2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「ドライビング・バニー」 何の解決もないままのアンハッピーエンドの映画。さすがに辛いですね。ストーリーの構成は面白くできているけれどラストはもうちょっと練って欲しかった。結局主人公のバニーが悪くなかったのだと言いたいけど、周囲に潰されて終わ…
「家族の肖像」 ほぼ五年ぶりの再見。何度見ても根底にある知性が溢れ出すセリフの数々と、完璧すぎる映像に魅了されますが、まだまだ凡人のわたしにはこの映画の真価は計り知れないものかもしれません。素晴らしい傑作ですね。監督はルキノ・ヴィスコンティ…
「秘密に森の、その向こう」 とにかく映像が抜群に綺麗。森の緑、紅葉、小屋の佇まいがまるでファンタジー、確かに物語はファンタジーなのですが、双子でしょうか、主人公の少女二人もキュートで可愛い。一人の少女の心の動きの一瞬を描いたとっても素敵な映…
「あなたと過ごした日に」 公衆衛生専門家エクトル・アバド・ゴメス博士の半生を描くのですが、なんとも物語の構成にメリハリがないのと、今何が起こっているのか全く説明しない脚本で、とにかくダラダラと長い。映画自体は誠実に丁寧に描かれているし、一見…
「親愛なる日記」 「ベスパに乗って」「島めぐり」「医者めぐり」の三本のオムニバス形式の作品で、ナンニ・モレッティ自身が語っていくドキュメンタリーのようなユーモアあふれる展開の作品でした。監督はナンニ・モレッティ。 自分の日記に様々を綴り始め…
「犬も食わねどチャーリーは笑う」 とっても面白いのですが、練り込んだ部分と、適当に流した部分がちらほら見える脚本がちょっと残念。オープニングのブラックユーモアが、どんどん薄められて行って、次第に普通の感動ドラマに流れていく弱さ故に傑作にはな…
「よだかの片想い」 なかなかいい映画でした。原作があるので、なんとも言えませんが城定秀夫の脚本が良い。さりげなおセリフに散りばめられた、胸に刺さる一言二言がとっても考えさせられるものがあるし、脇役に至るまで存在感がしっかりしていて、映画を見…
「みんなのヴァカンス」 たわいのない話なのに、どんどん引き込まれて、どこか懐かしい想いが蘇りながら綺麗にラストはまとまっている。決して傑作秀作ではないかもしれないけれど、いい映画だった。見てよかったなと思える作品でした。監督はギヨーム・ブラ…
「沈黙のパレード」 この手の映画にクオリティを求めてはいけないけれど、このシリーズのお決まりシーンと展開を無視したために、平凡なサスペンスドラマになってしまった。そもそも、ミステリーが破綻した出だしから、あとはひたすら、物語を語るだけになっ…
「レインマン」 約四十年ぶりくらいに見直した。初めて見た時の印象は薄かったけれど、この歳になってみると、本当に染み入って来る感動がありました。しかも、フィルム時代の画面は何故こんなに綺麗なんだろうと改めて引き込まれてしまいました。やはり名作…
「3つの鍵」 身勝手極まりない人物たちの群像劇の如き不条理劇。導入部から一気に本編に持っていく展開は鮮やかと言えますが、いかんせん登場人物誰にも共感できない。それを狙ったかのような不気味なカラスの描写がなんともブラックユーモアのような空気感…
「地獄」 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の未完成の映画「地獄」を描いたドキュメンタリーです。結局、残されたフィルムを中心にした作品ですが、完成していたらどうなっていたかなんとも奇妙な作品になったであろうという感覚は掴めるドキュメンタリー…
「サン・スーシの女」 ロミー・シュナイダーの遺作。正直なところ、ちょっとしんどい作品でした。第二次大戦下の過去の物語と現代の裁判シーンとのバランスが悪いのか、いまひとつ物語にのめりこめないところがあって、結局、ナチス反対映画というテーマなの…
「マックスとリリー」 面白いといえば面白いのですが、相当に無理のあるストーリーと唐突なラストは流石にフィクションのレベルを超えている感じです。まあ、ロミー・シュナイダーを見にきているのでそれでよしとする映画でした。日本初公開です。監督はクロ…
「華麗なる女銀行家」 ロミー・シュナイダー特集。フランスの女性銀行家マルト・アノーをモデルに描いた作品。後編に向かうに連れてみるみる面白くなってくる秀作。主人公エンマが世話をしている元恋人(女性)の子供の描写が映画に深みと温かさを与え、前半の…
「百花」 良い映画なんですが、本当に惜しいというのか演出力の弱さというのか。勿体無い映画でした。でも決して凡作ではなく、長回しと繰り返しの映像を駆使して描く一人の女性の忘却の物語と、息子の記憶の物語は、なかなか描けていたと思います。できれば…
「薔薇のスタビスキー」 これは名作ですね。画面の至る所に配置した赤が目が覚めるほど美しく、どの場面も本当に素晴らしい。そんな見事な映像の中で展開する、一人の犯罪者のめくるめく様な物語が、時に過去に戻り時に現代を描き、交錯したストーリー展開で…
「花様年華」 二年ぶりの再見、クリストファー・ドイルの美しいカメラと抜群の音楽センスで奏でる不倫ドラマは、幻想的であり、詩的であり、寓話の如く夢幻の陶酔感に浸ることができます。ただ、中盤までのテンポ良い流れが、終盤は少し間延びする様に思いま…
「彼女のいない部屋」 映像のリズムだけで物語を語る、なかなかの逸品。一人の女性の絶望から再生までの一時を細かいシーンを紡ぎ合わせて、次第に一つの時間に集約していく展開が秀逸。少々テクニックに頼りすぎたきらいもあるものの、タイトルからタイトル…
「ラ・スクムーン」 これは良かった。旧作「勝負をつけろ」と雲泥の差の出来栄えで、一人のアウトローの大河ドラマのような展開と、男の悲哀、女の切なさが見事にスクリーンに浮かび上がっています。しかも、音楽も素晴らしいし、映像が洒落ていて粋なのもと…
「華麗なる大泥棒」 監督がアンリ・ヴェルヌイユなので、楽しみでしたが映画としては普通の出来栄えでした。オープニングのタイトルバックや前半のリアルなカーチェイスシーンはなかなか見応えのある映像でしたが、ストーリー全体の流れは非常に平坦で、サス…
「ドライビング・MISS・デイジー」 やはり良い映画です。さりげない景色や小道具、容姿で時の流れを語りながら、時代背景を鋭く描写し、押さえた色調の画面で淡々と晩年を迎えた人物の姿を描いていく。とってもシンプルな話なのに、不思議なくらい胸に沁みま…
「異動辞令は音楽隊!」 よくあるゆるゆるの話なのですが、画面が映画になっているのと、細かいエピソードを丁寧に紡いでいく脚本の緻密さ、演技演出に手を抜いていないこだわりと役者の真摯な役作りで、とっても好感な映画に仕上がっていました。良質のいい…