2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧
昭和22年製作という社会的な背景はさすがに当時を生きてきたわけではない私にはとうてい語ることはできないが、映画としてのこの作品を見ると、なかなかの佳作だったように思えます。とにかく映像のリズムが非常に分かりやすい。主人公文江と積と、あるい…
「屋根裏部屋のマリアたち」 ちょっと魅力的な佳作に出会ったという感じでした。ハートフルであったかくなるようなしゃれたコメディ、そしてなぜかほほえましくなるようなラブストーリー、そのふわぁっとした境界のないおもしろさに曳かれる一品だった気がし…
新バットマンシリーズの最終章、クリストファー・ノーラン監督作品でこの夏洋画の最大の期待作を見てきました。前作「ダークナイト」が群を抜く傑作であり希代の名優ヒース・レジャーの好演もあって単なるアメコミヒーローものを越えたドラマティックな作品…
「それでも、愛してる」 ジョディ・フォスター16年ぶりの監督作品。 具にもつかない駄作ではないものの、特に秀でた作品でもなかった。宣伝ではビーバーのぬいぐるみを通じてしかはなせなくなった主人公ウォルター・ブラックのお話かと思ってい亜が、一方…
「花咲く港」 戦時中に作られた、木下恵介監督のデビュー作である。 後に木下監督の名作に登場する抒情的なカットが随所に見られ、しっかりとしたカメラワークと、実験的な映像がふんだんに取り入れられたなかなかの秀作でした。制作されたのが戦時中であり…
「おおかみこどもの雨と雪」 大好きな細田守監督の新作は、子供たちの旅立ちをテーマにしたハートフルな物語でした。狼の青年と恋に落ちた花は彼が狼人間であることを承知の上で結婚をします。そして二人の間には活発でやんちゃな姉雪とちょっと物静かなおと…
「ローマ法王の休日」 「息子の部屋」のナンノ・モレッティ監督作品で、何とも不思議な作品でした。ローマ法王が崩御され次の法王を選ぶべく枢機卿たちが集まってくるところから映画が始まる。次の法王を待ち望む民衆が、つい何年か前に現実にもおこなわれた…
「さらば復讐の狼たちよ」 「鬼が来た」の監督作品というだけで見に来た。 「鬼が来た」はみていないので今回がこの監督の作品を初めてみたことになったのだが、なんとも、中国にもこんな荒唐無稽、奇想天外な映像を駆使できる才人がいたとは全く驚きであっ…
昭和29年、アメリカがビキニ環礁沖でおこなった水爆実験の犠牲となったマグロ漁船第五福竜丸の事件。事件発生からわずか5年、まだ事件が現在進行形であった時期だと思う。そんなときに新藤兼人が撮った作品がこの「第五福竜丸」である。実際、公開当時に…
この映画は本当によかった。今回のジョン・カサヴェテス作品特集をみて彼の作品はほとんどが内面に潜む精神的なテーマに関わったものが非常に多かった。本日の「オープニング・ナイト」も一人の女優が公演の初日に向かっている中、一人の若いファンが交通事…
「グスコーブドリの伝記」 杉井ギサブローが創造した一瞬のファンタジーの世界。その感性のなせる自由奔放な幻想の世界はディズニーや宮崎アニメとはまた違った独特の世界を私たちに見せてくれました。原作が宮沢賢治なので根底にあるのは農民たちの苦しさ貧…
ジョン・カサヴェテスの映画はまず取っつきにくい。商業ベースで作った「グロリア」をのぞいて、その作品の世界に入り込むまでがやや時間がかかる。その上大胆なカットでよけいな説明を省いた映像は時に登場人物の関係さえも意味不明になるから大変。果たし…
前作「さくらん」がなかなか私好みのできばえで面白かったし、当代最高の若手女優と思っている沢尻エリカ久々の出演、しかも周りの脇役も原田美枝子、桃井かほり、大友南朋、寺島しのぶなど超一流どころをそろえているのだから、かなりの期待が大きかった。…
「きっと、ここが帰る場所」 とにかく、色彩センスの良さ、画面の構図センスの良さ、音楽センスの良さ、カメラのワーキングの美しさに引き込まれてしまう。物語はいたって淡々と進んでいく。ショーン・ペン扮するかつてのロックのスーパースターシャイアンと…
「アメイジング・スパイダーマン」 一応シリーズが一段落した前作を完全にリメイクした作品。前シリーズは大好きなサム・ライミ監督作品だったので、それが楽しみな映画でしたが今回は「500日のサマー」のマーク・ウェブに移り、単純に娯楽大作として見に…
「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」 ジョン・カサベテスらしいドキュメントタッチのカメラワークとクローズアップを多用したリアリティあふれる独特のアメリカンシネマ。主人公コズモを演じたベン・ギャザラがとにかくニヒルでかっこ良く、こんな男がオー…
「崖っぷちの男」 題名は実にダサいのであるが、とにかく最高におもしろいサスペンス映画でした。とにかく主人公の周りに登場するわき役が実に見事。主人公ニックに呼ばれて駆けつける女刑事マーサの相棒の刑事ジャック、一見平凡なのだが常にマーサの味方に…
「ブラック・ブレッド」 どういう風に切り口を求めたらいいのかわかりにくい映画だった。結局、勉強もできて純粋だった主人公の少年アンドレウがある殺人事件で友人の少年が死んだことから次第にその事件の背後に潜む様々な大人の世界の醜い現実が見えてくる…
「ブレイク・アウト」 ジョエル・シューマカー監督が描く緊迫のサスペンス。大富豪でダイヤモンドのディーラーを営む主人公カイルが車で自宅に戻るところから映画が始まる。俯瞰で車の姿を追い、ついた家は恐ろしいほどのセキュリティに守られた豪邸。愛する…
「栄光への5000キロ」 日産サファリラリーチーム監督笠原剛三の原作を元に、日産自動車のバックアップで完成されたラリー映画である。石原裕次郎のスター映画の色彩が強いが、車に搭載されたカメラの映像を巧みに、効果的に利用したレースシーンの迫力が…
「プレイー獲物ー」 とってもおもしろい物語だし、あれよあれよと間断なく続く展開に時を忘れるほどなのですが、何かが物足りない。そんなスリラーサスペンスの佳作でした。濃厚なセックスシーンから映画が幕を開ける。主人公フランクは銀行強盗で服役中だが…
石原プロがその至宝として大切にし、DVDにさえもせず公開してこなかった「黒部の太陽」を東日本大震災チャリティとして全国公開をした。映画ファンとして劇場で見るのを夢にしていた作品の一本を今日見ることができた。監督は熊井啓。この人は人間ドラマ…
複雑に組み立てられた時間枠の構成で描くドラマでした。最初は主人公の少年フランソワのやや異常な心の映し出すシュールな世界かと思ってみていたら、なんと中盤からナチスによって迫害された家族の物語へと進んでいく。映画が始まるとなにやら赤い模様の入…