くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「乾いた人生」「切られた首」

「乾いた人生」 ブラジル映画で、今まで公開されていなかった1963年の作品。ではあるが、非常にしっかりと演出されたなかなかの一品でした。 ブラジル移民の過酷な生活をリアルなタッチと技巧的な編集で見事に映画作品に仕上げたという感覚の秀作であっ…

映画感想「あの胸にもういちど」

カメラマンとしても一流のジャック・カーディフが描いた名作。完全版ということなので、公開当時はちょっとエロティックなシーンなどがカットされていたのでしょう。とはいっても、今回の完全版、かなりフィルムも音声も痛んでいました。この映画の名場面と…

映画感想「Rickyリッキー」

宣伝フィルムを見ていたときは、てっきり羽の生えた赤ちゃんのファンタジックでほのぼのした映画だろうと思っていました。なんせ、フランソワ・オゾン監督なのだからそういう映画だと考えるのがふつうなのです。が、これが全く違いました。あまりにもシリア…

映画感想「ウッドストックがやってくる!」

アン・リー監督は特に嫌いな人ではないのですが、この作品は何ともつかみ所のない自主映画のような一本でした。作品自体にまとまりがなくて、いったいどこへ進んでいくのか全くわからない。出だしは町おこしのごとく展開して右往左往する主人公と町の人々と…

映画感想「ノルウェイの森」

期待もしていなかったし、見た方の感想を聞くと誰もが原作の方がよかったなどというので、見ないつもりだったのですが、どうも気になって見に行きました。トライ・アン・ユンという監督の作品は見たことがありませんが、この作品についてはいわれているほど…

映画感想「イップ・マン 葉問」「若者のすべて」

「イップ・マン 葉問」 ブルース・リーが唯一師匠とした格闘家イップ・マンの半生を描いた作品。 物語は単純ですが、本物の迫力が炸裂する格闘シーンは見応え十分です。さらに、かなり中年おじさんになったサモ・ハン・キンポーがでているというのもちょっと…

映画感想「グリーン・ホーネット」

この手の映画に妙な理屈をつけるのはよくない。単純に楽しめればいいのである。とはいうものの、やはりどんな映画にもおもしろい、おもしろくないがあるように、できばえが悪いとつまらない退屈な映画になる。 と、こう書き出すとおわかりかと思うが、この映…

映画感想「黒いチューリップ」

「黒いチューリップ」 アラン・ドロン生誕75年の一本。遙か昔、テレビの洋画劇場華やかな頃にみた一本で、懐かしさで見に行きました。 物語はたわいのない冒険活劇で、これといって取り上げるほどの作品でもありませんが、アラン・ドロン主演というだけで…

映画感想「ソーシャル・ネットワーク」「棒の哀しみ」

「ソーシャル・ネットワーク」 人並みはずれた創造力と才能が突っ走っていく姿を見事に映像化した傑作。しかも、突っ走る課程で描かれる孤独と人間ドラマ、その奥の深い演出はまさにデビッド・フィンチャーの才能の証明でもある。物語は今をときめくSNS「…

映画感想「噛む女」

脚本の荒井晴彦がキネマ旬報脚本賞を取ったサスペンスの傑作。というふれこみ通り、緻密に三層に組み立てられたミステリアスなストーリー展開は見事でした。さらに、その完成度の高い物語を前半と後半に演出手法を変えた神代辰巳の演出がさえ渡った一品だっ…

映画感想「愛する人」

非常に中身の濃い秀作でした。見終わった後ぐったりするほどの充実感を味わいました。テーマは母親と子供、まさに原題そのままの物語です。女であることのすばらしさ、母になることのすばらしさをしっかりと訴えてくれる見事な作品だったと思います。映画が…

映画感想「地下室のメロディ」「嗚呼!おんなたち猥歌」

「地下室のメロディ」何十年ぶりで見直した大好きな映画。映画の話をするときに、特にアラン・ドロン作品やヨーロッパ映画の名作を語るときには必ず取り出すのがこの作品。それほど印象が深いし、ラストシーンの札がプールに溢れる名場面は思い出すだけでも…

