くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「恋狂い」

「恋狂い」 夫が遠洋航海で留守の間、ひたすら帰りを待っている一人の女が、自らの火照りに耐えきれず男を漁り、やがて裏の世界に身を落としていく姿を、女の情念という部分に焦点を置き、寄り切ったカメラワークで切々と語っていく、まさに日活ロマンポルノ…

映画感想「こころに剣士を」「マイルス・ディヴィス 空白の5年間」

「こころに剣士を」 非常に落ち着いた上質な作品で、物語はソ連領のエストニアで起こった斧語りを描いた政治色漂うものですが、フェンシングというスポーツをうまく使って、ヤリスジグ、引きすぎず、とっても良質な出来栄えの一本でした。監督はクラウス・ハ…

映画感想「ピートと秘密の友達」「土竜の唄 香港狂騒曲」「白い指の

「ピートと秘密の友達」 典型的なディズニー映画で、今更珍しくもないCGで作られたドラゴンと少年ピートの友情物語に例によって大人の欲が絡んで来るという展開。まぁ、出来栄えも大したことがないのだが、ロバート・レッドフォードのような大物が抑えの役で…

映画感想「聖杯たちの騎士」「ミス・シェパードをお手本に」

「聖杯たちの騎士」 さすがにこの芸術性高すぎる映像にはついていけない。ささやくようなセリフの繰り返し、意味ありげなインサートカットの連続、享楽的ともいえる、艶やかな映像の数々、洗練されたカットに、大胆に動くカメラワーク。これが映像芸術だと言…

映画感想「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」

「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」 あまり期待もしてなかったのですが、めちゃくちゃよかったです。これがスター・ウォーズの世界ですね。ドラマ部分の前半から後半の戦闘シーンのクライマックスまで見せてくれます。しかもラストシーンでは「…

映画感想「ぼくは明日、きのうのきみとデートする」「ドント・ブリー

「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」 なるほど、こういう時間テーマのストーリーもありかと感心する一本。しかし、映像化するにはもう一工夫必要だったようですね。終盤まで、どんどん切なさが募ってくるのですが、ラストシーンの処理に困りましたという…

映画感想「秋の理由」「灼熱」

「秋の理由」 駄作ではないし、画面も非常に計算された色彩で美しい。物語も丁寧に展開するし、1つ1つに真面目に作られた感じがする作品ですが、全体に高級感を前向きに訴えてくる感覚が強く、物語をつかみきれなくなってしまった。監督は詩人でもある福間…

映画感想「めまい」「ヒッチコック/トリュフォー」

「めまい」 何度目になるだろう、アルフレッド・ヒッチコック監督の傑作を再見。 今更ながら、さすがに最高傑作というだけのことはあります。見事です。五十年ほど前の作品なので、テンポが今に比べスローなのは否めませんが、物語の構成のバランス、畳み掛…

映画感想「エヴォリューション」「幸せなひとりぼっち」「フィッシュ

「エヴォリューション」 ひたすら思わせぶりな展開が続くしんどい映画だった。言いたいことがわかるようでわからないという独りよがりの一本という作品。監督はルシール・アザリロヴィックという人です。目がさめるほどに美しい水中の景色から映画が始まる。…

映画感想「アルジェの戦い」

「アルジェの戦い」 これが作られた映画だというだけで、度肝を抜かれる。当時この作品を見た人が、名だたる名作が嘘偽りの薄っぺらく見えてしまったのも納得してしまう恐ろしいほどの作品でした。監督はジッロ・コンテポルゴという人です。製作された1966年…

映画感想「母の残像」

「母の残像」 テクニカルな映像も駆使して、時間を前後にシャッフルしながら描いて行く演出スタイルはラース・フォン・トリアー監督の従兄弟という才能なのでしょうか。映画としては面白いのですが、いかんせんストーリーの流れが、どこか淀んでしまうところ…

映画感想「あねといもうと」「アズミ・ハルコは行方不明」

「あねといもうと」 さすがに物語の展開自体は時代を感じざるを得ないのですが、ホームドラマとして、非常にそれぞれの人物が丁寧に描かれて居る点では、かなりの秀作に近い出来栄えの一本でした。監督は川頭義郎です。田園調布に住まいする会社役員の長女が…

映画感想「古都」(Yuki Saito監督版)「海賊とよばれた男」

「古都」(Yuki Saito監督版) 8年間、ハリウッドで勉強してきたという鳴り物入りの監督の作品ですが、なんともカメラなどスタッフとの息があっていないのか、妙に良くない。さらに、川端康成の原作というが、原作のその後の物語であり、しかも、川端康成の空…

映画感想「キャバレー」(角川春樹監督版)

「キャバレー」(角川春樹監督版) 角川春樹といういわば素人監督の作品ながら、映画として仕上がっている気がするちょっとした作品でした。フィルムノワールの空気を漂わせながら、甘ったるいジャズのメロディを背景に展開する男と女、人間同士のドラマはなか…

映画感想「五日物語〜3つの王国と3人の女〜」「フランコフォニア ル

「五日物語-3つの王国と3人の女-」 3つの王国の不思議な物語がほとんどオムニバス風に描かれるファンタジーで、その特異な物語が見どころというべき一本でした。特にストーリーテリングの面白さも、映像作りの面白さもこれといってなく、3つの話なのでや…

映画感想「風の視線」「黒いドレスの女」

「風の視線」 これはいい映画でした。掘り出し物の一本、大人の恋愛ドラマとはこういうのをいうのでしょうね。見事でした。三組の夫婦が織りなすめくるめくような恋愛劇の交錯が、見事に大人の関係を構築して行く様は、いくら松本清張原作とはいえ、映画とし…

映画感想「化石の荒野」「カムイの剣」

「化石の荒野」 ほとんど印象のなかった映画でしたが、やはり、それほどの傑作ではなかった。テレビの2時間スペシャル程度の出来栄えでした。監督は長谷部安春です。主人公で捜査一課の刑事が、突然襲われ、そのまま注射を打たれ眠らされる。目がさめると側…

映画感想「恋人たちの時刻」「伊賀忍法帖」「RANMARU 神の舌を持つ男

「恋人たちの時刻」 切ないラブストーリーで、どこか、甘ったるい空気が漂う一本でした。静かないい映画だった気がしますが、と言ってものすごい秀作とまではいかないかもしれません。監督は澤井信一郎です。マリ子という一人の少女が浜辺でサーファーを見て…

映画感想「ブルーに生まれついて」

「ブルーに生まれついて」 非常に静かな映画でしたが、とってもいい雰囲気がスクリーンから漂ってくる映画でした。何と言っても、主人公のチェット・ベイカーを演じたイーサン・ホークが抜群にいい。これという激しいシーンもないのに、画面のどこかにいつも…

映画感想「少年ケニヤ」「オイディプスの刃」「刑事珍道中」

「少年ケニヤ」 角川映画祭、アニメです。しかも監督は大林宣彦と今沢鉄男です。それほど期待していなかったのですが、えらく面白かった。原作がいいのでしょうがそれを脚本にしたところで成功しているのでしょう。次々と冒険物語が魔弾なく展開する様は息を…

映画感想「蔵の中」「マダム・フローレンス!夢見るふたり」

「蔵の中」 高林陽一監督らしい、様式美の世界で見せる横溝正史原作の官能ミステリー。しかし、全編、静の世界で展開する物語は、正直、しんどい。とはいえ、井川徳道の美術の美しさ、京都の雅の世界のごとき色彩配分や構図は、さすがにクオリティの高さを見…