2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧
「さらば、わが愛 覇王別姫」 初公開以来の劇場鑑賞でしたが、やはり名作です。中国近代史を背景に激動の時代の流れの中で、その変遷と京劇のたどる道を描きながら二人の京劇役者を通じての愛憎劇と恋愛ドラマの交錯が素晴らしい。前半の流麗なカメラワーク…
「我が人生最悪の時」 濱マイクシリーズ第一作。モノクロームで、古の日活アクションと光と影を多用したフィルムノワールのような絵作りが癖になる魅力のある作品で、ストーリー展開はシンプルな人探しとヤクザ抗争の話ながら、クライマックスの場面でモノク…
「豚が井戸に落ちた日」 四人の男女の物語が最後に交錯してまとまるというホン・サンス監督らしい一本。何気ない場面のあちこちに伏線を貼られた画面作りの面白さは楽しいのですが、いかんせん韓国の人の顔立ちがわかりにくく、しばらくは混乱してしまった。…
「裸足になって」 映画のクオリティは非常に高いけれど、アルジェリアという国の国情を訴えかけてくる内容は流石に重い。ほとんどのシーンがバストショットで描かれるので息苦しささえ感じてしまいました。男性社会、テロの横行、役人たちの癒着、そんな暗さ…
「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」 超一級品の娯楽大作なのに、ここまで緻密に脚本を書き込んだら面白くないはずがないと言う傑作エンターテイメントでした。とにかく、オープニングからラストシーンまで息をつかせない見せ場の連…
「アイスクリームフィーバー」 青、黄、赤のポップ感覚満載の素敵な映画でした。感情に訴えるものではなくて、テンポ良く展開する女性たちのドラマがとっても素敵な作品で、二つのドラマを巧みに絡ませながら、それでいて別の世界として二つの人生のひととき…
「遠いところ」 映画のクオリティはそれなりではあるのですが、いかんせん、物語に未来の希望がないので、見ているうちに自分が生きているのが嫌になる。沖縄を舞台にしているというのはつまり沖縄の現実がこうなのだと言いたいのでしょうが、問題定義のみに…
「坊っちゃん」 ものすごく良かった。名作です。芸達者を脇役に配置したというのもありますが、キャラクタが際立っているし、今となっては二度と写せない懐かしい松山の風景や建物が見事に取り入れられ、しかもカメラ演出が見事で、映像のテンポが抜群に素晴…
「やくざ囃子 日本映画量産時代の一本で、映画のクオリティとかそんなものはどうでもよくて、見ているだけで。時代が遡って、不思議な世界に溶け込んでしまう至福のひと時というのを味わいました。監督はマキノ雅弘。 船旅をする彌太郎と留八らは、船の中で…
「ヴァチカンのエクソシスト」 出だしは普通のB級ホラー的な展開なのですが、脚本が丁寧に描かれているために、次第にそれなりに面白いサスペンスに変遷していく。一見、悪魔との対決ホラーのみの見せ場であるかに思えるが、謎解きをさりげなく挟んだ終盤の…
「CLOSE クロース」 素晴らしい映画だった。シンプルなストーリーなのですが、主人公レオの表情だけを追いかけていく演出と、手持ちカメラを交えた素晴らしいカメラワークで描いていく映像のリズムにどんどん惹かれていきます。まだまだ幼い二人の少年の繊細…
「マンダレイ」 「ドッグヴィル」と同じ撮影形式をとって黒人差別問題を痛烈に批判する実験的な作品でした。映像作品としての面白さもありますが、ラストの強烈なドンデン返しのあまりの衝撃にかえって差別問題の恐ろしさ、人間の恐ろしさを痛感してしまいま…
「バックドラフト」 人間ドラマを丁寧に描いていく展開と大作らしいスケール感が見応えのある映画ですが、ところどころに若干甘い脚本が見え隠れするのが僅かに勿体なかった。それでも、火事シーンの迫力は必見だし、スリリングな演出はさすがというほかあり…
「ニンフォマニアックVol.1」 日本公開版より約30分長いオリジナル版。あの30分はこの映画には必要だったのだと改めてわかりました。今回の完全版で、映画全体のリズムと映像のテンポが整った気がします。執拗に女性器を舐めるシーンや、ペニスを咥えるシー…
「ノクターン」 ラース・フォン・トリアー監督が学生時代に作った8分の短編。一人の女性がこちらに向いてのバストショットから、突然背後のガラスが割れて、男がスローモーションで入ってくる。ベッドで眠ろうとする主人公らしい女性のショット、電話で朝の…
「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」 さすがに、古さは感じるけれど、シンプルなストーリーと娯楽大作のエンタメ感満載の面白い映画でした。旧作へのオマージュを散りばめ、見た人はにんまりするものの見ていなくても、奇想天外なストーリー展開にワク…
「山女」 びっくりすりほどではないけれども、なかなかの仕上がりの作品でした。前半の暗さを次第に払拭していく後半の構成がうまい。神話の物語の中に潜む古き因習にとらわれる人々の苦悩が真面目に描かれている演出も好感でした。監督は福永壮志。 18世紀…
「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」 面白い映画なのですが、なんだか後一歩魅力に欠ける仕上がりだった気がします。二人の監督がそれぞれ三つのエピソードを撮って、一つの長編にまとめるという手法で描く新宿歌舞伎町の雑多な群像劇なのですが、終盤にかけ…