くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「SHORT PEACE」「楽園の瑕 終極版」「大英雄」

「SHORT PEACE」 大友克洋、森田修平、安藤裕章、カトキハジメの四人が競作するアニメである。 オープニングは森本晃司監督。 一人の少女がかくれんぼの鬼になって神社の鳥居の前に座っている。目を開けると鳥居は近未来の建物になりその中に入っ…

映画感想「ベルリンファイル」「お父さんはお人好し 花嫁善哉」「お

「ベルリンファイル」 細かいカットをつなぎあわせていくアクションシーンの緊張感は半端ではない出来映え、そのおもしろさに酔いしれているだけなら傑作かもしれないが、いかんせんストーリーテリングのリズムがなっていないために、観客が物語を追いかけて…

映画感想「冒険者たち」「風立ちぬ」

「冒険者たち」 20年ぶりで見直した大好きな映画。いうまでもなく名匠ロベール・アンリコ監督の名作である。改めて見直したのですが、これほどまでにテンポがいい映画とは思いませんでした。映像がフランソワ・ド・ルーベの名曲にのって、みずみずしいほど…

映画感想「爆心 長崎の空」「シャニダールの花」

「爆心 長崎の空」 この手の映画は作品の出来不出来とかを云々言うべきではない。忘れてはならない出来事を後世に残すべき為の映画であるからである。とはいうものの、原作があるとはいえ内にこもりすぎた感がしないわけではない。もう少し解放した映像、演…

映画感想「ロマン・ポランスキー初めての告白」「ローズマリーの赤ち

「ロマン・ポランスキー初めての告白」 「私の墓に入れてほしいフィルムは「戦場のピアニスト」です」というせりふで締めくくられるドキュメンタリーである。チューリッヒ映画祭出席のため出向いたスイスで拘束され、自宅軟禁された時期にインタビューされた…

映画感想「忘れじの人〜船場の娘より〜」

地に足が着いた感じの日本映画の秀作。とってもいい映画、18歳から46歳まで演じた岸恵子乃演技が光る名編でした。 それに、船場言葉と呼ばれる大阪弁が実に自然で美しい。今やこれだけの大阪弁を語れる俳優さんはいないだろうと思えるほどに、誰もが本当…

映画感想「明日は月給日」「東京マダムと大阪夫人」「還って来た男」

「明日は月給日」 シーンとシーン、せりふとせりふがオーバーラップして軽快なテンポで物語が進むという、まさに川島雄三の語りの世界を満喫させる一本、とっても楽しかった。お金が機械で読まれている。カメラが引くと一人の銀行員古垣が札を数えている。そ…

映画感想「小早川家の秋」

現在日本で見られる小津安二郎監督作品のコンプリートスクリーン上映、最後の一本は「小早川家の秋」、ついに完走。 30数年ぶりで見直した小津安二郎監督の晩年の一本。東宝でメガホンを撮った作品で、当時の東宝松竹の看板俳優が目白押しに出ているオール…

映画感想「偽りの人生」「バーニー/みんなが愛した殺人者」

「偽りの人生」 可もなく不可もないふつうのサスペンス映画でした。というか、サスペンスよりも人間ドラマとしてふつうの作品でした。監督はアナ・ピーターバーグという人です。真っ暗な画面に蜂の羽音、画面が開くと蜜の採取をしている男女。一人はペドロ、…

映画感想「じんじん」「遠くでずっとそばにいる」

「じんじん」 俳優の大地康夫が北海道の剣淵市で出会った絵本の里運動の物語を題材に描いた感動のドラマである。いわゆる地方振興ドラマの一本だが、先日の「渾身」のように、優れた作品も時にあるので、期待はないとはいえ、ちょうど時間がはまったので見に…

映画感想「彼岸花」「出来ごころ」「秋刀魚の味」

「彼岸花」 小津安二郎初のカラー作品で、ドイツのアグファカラーと呼ばれる落ち着いた色彩の発色により描かれた作品で、カラーを初めて意識した小津安二郎の画面づくりが随所に見ることができる。主人公平山の家の廊下からローアングルでとらえるカメラの右…

