2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧
「イニシェリン島の精霊」 恐ろしいほどのクオリティの映画だった。映像がそのままひとつの映画になっているから、個別のシーンの感想など書けるはずもない。淡々と伝わって来る何物かをただ感じるままに画面を見つめ、鑑賞していく作品。しかも、絵作りは一…
「四谷怪談」(4Kリマスター版) 徹底的に様式美にこだわった四谷怪談という感じで、しかも伊右衛門役は長谷川一夫なので、悪者として描かず、あくまで周りの人間の悪事の話として勧善懲悪に仕上げた展開はこれはこれで面白い。お岩の亡霊シーンはなかなか迫力…
「ヨーヨー」 ピエール・エテックス監督特集の一本。画面の隅々、セリフの一つ一つ全てにユーモアを交えて描く知的コメディの傑作。ほとんど知識のない作品だったのが恥ずかしいほどです。とにかく楽しい。映画を楽しく作っている雰囲気が画面全体から溢れて…
「ヒトラーのために虐殺会議」 不謹慎かもしれないが、非常に面白かった。人間が狂っていく様が見事に描かれている。第二次大戦下、ユダヤ人絶滅政策を決定した90分のヴァンゼー会議のアドルフ・アイヒマンが記録した議事録に基づいた作品ですが、会話劇を主…
「肉体の悪魔」(1947年版) ジェラール・フィリップ生誕百年映画祭で見る。とってもいい映画でした。好き放題に不倫している男と女の話で、最初は全く共感できないのですが、映画の展開としてしっかりしている上に、手を抜かない絵作りも見事で、クオリティの…
「花咲ける騎士道」 荒唐無稽にハイテンポで展開するコミカルなラブストーリーの如き映画。クライマックスの延々と馬で疾走する追っかけシーンは圧巻。一見、粗だらけの展開のようですが、綺麗に一つにまとめていく監督の手腕は見事です。なんかわからないけ…
「パーフェクト・ドライバー成功確率100%の女」 韓国映画もこの手のエンタメ作品作り洗練されてきた感じですね。欠点はあるけれど単純に面白かった。少々長く感じたのは、エピソードを盛り込みすぎたのか、見せ場の配分が悪かったのか、いずれにせよ、退屈せ…
「ジュリエットあるいは夢の鍵」(愛人ジュリエット) 主人公の心象風景を映像にしていくいわゆる幻覚を描くストーリーですが、どこか古臭さを感じるのは表現方法ゆえか、物語ゆえか。でも、これはこれで楽しめる一本でした。監督はマルセル・カルネ。 監獄の…
「非常宣言」 相当に面白い。一昔前のB級パニック映画の一級品という出来栄えの娯楽映画でした。細かい部分の詰めが甘いのと、古臭いご都合主義で物語が展開するので、緊迫感は半端なく面白いのですがリアリティに欠けたのが本当に残念。カンヌを目指すのか…
「美しき小さな浜辺」 小さな浜辺のそばに建つホテル、降り続ける雨、孤児の不幸な人生、殺伐とした風景、そんな寂しい世界をひたすら描いていく映画で、主人公が犯してきた犯罪の背景も、ドラマも見せるわけではなく、アンリ・アルカンのモノクロのカメラが…
「モリコーネ 映画が恋した音楽家」 1961年以来、500以上の映画、テレビの音楽を手掛けたエンニオ・モリコーネのドキュメンタリー。知った曲も知らない曲も、知った映画も知らない映画もあったけれど、とにかく良かった。映画音楽への視点がまたひとつ増えた…
「ヘアー」 名作ですね。時代とお国柄は今見るとやや鼻につくとはいえ、奥にパンしていく映像演出や、バイタリティ溢れるストーリー展開は見事。ラストシーンで一気にメッセージをぶつけて来る構成も秀逸。必見の一本でした。監督はミロス・フォアマン。 オ…
「恋のいばら」 傑作でした。二転三転していくサスペンスと、コミカルな展開、作り込まれた映像と練られたセリフの数々にどんどんお話が深みにはまっていく。にも関わらず、重くならずに軽いタッチが最後まで持続する演出も面白い。楽しめる映画に久しぶりに…
「おばあちゃんの家」 胸に染みいるような名編でした。淡々と語られる年老いた祖母と孫の物語ですが、たまらなく郷愁に浸らせてくれました。本当に素朴でいい映画です。監督はイ・ジョンヒョン。 母に、バスに乗って山深い村に住む祖母のもとに連れられてい…
「アメリカから少女」 淡々と静かに進む映画ですが、いつのまにか主人公の心が変化していく様が見えてくるとってもいい映画でした。監督はロアン・フォンイー。 アメリカから台湾に戻ってきたファンイーと妹のファンアン、母のリリーが空港についたところか…
「ラ・ブーム2」 一作目の方がストーリーに小気味良いテンポがあって良かった。ソフィ・マルソーの魅力だけで展開する映画という感じで、大体の流れが前作同様で新しみもなかったけれど、テーマ曲は素敵だし、楽しめるラブストーリーでした。監督はクロード…
「殺人狂時代」 テレビで見ただけの作品でしたが、これはまさしく名作、傑作です。物語の構成も見事なのでサスペンスとしても一級品で面白いし、しかも人間ドラマとして主人公の心の変遷も見事に描かれている。さらに毒の聞いた風刺も効いていて、似た話の「…
「ラ・ブーム」 ソフィ・マルソーのデビュー作。細かいカットとハイテンポなストーリー展開で、思春期の揺れ動く少女達のラブストーリーを、ヒット曲に乗せて描くとっても心地よい映画でした。監督はクロード・ピノトー 父フランソワに送られて夏休みが終わ…