くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「罪の天使たち」「マイレージ・マイライフ」

ロベール・ブレッソン長編第一作「罪の天使たち」をみる。 素晴らしかった。影を効果的に利用した画面づくりのすばらしさに感心してしまいました。物語は、一人の女囚人に魂の救いをさしのべるべく自ら修道女となり、献身的に振る舞う一人の女性の姿を描いて…

映画感想「シェルター」

スウェーデンの新鋭監督モンス・モーリンド、ビョルン・スタインのコンビが描いたスリラーサスペンス。 宣伝フィルムを見たときからちょっと惹かれていたので見に行ったが、なんとも、凡作であった。つまらない、という言葉がぴったりの作品で、まっすぐに展…

映画感想「風の中の牝鶏」「夜の女たち」

「風の中の牝鶏」 小津安二郎監督作品である。 戦後間もない時期を背景に、子供の入院費を工面するために、一夜他人に身を任せた妻と復員してきた夫のドラマを描いています。小津安二郎作品としてはちょっと異質な物語で、主人公の田中絹代の夫役佐野周二演…

映画感想「緑の光線」「抵抗 死刑囚の手記より」

「緑の光線」 30数年ぶりに見直す。 ヴァカンスの約束をドタキャンされた主人公デルフィーヌは失意の中、周りの友達の勧めで誘われるままに休暇に出かける。しかし、そこで出会うのはただ、一夜のセックスを求めるだけの男たちばかり、ドタキャンされた彼…

映画感想「花のあと」

藤沢周平原作の「山桜」に次ぐ二部作の一遍である。物語の構成といい、プロットの展開といい、ストーリーの転換のうまさといい、いい映画でした。ラストシーンはじんとくる感動がこみ上げてきました。 前評判で北川景子の殺陣がおぼつかないとか着物の着こな…

映画感想「レネットとミラベル四つの冒険」「ダレンシャン」

「レネットとミラベル四つの冒険」 今回の映像も赤とブルーを基調に描いた画面が全編にちりばめられている。しかも題字もパステルカラーのような色合いであるところから、この監督の色の個性であるらしい。物語はパリから田舎にサイクリングに来た主人公ミラ…

映画感想「海辺のポーリーヌ」

昨日に続いて30年ぶりにみたエリック・ロメール追悼作品。 物語の展開や人物の設定が、昨日の「満月の夜」に非常によく似ている。しかし今回は15歳の少女ポーリーヌを通じて大人の恋の模様を描いていくという設定が少し違うし、登場人物の心の変化、微妙…

映画感想「満月の夜」「ニューヨーク、アイラヴユー」

エリック・ロメール追悼「満月の夜」 青と赤そして、時々黄色を意図的に画面に配置し、まるでモダンアートのような映像世界を構築、そしてその中で展開する一人の女性の奔放的な自由恋愛の世界、さらに、その恋愛に翻弄される三人の男の物語です。 そんな物…

映画感想「春琴抄お琴と佐助」「マダムと女房」「東京の女」

「春琴抄お琴と佐助」 田中絹代生誕百年上映の一本で、谷崎潤一郎の原作が初めて映画化されたときの作品である。 すでに年月もたち、非常に見づらい状態ではあるが、古き時代の大阪の風情が描かれていて、こうしたクラシック映画を見る楽しみの一つである、…

映画感想「海の沈黙」「アイガー北壁」

今日も映画のはしご。 まずはジャン=ピエール・メルビル監督伝説のデビュー作「海の沈黙」正直、全編ナレーションによるストーリー展開と登場人物が三人という中での心の葛藤を描いていく物語なので、しんどいです。クローズアップや俯瞰、見上げるシーン、…

映画感想「フィリップ、きみを愛してる」「プリンセスと魔法のキス」

「フィリップ、きみを愛してる」 そもそも、ゲイの映画は嫌いである。さらにジム・キャリーもユアン・マクレガーもどちらかというと嫌いな俳優でもある。にもかかわらず、そのどれもが抜群によかった。それがこの映画である。愛するフィリップに会いたい一心…

映画感想「NINE」

イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニ監督による不朽の名作「8 1/2」を元に描いた名作ミュージカルをロブ・マーシャルが映画化。期待に胸を膨らませて見に行った。ちょっと気負いすぎた感じがしないでもないが、冒頭の美女総出演のオープニングから一気に…

映画感想「渇き」

韓国映画はなぜああも悪趣味かつグロテスクなシーンを平気で演出するのだろう。しかし、それでも作品としてはそれなりの水準の作品なのである。本日見たこのヴァンパイア映画もしかりでした。監督は「オールドボーイ」などのパク・チャヌク、主演は私の好きな…

