2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧
「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」 映像は美しいし、物語の構成、展開も見事なのですが、いかんせんキリスト教やユダヤ教の教義の話が中心になると理解できにくい部分が多々あるので、果たしてどれほど深い内容なのかはなんともいえない。洗…
「ゴジラ×コング 新たなる帝国」 ほとんど「猿の惑星」かと思わせる映像で、人物やドラマ描写は一切排除して、CGで作られたモンスターのバトルシーンをてんこ盛りで繰り返していくB級大作娯楽映画という装いの一本。見終わったあとに残るのは怪獣たちが大暴…
「陰陽師0」 センスのない過剰なCGとカメラワーク、雑な脚本で、もっとスケールの大きなエンタメになりうるはずが薄っぺらい青春ドラマの如く仕上がってしまった。面白くないとは言わないまでも、日本映画のお家芸的なお話なのにもっと作り込んでほしかった…
「マンティコア 怪物」 こういう映画かとサプライズで締めくくる作品だった。延々と繰り返す長回しと淡々と進むストーリーの背後に潜む謎を必死で追っていくと、結局、ただの異常性愛者の物語に唖然としてのエンディングは、確かに面白いが、それ以上でも以…
「あまろっく」 全然期待していなかったのですが、思いの外良くできた人情噺だった。脚本が良いのと中条あやみと江口のりこの掛け合いが映画に心地よいリズムを生み出した気がします。笑福亭鶴瓶をそこそこで脇へ抜いたのが良かった。大傑作とは言わないまで…
「数に溺れて」 三人の殺人鬼の姉妹のブラックコメディを流麗なカメラワークと美しい色彩、そしてちょっとグロテスクで下賤な感性で描いたアート作品という感じの一本でした。面白いのですが、素直に楽しめる映画でもなかった気がします。監督はピーター・グ…
「英国式庭園殺人事件」 初公開以来何度か見ている作品で、その度理解できなかったが、今回初めて面白いと感じた。映像や展開のシュールさはもちろん、機関銃のように繰り出されるセリフ、貴族の退廃的な姿を揶揄するような展開、そして、遊んでいるのかと思…
「ラ・カリファ」 エンニオ・モリコーネ特集で日本初公開。シュールな映画なのか、カットが前後交錯して唐突に切り替わっていくので、ストーリーの流れが掴みづらい上に、人物関係や立場がわからなくて、ひたすら男女の物語を追いかけていくだけに終始した映…
「四月物語」 日常のさりげない1ページを美しい感性の色彩と映像、みずみずしいほどの松たか子の表情に、生きてることって良いなあと思わずため息してしまう作品でした。監督は岩井俊二。 東京の大学に進学することになった卯月が、家族に見送られて出発する…
「No.10」 なんだこれは?という映画である。前半を真面目に追いかけているといつの間にかはぐらかされて、後半から終盤、とんでもない展開になった上、じゃあ、あれはなんだったのかと自己嫌悪にさえ陥る映画。面白いといえば面白いし、やりたい放題と言え…
「デジャヴュ」 目眩く17世紀と現代の物語の交錯がいつの間にかクセになって虚構の世界にのめり込んでいくファンタジー。ではどういうことだったのかというのがはてなで終わるエンディングが実に面白い作品だった。監督はダニエル・シュミット。 トブラー博…
「クラユカバ」 レトロでガラクタでシュールな世界観が面白いのですが、もうちょっと落ち着いてストーリーテリングして演出しても良かったんじゃないかというほど展開が早い。カットが細かい上に、次々と漢字の名称が羅列されてくると頭が追いついていかなか…
「河内ぞろ どけち虫」 全編河内弁で突っ走る機関車のような作品で、何がどうという中身もないのだが、ひたすら喧嘩と怒声が画面を覆って行く。痛快そのものであれよあれよと展開していき、ラストのほんのりした兄弟愛に、楽しい映画を見たという感慨に耽っ…
「プリシラ」 エルヴィス・プレスリーの元妻プリシラ・プレスリーの半生を描いているのですが、エルヴィスよりもプリシラの一人の女性としての繊細な気持ちを切なく淡々と描写していく展開が、見終わった後不思議なほどに胸に染み渡ってきました。女性目線と…
「オーメン ザ・ファースト」 丁寧に作り込まれた脚本とストーリー展開がサスペンスとして面白い作品に仕上がっていました。オーメン三部作を知っていれば十分楽しめるし、知らなくても、それなりに楽しめる映画だった。監督はアルカシャ・スティーブンソン…
「のんき裁判」 当時の映画スターが総動員で出てくる珍品的な娯楽映画で、スターがそのままの名前で出てくるので混乱はないけれど、即興劇で展開する様はまるでテレビバラエティの如くだった。監督は渡辺邦男。 のんき裁判という裁判所があって、そこで、ハ…
「アイアンクロー」 物語の構成も展開も良くできているし、登場人物の描写も丁寧に描かれていて、非常に良質のクオリティーの高い映画なのですが、いかんせん実話というのが辛い。次々と不幸が訪れていく流れで、出口はないのかとさえ思うのですが、決して深…
「結婚三銃士」 本当にたわいない恋愛コメディで、クサイ演出と演技、適当なストーリー展開は映画黄金期の大量生産時代かつ戦後すぐの突貫工事のような完成度が、時代を匂わせてくれる一本でした。監督は野村浩将。 化粧品会社の面接に来ている主人公時彦の…
「ブルックリンでオペラを」 面白い映画なのですが、キャラクターを作り込みすぎたので、展開が奇妙に煩雑になった上ごちゃ混ぜになって、肝心のコミカルな展開が潰されてしまった感じです。もう少し、鮮やかさとシンプルさが欲しかった。でも、スタンダード…
「オッペンハイマー」 2回目の鑑賞でしたが、この映画の真価を確認できた気がしました。1回目の鑑賞後の感想ではアカデミー賞を取るレベルに若干言及しましたが、ある意味、取るべくしての一本だったかと認識を改めます。それは、これだけの登場人物が語る物…
「トータル・バラライカ・ショー」 1993年6月ヘルシンキ、レニングラード・カウボーイズと旧ソ連退役軍人らで結成されたレッド・アーミー・アンサンブルとの合同コンサートのライブ映像。監督はアキ・カウリスマキ。 ピチッと着込んだ軍服姿のレッド・アーミ…
「RHEINGOLD ラインゴールド」 主人公ジワの成功までの波乱の人生を駆け抜けるように描いて行くのがとにかく心地よいほどにテンポが良くて面白い。犯罪を重ねて行くだけの重い話と次々と地域が変わる展開なのに、素直に追いかけていけるリズム感がとってもい…
「果てしなき情熱」 笠置静子特集の一本。作曲家服部良一をモデルにしていると言っても全く別物の一人の作曲家の人生ドラマという感じで、ちょっと仰々しい演技とあざとい演出が鼻につく作品でした。岡田淑子、淡谷のり子らの大スターを出演させた音楽ドラマ…