンの圧倒的な演技力と存在感が映画を支配している迫…
「危険な関係」(ロジェ・バディム監督版) カメラがとにかく美しい。と思って見入っていると、いつのまにかサスペンスのような展開になって、あっというラストシーンに流れて行く。まさに名作とはこういうものかというほどのクオリティの高さに圧倒される一…
「バーフバリ 王の凱旋」 誰も彼もが面白いというので、見に行きました。たしかに、CGをほとんどの場面に使用し、中国の武侠映画のような壮大な物語を荒唐無稽な映像を駆使して描く展開は素直に面白い。映画としてどうかと言われればともかく、最近のマンネ…
「レット・スパロー」 久しぶりに、硬派のスパイ映画を観ました。前半がややキレが足りないのが気になりますが、中盤から後半どんどん良くなって来て、スパッと終わるラストはなかなか見事。原作がいいのでしょうが、見応えがありました。監督はフランシス・…