2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧
「あすなろ物語」 堀川弘通監督のデビュー作で、黒澤明が脚本を書いた作品。ご存知井上靖の代表作の一本である。主人公の鮎太の少年時代から始まり、三年後三年後と繰り返し、三人の女性との関わりを通じて描く、井上靖の自伝的な物語である。曲の挿入や、シ…
「小さなスナック」 こんなみずみずしい青春映画は、ここしばらくお目にかかれなくなった。時代が変わったといえばそれまでですが、作る側も妙にうちにこもった理屈に走るラブストーリーに走り始めたせいかもしれない。とにかく、夜明けの清々しさや、夜の帳…
「神様メール」 かなり風刺の効いたおとぎ話という感じの、ちょっと素敵なファンタジーでした。監督はジャコ・バン・ドルマルです。神様というのはブリュッセルに住んでいて、息子はキリストとして有名になったけど、娘は知られていないというオープニングか…
「ディストラクション・ベイビーズ」 真利子哲也監督作品らしい、突っ走る映像表現は、ある意味、評価すべきだ。今時ここまで走れる監督がいないさみしささえ逆に感じてしまう。柳原優弥扮する主人公の少年は、出会う人間とただ、ケンカし、殴り合う毎日を送…
「君がくれたグッドライフ」 難病もの映画というのは苦手なのですが、一応見に行きました。とにかく全体に雑な作りになっているのが残念な一本で、どこに視点が置かれているのか、途中がややぶれてしまっている。監督はクリスティアン・チューベルト。主人公…
「大東京誕生 大江戸の鐘」 大曾根辰保監督作品と言われても、監督名がどうという作品ではなく、当時の大スターの総出演の松竹映画なのです。物語も、当時では常識の範囲の知識で見るべきなのですが、さすがに年月が経つと果たして物語が通じるのかという内…
「最後の切り札」 野村芳太郎監督、橋本忍脚本という典型的なサスペンス映画。素直に面白いし、楽しめる一本でした。ひとりのおおがらな男が車に乗る。その後を追いかける新聞記者らしい二人のシーンから映画が始まる。そして、ある宗教団体本部前で降りた大…
「千万長者の恋人より 踊る摩天楼」 とにかく、ひねくり回したストーリー展開で、イライラしてくるのだが、独特のカラーがあるからその不思議な魔力に引き込まれてしまうから不思議だ。監督は野村芳太郎。しかもアメリカ映画の翻案のようなコメディである。…
「世界から猫が消えたなら」 評判が良いのでかなりの期待で出かけた一本。確かに映画として非常に良くできています。若干、エピソードが細かすぎる感じがしないわけではありませんが、命、出会い、人生が、重くならずに、非常に綺麗に胸に迫ってくる。監督は…
「ズートピア」(日本語吹替版) 大ファンの上戸彩さんが吹き替えをしているというだけで、日本語吹替版を見る。映画もなかなかという評判を信じて見に行きました。さすがに、駆け抜ける躍動感あふれる映像はディズニーの真骨頂です。面白かった。監督は「塔の…
「奥様は大学生」 たわいのない映画である。時代色が満載の一本だが、香川京子を見るために行った感じの一本。監督は杉江敏男。大学に通う主人公は、特待生であるほどの勉強がよくできる。そんな彼女は付き合っている恋人が就職が決まったことを機に結婚する…
「マイ・フェア・レディ」 ほぼ40年ぶりか、全く午前10時の映画祭様様である。本当に素晴らしい。これが名作という。「ウエストサイド物語」を見たときも思ったが、やはり名作の豪華さ、感動がある。名曲の数々が流れると背筋が寒くなり、涙が自然と溢れてく…
「ヘイル、シーザー!」 おとぎ話である。ミステリアスでも、人間ドラマでも、コメディでもない。その不思議な空気がジョエル&イーサン兄弟の世界観である。厳密にはコメディなのかもしれない。なんか、煙に巻かれたような映画だった。映画会社の支配人が懺…
「山河ノスタルジア」 ジャ・ジャンクー監督作品なので、かなり構えてみたのですが、これは本当に良い映画でした。今までのジャ・ジャンクーの印象を完全に払拭した感じのとっても素敵な映画だった。もしかしたら、今のところ今年のベストファイブの一本に入…
「地獄の黙示録」(デジタルリマスター版) ほぼ40年ぶりに見直したが、改めて、この映画の凄さを目の当たりにする。これほどの作品を作れる監督は、少なくとも今のアメリカにはいないだろいと思える。その意味で、フランシス・フォード・コッポラは偉大である…
「木靴の樹」 ほぼ40年ぶりに見直した。公開当時、ほとんど印象に残るほどの記憶はない映画だが、今見直すと、どんな感想になるのかという興味からである。監督は巨匠エルマンノ・オルミである。北イタリアの貧しい農村で暮らす四組の小作人の物語が、まるで…
「ヒーローマニア-生活-」 ちょっと面白そうな内容だったので、楽しみにしていたのですが、残念な結果でした。オープニングの展開は面白いのですが、それも、細かすぎるぶつ切りのカメラワークと編集で、なんのスピード感も見えない上に、それをカバーするた…
「64(ロクヨン)−前編−」 久しぶりに、日本映画の、そして人間ドラマの傑作に出会いました。劇場内が静まり返るほどの緊迫感と胸に迫ってくる感動に、いつの間にか胸が熱くなり、涙がじわっとにじんでくる。後編があるとなっているから前半半分としてみます…
「追憶の森」 ガス・ヴァン・サント監督が日本の精神世界に挑戦した感じの一本で、そのチャレンジ精神はわかるのですが、正直、掴みきれていないのか、終盤までがとにかくしんどい。まぁ、舞台が青木ヶ原というのもあるが、周りの景色がひたすら森ゆえなのか…
「ハロルドが笑う その日まで」 ちょっと、北欧のユーモアセンスとずれがないわけではないけれど、散りばめられるさりげないコミカルなシーンにくすっと笑いながら、最後までほんのり癒されるハートウォーミングな感じで見ることができました。監督はグンナ…
「ちはやふる 下の句」 前半は競技シーンを中心にしたスピード感あふれる展開なので、なかなか面白かったが、後半は、当然ドラマ性が中心になるので監督の力量が目の当たりになる。とはいえ、それほど退屈にはならなかったのはやはり広瀬すずの存在感と松本…
「黒い画集 ある遭難」 香川京子特集の一本。松本清張原作の山岳サスペンスで、山々のシーンが実に美しい構図で撮られているのが見どころである。監督は杉江敏男である。山で一人の男岩瀬が死亡し、その遺体を山岳仲間が引き上げているシーンから映画が始ま…