映画感想「秋日和」「非常線の女」

「秋日和」 これはまさに名品と呼ばれる一本。唯一無二の名作である。物語は実にシンプルだが、恐ろしいほどに計算され尽くされた細かい演出が随所に見られる上に、ストーリー展開のリズムが絶品なのである。こんな、さりげないドラマがなぜこれほどまでに笑…

映画感想「青春の夢いまいづこ」「東京の女」「母を恋はずや」

「青春の夢いまいづこ」 学生時代を描いたサイレント映画である。 主人公になるのが堀木商事の社長の一人息子の哲夫。友人の三人の学友と彼らのマドンナになる学校の向かいの洋食屋の娘お繁とのたわいのない物語であるが、屈託のない展開がサイレント時代の…

映画感想「スタンリーのお弁当箱」「25年目の弦楽四重奏」

「スタンリーのお弁当箱」 踊らないインド映画というふれこみのハートフルムービーを見る。実際は歌のシーンもあるのですが、なんとも妙な気分になる映画でした。非常に緩いし、シンプルな物語であるが、実にそのメッセージは辛辣なものがあり、かつ出口が見…

映画感想「早春」「東京の宿」

「早春」 昨年みたばかりなのですが、長い作品でもあるので、この機会にというか、小津安二郎を通してみた上でもう一度みるとどうかと思って見に来ました。なるほど、縦に奥行きをとった構図が多用されているのがよくわかりました。「お早よう」同様に長屋の…

映画感想「100回泣くこと」「アンコール!!」「ハングオーバー!

「100回泣くこと」 この映画、評価も最低、思ったほどヒットもしていない。その原因が、わかったような気がします。非常に丁寧に、淡々と語るストーリー展開と、おきまりのこれでもかという泣かせのシーンをあえて静かな演出で見せているためである。しか…

映画感想「3人のアンヌ」「浮草物語」

「3人のアンヌ」 ホン・サンス監督が描く、ちょっと不思議なラブストーリー。一見、オムニバス風のお話ですが、登場人物というか演じる人は同じ。目くるめく繰り返しと散りばめられたアイテムがひとつに絡んで行く展開の妙味がとにかく楽しい一本でした。テ…

映画感想「淑女と髯」

軽いタッチのラブコメディで、戦前の小津安二郎の見所の一本でした。映画はある剣道の試合場にはじまります。コミカルなタッチで試合の場面を繰り返し、そのリズミカルな笑いにまず引き込まれてしまう。ここで、いとも軽々と勝っていくのがこの映画の主人公…

映画感想「大人の見る絵本 生まれてはみたけれど」「お早よう」「東

「大人の見る絵本 生まれては見たけれど」 この映画は本当にしみじみと心に迫ってくる秀作でした。なんといっても子供の描写が実に生き生きとしてほほえましい。それでいてじわりと現実味のある展開がとっても奥の深いもの感じさせるのです。物語はシンプル…

映画感想「桜姫」「真夏の方程式」

「桜姫」 見なければよかった。と思う映画に久しぶりに出会った。橋本一監督作品というだけで見に行ったが、まるでVシネマのようなできばえに辟易してしまいました。シネコンに書ける映画ではなく、隅っこの自主上映で見せるレベルの作品でした。主演の日南…

映画感想「ファインド・アウト」「欲望のバージニア」「コン・ティキ

「ファインド・アウト」 何の変哲もないサスペンス映画なのですが、なんとアマンダ・セイフライド初主演映画ということで見に行きました。しかし、彼女一人をひたすらカメラが追いかけるだけの物語で、よくもまぁ、ここまで引っ張ったものだと感心する一方で…

映画感想「殺人の告白」「宗方姉妹」「麦秋」

「殺人の告白」 非常におもしろい。映画作品としてはレベルも低く幼稚な出来映えなのであるが、そんなことはものともせずにどんどん突っ走っていくバイタリティに気圧され、いつのまにかのめり込んでしまうのである。日本映画が失ってしまったこの迫力が、こ…

映画感想「戸田家の兄妹」「一人息子」「お茶漬の味」「突貫小僧」「

「戸田家の兄妹」 これはいい映画でした。第二次大戦直前、大家族が次第に分裂していく様を実に世相を的確に感じ取って描いた映像が実にすばらしい。大邸宅でしょうか、土塀、そして植木のショット、記念写真のカメラ、そしてそのカメラの前に集まる家族たち…