映画感想「赫い髪の女」

即興演出に近い神代節が抜群のバランスで成功した傑作。主演の宮下順子を始め、石橋連司他のわき役の男性陣に至るまでが見事にストーリーの中でとけ込んでいる。さらに、男と女の情念の恋が人間ドラマとして見事に結実しているのがこの作品のすばらしいとこ…

映画感想「悶絶!!どんでん返し」

ロマンポルノシナリオ募集で入選した作品の映画化。 何ともバイタリティあふれるエロティックコメディで、見応えのある秀作でした。 谷なおみがコミカルでコケティッシュな女を好演し、脇役ながら映画に味をもたせる役割を果たし、作品がなんとも楽しい一本…

映画感想「アンストッパブル」「宵待草」

「アンストッパブル」 とにかく、本編が始まったらエンディングまでまさに止まらない映画である。それほどおもしろい。なぜか?それはデジタルカメラを駆使し、ハイスピードかつスタイリッシュ、さらに細切れのような細かいカットの連続を編集していくトニー…

映画感想「エリックを探して」

何ともバランスの悪い映画である。 映画が始まると、なにやら逆行して運転する主人公エリックの車の中。当然、事故を起こして暗転、タイトルバック、病院のシーンへと続く、ここまで見たところでちょっとおもしろそうだと興味を覚える。物語は、最愛の妻に逃…

映画感想「海炭市叙景」「少女娼婦けものみち」「女地獄森は濡れた」

「海炭市叙景」 海炭市という架空の街を舞台に、そこで暮らす人々の姿をオムニバス風につづりながら、人間同士の悲哀、ヒューマンドラマを丁寧な詩編のごとく語っていく作品である。 2時間を超える長尺であるが、元々の原作が短編集なので、それを寄せ合わ…

映画感想「しあわせの雨傘」「クレアモントホテル」

「しあわせの雨傘」 楽しい人生賛歌です。そしてカトリーヌ・ドヌーヴの映画でした。出だしからせりふが踊りだして歌い始めるリズム感はまさにフランソワ・オゾンの世界です。 ドヌーヴ扮するスザンヌがジョギングをしている。美しい森の景色、色彩に彩られ…

映画感想「一条さゆり濡れた欲情」「赤線玉の井ぬけられます」「四畳

「一条さゆり濡れた欲情」 ロマンポルノ作品の中で傑出した傑作と呼ばれる一本。そのバイタリティあふれる映像がスクリーンから迫ってくる迫力に圧倒されます。映画が始まると今は引退して寿司屋で働く一条さゆりのシーン、そこへ絡んでくるやくざ風の男のシ…

映画感想「青春の蹉跌」「アフリカの光」「櫛の火」

「青春の蹉跌」 神代辰巳監督の代表作にして名作と呼ばれる一本。はじめて見たのはすでに30年以上前である。 今回見直して、もちろん神代辰巳節炸裂の映像表現であるが、即興に近い演出の中で主演の萩原健一、桃井かほりが見事のその演出に応えているとい…

映画感想「遠い明日」「黒薔薇昇天」「恋人たちは濡れた」

「遠い明日」 19年前の父の殺人事件の真相を探るために北海道から九州へやってきた主人公多川明。調べるうちにえん罪であることが明白になり始め、真犯人との接点もできた中で真相が判明。 ようやく証した父の冤罪。そして助け出した父親は出たとたんにピ…

映画感想「バベットの晩餐会」

午前10時の映画祭でようやく見ることができた一本。しかも今回で権利切れになるので今度いつスクリーンで見ることができるか不明の作品である。非常に静かで神々しいまでに質素なムードが漂う作品であるのはやはり北欧デンマークの映画であるからでしょう…

映画感想「かぶりつき人生」「濡れた唇」

「かぶりつき人生」 神代辰巳監督デビュー作、日活がロマンポルノ路線をとる直前の映画である。 とはいっても、題材はストリッパーであり、ふんだんに出てくる裸シーンこそ控えめながら、後のロマンポルノへ向かう日活路線がかいま見られる一本でした。 なんと…

映画感想「相棒-劇場版II- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜」

テレビシリーズの大ファンでもあり、和泉聖治監督のファンでもあるために、前回の「劇場版第一部」も楽しめました。個人的には、前回のほうが映画版としては面白かったように思います。今回は警察内部の権力争いをテーマに右京さんたちがなぞを解いていくと…