くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「黒い牡牛」(レストア版)「シスター 夏のわかれ道」

「黒い牡牛」 ダルトン・トランボがロバート・リッチの偽名で原案を書き、アカデミー賞原案賞を獲得した作品。なるほど、名編です。物語の構成はこうして組み立てる物だというお手本のような見事なストーリー展開で、クライマックスの闘牛シーンは圧巻で、こ…

映画感想「ストレンジ・ワールド もうひとつの世界」「キッチン」「悲しい色やねん」

「ストレンジ・ワールド もうひとつの世界」 さすがディズニーアニメというほど、造形や色彩美術は抜群に美しいのですが、どこか初期の宮崎アニメを思わせるように感じたのは私だけでしょうか。ストーリー的には非常に普通だし、ディズニーらしい夢と冒険、…

映画感想「母性」「グリーン・ナイト」

「母性」 これはなかなかの映画だった。いや、ある意味傑作かもしれない。まるで「白雪姫」や「シンデレラ」のようなお伽話の世界観で描いていく、女性の母性のついての不可思議な寓話。ほとんど人間的な感情が存在しないかで展開する本編に、さすが湊かなえ…

映画感想「それから」「ライブイン・茅ヶ崎」「やまぶき」

「それから」 ロードショー以来の再見。やはり傑作です。レトロであってモダン、ラブストーリーであってサスペンス、独特の映像感性で綴る夏目漱石の世界は素晴らしい。監督は森田芳光。これぞ森田の世界。 主人公代助が寝間で起き上がる。カメラがゆっくり…

映画感想「桜色の風が咲く」「宮松と山下」「ミセス・ハリス、パリへ行く」

「桜色の風が咲く」 世界で初めて盲ろう者の大学教授となった東京大学先端科学技術センター教授福島智さんと母令子さんの物語。評判がいいので見に行ったが、普通の作品だった。特に前半、大手病院の横柄な医師や、役立たずな父親の描写などあまりのありきた…

映画感想「ある男」

「ある男」 物語がどんどん闇の奥へ沈んでいく、あまりに奥の深い作品。名前というものの無意味さ、過去を変えられない残酷さ、そんな人生のどうしようもない一点に集中的に目を向けて行く展開が実に辛い。しかも、エピソードの配分がちょっと悪く、平坦すぎ…

映画感想「ザリガニの鳴くところ」

「ザリガニの鳴くところ」 ベストセラー小説の映画化と、鳴物入りの宣伝文句もあり、期待して観に行ったのですが、そこまで騒ぐほどの出来栄えではなかった。原作が映像として昇華仕切れていないのだろうと思います。でも、映画としてはそこそこに良質のいい…

映画感想「サイレント・ナイト」「ファイブ・デビルズ」「ザ・メニュー」

「サイレント・ナイト」 緊張感あふれるサスペンスというより、どこかブラックユーモア的な作品でした。毒ガスが迫ってきて、世界中の人間が死を覚悟し、安楽死のためのピルを飲んで最期を迎えるまでのジタバタを、恐怖だけでなく、生に執着する姿を描いた感…

映画感想「奈落のマイホーム」「すずめの戸締まり」

「奈落のマイホーム」 ハリウッド大作などとても作れないという割り切りから、アイデア勝負で完成させた娯楽映画の痛快作品でした。冒頭の十分は例によって韓国映画らしい稚拙さで始まるので我慢しないといけないながらも、本編の話になだれ込むとそれなりに…

映画感想「ドント・ウォーリー・ダーリン」「わたしのお母さん」

「ドント・ウォーリー・ダーリン」 いわゆる不条理劇かと思いきや、まさに今最先端のメタバースの世界を巧みにメッセージ発信のために使った、やや知識を見せびらかすような作品。それは難解であるからではなくて、埋め込んだメッセージを隠そうともせず、そ…

映画感想「あちらにいる鬼」「土を喰らう十二ヶ月」「恋人はアンバー」

「あちらにいる鬼」 とってもいい映画です。大人の恋を淡々と静かに描く筆致がとっても心に迫って来る感じですが、後、ほんの少しスパイスというか鬼気迫る一瞬があっても良かったかもしれない。笙子を演じた広末涼子がとっても良い形で映画を牽引しています…

映画感想「ディア・ハンター」(4Kデジタル修復版)「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」

「ディア・ハンター」 午前十時の映画祭、三回目の鑑賞ですが、やはり名作ですね。ビルモス・ジグモンドの美しいカメラも絶品ですが、登場人物それぞれが見事に描き分けられているし、反戦映画ではあるものの、青春映画としての側面もさりげなく画面から漂っ…

映画感想「RRR」「人生は二度とない」

「RRR」 本来はもっと長い作品なのだろう。相当にカットしてあるようで、おいおいと思うシーンの展開が散見されるので、ストーリー構成がアンバランスだし、主人公となる中心人物の物語が、あっちこっちに転がるのは如何ともし難い。クオリティよりも娯楽と…

映画感想「窓辺にて」「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」

「窓辺にて」 これは良かった。まるで、透明なガラスの上に貼られた一本の絹糸の上を歩いていくような研ぎ澄まされた繊細さに彩られたセリフの数々、そしてそのセリフをまるで協奏曲のごとく紡いでいく映像演出、そしてそのリズムに引き込まれる映画でした。…

映画感想「新宿馬鹿物語」「パラレル・マザーズ」「ヒューマン・ボイス」

「新宿馬鹿物語」 可もなく不可もない、たわいない人情コメディで、新宿歌舞伎町のバーで繰り広げられるてんこ盛りのエピソードが芸達者な役者たちによって淡々と展開する様は実に面白い。監督は渡辺裕介、脚本は神代辰巳。 第二次大戦開始間も無くの時代、…

映画感想「チケット・トゥ・パラダイス」「狂った一頁」(サイレント版79分版)「十字路」『衣笠貞之助監督版 87分英語字幕版)

「チケット・トゥ・パラダイス」 思いの外いい映画でした。アメリカ映画らしい陽気で明るいラブコメディという感じで、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツの熟年の魅力が等身大に描かれていてとってもいい感じになっているし、小さなトラブルを絶妙の…

映画感想「薮の中の黒猫」「喜劇 男の泣きどころ」「喜劇 女の泣きどころ」

「薮の中の黒猫」 終盤がちょっと間延びして行く上に、ストーリーが、前半の展開、中盤の展開、終盤の展開と一貫性が崩れていく流れが気になる映画でした。特にクライマックスはただの怪談映画で終わった感がある。監督は新藤兼人ですが、ちょっと出来は良く…

映画感想「おっぱいとお月さま」「グッド・ナース」

「おっぱいとお月さま」 これといって秀でた作品ではないですが、音楽がなかなか心地よい映画でした。ちょっと変態的な子供と変質的な青年、変態女という奇妙な三角恋愛ドラマがなんとも奇妙なファンタジー作品。監督はビガス・ルナ。 村のお祭りでしょうか…