2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧
「過去のない男」 淡々と展開する渇いたコメディという感じの一本で、例によって軽快な音楽センスと冷めたユーモアの数々がニンマリさせてくれて楽しい作品でした。監督はアキ・カウリスマキ。 列車の中、一人の男が乗っている。目的地に着いたがまだ夜明け…
「ゴーストバスターズ フローズン・サマー」 理屈づけがやたらくどい上にストーリー展開にキレがないのとダラダラ感が否めず、結局ひねくれた少女が引き起こした人類の危機を自らの知識で退治することになるという雑な話になっていた。そこに昔からのメイン…
「ピアノ・レッスン」 初公開以来30年ぶりの再見でしたが、やはりこの映画は名作です。男と女の愛情の不可思議さを徹底的に突き詰めた作劇と、恐ろしいほど大胆な構図、ブルーの色調を中心にした詩的で美しい画面、登場人物それぞれの生々しい感情の彷彿、そ…
「荒野の用心棒」 何回目かの再見、名作「用心棒」の焼き直しではあるけれど、これはこれで名作だと思います。砂煙りを白く見せる演出や、クライマックスの足元から靴だけを写して向こうを望むカメラ構図など、拍手ものです。監督はセルジオ・レオーネ。 ア…
「コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話」 相当に良かった。実話を元にしているとはいえ、エピソードの組み立てが抜群に良い脚本が素晴らしく、クローズアップや背後からのカメラワーク、延々と長回しをするリズム感と軽快な音楽の挿入が映画全体をテンポ…
「ペナルティループ」 面白いと言えば面白いのですが、テレビレベルの小手先のストーリーという感じの作品で、それを無理やりシュールな映画作品に仕上げようという軽いタッチの作品だった。結局なんの話かといえばその程度の話かという映画ですが、気楽に見…
「パラダイスの夕暮れ」 一切の余計な描写を排除し、研ぎ澄まされたエッセンスの塊の中にさりげないユーモアとセンスの良い曲、落ち着いた色彩演出で魅せる素朴なラブストーリー、これという仰々しい感動などはないのですが、ラストシーンがとっても粋なのが…
「四月になれば彼女は」 原作が弱いのか脚本が弱いのか演出が弱いのか、次の展開に行く動機づけが全く見えないために唐突にストーリーが流れていく感がラストの真相まで拭えなかった。それと、それぞれの役者は芸達者を揃えているのですが、完全な配役ミス。…
「ビニールハウス」 脇役も小道具も最後まで活かし切った非常によく練られた脚本なのですが、何もかもが悲劇で終わるエンディングは流石に辛い。生きているのが嫌になる程緻密に悲劇を紡いでいく展開になんの希望も未来もなく、グイグイと心の奥底を攻めてく…
「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」 若松孝二のプロダクションの黎明期を描いた第一作の続編ですが、めちゃくちゃ面白かったし、ものすごく良かった。生映画という表現がぴったりの生き生きした映画世界に浸ることができました。主人公のみならず脇役…
「12日の殺人」 ミステリーというより、人間ドラマという範疇の作品で、特に映像演出が優れているとかもなく、物語の構成や展開も面白いわけでもなく、鬼気迫るおもしろさもカリスマ的な魅力もない映画だった。監督はドミニク・モル。 トラック場を自転車で…
「変な家」 こう言う映画を真面目に見るものじゃないと思うので、その前提で見れば、全編見せ場の連続で全く退屈しない。しかし、ふと我に帰ると、細かいリアリティをすっ飛ばしたあまりに非現実的な脚本に唖然とする。その雑さゆえ、この映画がホラーではな…
「海街奇譚」 個性的なカット割と大胆な編集、鏡や窓ガラスを効果的に使った見事なカメラワークと美しい構図で、相当映像クオリティの高い作品なのはわかるのですが、いかんせん物語が追いかけていけなかった。現実なのか回想なのか妄想なのか、過去と現在を…
「マリの話」 所々にキラキラ光るシーンやセリフが楽しい作品で、60分と言う中編映画の面白さを堪能できる作品でした。監督は濱口竜介監督の助監督に就いた経験のある高野徹。 四つのパートに分かれて、現実か夢かわからない場面が交錯して展開していきます…
「DOGMANドッグマン」 なかなか深みのある人間ドラマだった。B級ホラーアクションかと思いきや主人公のキャラクターが単純なサイコ野郎ではなくて、なるべくしてなってしまった深みのある存在感で、その描写がドラマを大きく膨らませている。さらに神の存在…
「青春の反抗」 青春映画という触れ込みなのですが、芯になる話がまとまっておらず、三角関係の展開を繰り返す一方で学生運動の成り行きを同じウェイトで描いていくので視点が見えてこない。ラストの締めくくりから遡って思い起こしても、今ひとつ心に迫って…
「ロッタちゃん はじめてのおつかい」 たわいない子供映画かと思っていたら、思いの外楽しい映画だった。当時大ヒットしたのもうなずける作品でした。主人公ロッタちゃんの愛くるしさだけでなく、何気なく展開するエピソードに心温まる感動を覚えるし、街の…
「ゴールド・ボーイ」 原作が弱いのか脚本が甘いのか、登場人物が全く生きた人間に見えない上に、それぞれの人物背景が全く感じられず、しかも小手先だけの展開を繰り返し、キレのない演出で目先の面白さだけを追いかけていく作品だった。役者陣も精彩がない…
「DUNE 砂の惑星PART2」 SF超大作とはこういう映画だと言わんばかりの圧倒的な映像と壮大なドラマを堪能できる映画だった。とは言ってもPART1でも書いたが、ドラマ部分がやや持て余し気味に走ってしまうのが非常に残念。三時間近くかけたものの、クライマッ…
「犯罪都市 NO WAY OUT」 大ヒットシリーズですが見たことがなかったので、一見のためと見にきたが、娯楽映画としては非常に雑な脚本とグチャグチャな展開で、上映時間の割にダラダラと長く感じる作品だった。マ・ドンソクのスター映画といえばそれまでです…
「ポーカー・フェイス 裏切りのカード」 脚本、監督をしたラッセル・クロウの思いが強すぎて表現がついていかなかった感じの作品で、カット割もテンポが悪いし、ストーリーテリングも奇妙だし、何より、めちゃくちゃと言う出来栄えの映画だった。 美しい景色…
「FEAST 狂宴」 題名から、もっと奇抜で、突拍子もない映画なのかと思ったら、崇高な宗教観を伴った、ちょっと高尚な作品だった。と思うが、果たして理解できているのかは自信がない。食をモチーフに人々の生きる道徳感や宗教観を俯瞰で見下ろすような映画だ…
「エマニエル夫人」 公開当時は映画館に入れない状況で結局劇場で見れなかった上に、まだまだ学生で躊躇していた話題作をこの年でようやく見ることができた。すでに五十年前の作品で、現代のように刺激過多の時代で見直すと、これという作品ではない物足りな…
「ARGYLLEアーガイル」 二転三転四転五転、遊びきったストーリー展開と、モダンでスタイリッシュなバトルアクションシーンのオリジナリティで、映画って本当に面白いものだなと拍手させるほど楽しい映画だった。この監督の感性は本当に面白い。一体頭の中に…