映画感想「シークレットサンシャイン」

韓国の映画はどうも苦手なのですが、カンヌ映画祭主演女優賞を取ったチョン・ドヨンの演技をみたくてこの作品を見に行きました。題名の由来は舞台になる密陽という町からきています。 夫を交通事故でなくし一人息子と二人きりになった主人公シネが道で車が動…

映画感想「時をかける少女」

「時かけ」という新語まで生まれている大人気の原作、数年前のアニメ版は傑作と評され、私のような年代の人間にはNHKのテレビドラマ「タイムトラベラー」として思い出の、いや幻のSFラブストーリーとして、そして大林宣彦監督原田知世主演の名作として思…

映画感想「北北西に進路を取れ」

ご存じ、アルフレッド・ヒッチコック監督の代表作の一本である。そしてヒッチコックの集大成と呼べるほど、彼のエッセンスがちりばめられていると言っていい。初めてみたのはすでに20数年前であるが、やはり何度見直してもすばらしいですね。タイトルバッ…

映画感想「ヴェルクマイスター・ハーモニー」

タル・ベーラ監督作品ということでもう一本チャレンジである。しかし今回も長い。つまりワンシーンが非常に長い。2時間24分の作品でわずか37カットしかないという演出スタイルでみるものを陶酔の世界へ引きこっんでくれる。物語はというと、書きようが…

映画感想「シャーロック・ホームズ」

いやぁ、久しぶりにわくわくするほどおもしろい娯楽映画に出会いました。 画面に疾走する馬車がフレームインしてくる、そしてカメラの前を通り過ぎるや画面奥へ走る、それを猛スピードで追うカメラ。 中にはシャーロック・ホームズ(ロバート・ダウニーJr…

映画感想「すべて彼女のために」「倫敦から来た男」

「すべて彼女のために」 フランス発のサスペンスでポール・ハギスがリメイク権を取得したという話題作である。 真っ暗な画面に殴り合いのような音が聞こえタイトルが始まる。血だらけの主人公ジュリアンが車をバックさせている。いきなりのショッキングな導…

映画感想「ハート・ロッカー」

よけいな偏見を入れたくなかったのでアカデミー賞発表前に行きたかったのだが、昨日発表があって、作品賞、監督賞、など主要部門を受賞してしまいました。これは予想通りといえば予想通りでしたが、アラ探しか賞賛かを見極めるべく見に行きました。全編手持…

映画感想「裏窓」

これまた久しぶりに、ヒッチコックの名作を見る。午前10時の映画祭であるが、さすがにこのあたりになると満席であった。この作品についてはほとんどの場面は覚えていると思っていたが、やはりクライマックスまでの行き詰るシーンの積み重ねはかなり忘却の…

映画感想「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」

よくもまぁ、ここまで馬鹿にした作品を作ったものである。人気テレビシリーズの最終章ということで最後は劇場でというふれこみで作った割に、テレビシリーズのスケールそのままにスクリーンに映しただけという仕上がり。登場人物は同じというのはわかるが、…

映画感想「カラヴァッジョ 天才画家の光と影」

光の魔術師と呼ばれる名キャメラマンヴィットリオ・ストラーロ、彼が自身が敬愛する天才画家カラヴァッジョをスクリーンに映し出すべくして作った作品ではないか、というのが私の第一印象です。正直、物語は非常にしんどいし、展開が散漫で何を描こうとして…

映画感想「動くな、死ね、甦れ!」「ひとりで生きる」

田中さんが絶賛していたヴィターリー・カネフスキー監督作品を神戸新開地へ見に行ってきました。 まず「動くな、死ね、甦れ!」 最初、なんの前知識もなくみていたので、舞台背景がわからず苦心しましたが、そのうち次第に見えてきました。 舞台は第二次大戦…

映画感想「しあわせの隠れ場所」

素直にいい映画だと思える作品でした。誠実な演出と映像で見せる実話を基にした秀作という感想がぴったりの映画でした。いまは80店舗以上のファーストフード店を経営するいわば成功者であるテューイ家の妻リー・アン(サンドラ・ブロック)が一人の不遇な黒…

映画感想「バッド・ルーテナント」

ニコラス・ケイジは嫌いである。しかし監督がヴェルナー・ヘルツォークとなれば見に行かざるを得ない。そして、すごい映画に出会いました。まさに超怪作というべきでしょうか。すばらしい作品に出会ったのです。画面が始まるといきなり水の中を蛇が泳いでい…

映画感想「明日に向って撃て!」

学生時代に見たアメリカンニューシネマの傑作。 果たして今見て、そのよさがわかるかと見に行きましたが、参りました。やはり名作は名作、うなってしまいます。出だしは古いフィルムを上映するようにしながらのタイトルバック。その画面には全盛期のブッチと…