2024-01-01から1年間の記事一覧
「私にふさわしいホテル」 これはめちゃくちゃ面白かった。芸名能年玲奈以来ののんちゃんのコメディエンヌの才能爆発の一本。そこに監督の堤幸彦のさりげない冗談演出が散りばめられ、テンポ良くあれよあれよと流れていく有象無象の世界がとにかくあっぱれ。…
「神は銃弾」 実話をもとにしたフィクションとして描かれるサスペンスですが、映像のクオリティはなかなか高いのですが、いかんせん物語が全編暗い上に、真相の明らかになるラストの鮮やかさにやや欠けるのと、エピソードの構成、登場するキャラクターをもう…
「ソウル・オブ・ア・ビースト」 美しいカメラと目まぐるしいカット割りで映像詩のように描いていくストーリーがなかなか秀逸で、映像で心の姿全てを表現するので、時に壁が崩れるなどのシュールな場面も散見されるが、語りが見事なので、違和感を感じなくな…
「ライオン・キング ムファサ」 超実写版というCGアニメですが、いわゆる「ライオン・キング」シンバの父ムファサの物語で、「ライオン・キング」につながる様々なキャラクターや舞台の成り立ちが描かれる形で、シンプルに楽しめる冒険物語です。CGアニメに…
「青春」 215分のドキュメンタリーを最後まで見たと言う達成感のみの映画。中国経済を支える長江デルタ地域の縫製工場をひたすら捉えていく作品で、二十歳そこそこの若者達の目まぐるしく働く姿を延々と見せられました。正直この時間が必要なのかと言う一本…
「型破りな教室」 思いの外、映像的にもクオリティの高い一本だった。メキシコの荒んだ現状を背景にした実話に基づく作品ということなので終始悲惨な状況ばかりかと思われたが、リアリティを踏襲しながら先生と生徒のヒューマンドラマ部分、小学生同士の心の…
「聖⭐︎おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団」 ギャグネタの羅列の連続、ボケとツッコミ、アドリブ満載で展開するバッカばかしい映画ですが、終始笑いっぱなしのエンタメ感満載だった。大ファンの女子ーズも、デスノートも出て来るし、楽しい。もう…
「歓びの毒牙」 荒削りではあるけれども、なかなか面白いミステリーホラーだった。エンニオ・モリコーネの流麗な音楽とヴィットリオ・ストラーロの美しいカメラ、光と影を多用した緊張感、次々と現れる謎の存在、次第に見えて来るかに思われた後のどんでん返…
「あゝひめゆりの塔」 第二次大戦末期の沖縄で、看護婦として徴用された女生徒たちの悲劇を描く群像劇。緻密な脚本と丁寧な演出で隙のない展開は流石に見ごたえ十分な人間ドラマでした。監督は舛田利雄。 踊り狂う若者たちの姿、踊っている曲をリクエストし…
「バグダッド・カフェ」 15年ぶりの再見ですが、やっぱりいい映画ですね。心がとっても優しくなってしまうし、映像が美しいし、とにかく映画が楽しい。監督はパーシー・アドロン。 殺伐としたハイウェイの隅で、一台の車に乗っている男女、女は車のそばで用…
「お坊さまと鉄砲」 めちゃくちゃいい映画だった。あまりに大きなものを見せられて自分がいかに小さいかと涙が出てしまった。物語の構成も巧みでサスペンスフルに展開するし、ラストに向けての謎が明らかになるともうたまらなく感動してしまいました。とにか…
「太陽と桃の歌」 スペインのカタルーニャの三代続いた桃農園の家族の一夏の物語を淡々と静かな筆致で描いていく作品で、これと言う大きな出来事もなくドキュメンタリーの如く展開するのですが、丁寧な演出が映画のクオリティをそれなりに映像作品に仕上げて…
「ホワイトバード はじまりのワンダー」 「ワンダー君は太陽」のアナザーストーリーという作品で、主人公オギーをいじめて退学になったジュリアンとその祖母の物語なので、全く関係のない作品。今更ながらのナチス映画ではあるが、とにかく映像センスが抜群…
「いつでも夢を」 もっとゆるい歌謡映画かと思っていたら、思いの外良かった。ささやかな幸せを求めるという素朴な夢を忘れがちな自分たちの目を覚させてくれる秀作でした。カメラワークも心地よいし、橋幸夫、浜田光夫、吉永小百合らのキラキラ光るスター性…
「若い人」 石坂洋次郎原作らしいゆるゆるの青春映画という感じの作品で、これという見どころも見応えもなく、石原裕次郎、吉永小百合、浅丘ルリ子のスター映画という一本だった。監督は西河克己。 港町の女子校、若き間崎先生が教室でテストを配る場面から…
「山遭いのホテルで」 淡々と静かに進むストーリーですが、次第に心のうねりが見えてきて、母と子それぞれが未来に進まんともがく姿が画面から滲み出てきて、ラストはなんとも言えない胸を打つ思いを体験する作品でした。カメラも静かで美しいし、主要人物二…
「クルージング」 初公開以来だから四十数年ぶりの再見。ムード作りの上手い監督なのは分かっていたが、初めて見た時の印象が殆どなく、今改めて見ると流石に良くできている。監督はウイリアム・フリードキンですが、彼の作品の中では中の下の出来栄え。でも…
「最も重要なものは愛」 ロミー・シュナイダー特集で初公開された作品。映画のテンポが悪いのか、物語の核が見えない上に、背後の音楽と映像がチグハグで、わざとかもしれないが、ストーリー展開が混乱して最後まで行った気がしました。ロミー・シュナイダー…
「花嫁はどこへ?」 これは掘り出し物の秀作だった。素直にめちゃくちゃ良かった。インドというお国柄がないと存在しない話ではあるけれど、ヒューマンドラマ部分にサスペンスを織り込み、さらに女性の自立というインドの時代の流れを背景に描いて行く緻密な…
「ザ・バイクライダーズ」 シカゴの写真家ダニー・ライアンが1965年から1973年にかけて撮った写真集をもとにした作品。時代背景ゆえかどこか懐かしさを感じてしまう、かつて世界を席巻したバイク乗りの青年たちの物語という感じの一本。しかし描かれる背後に…
「リュミエール!リュミエール!」 2016年制作のリュミエール兄弟の作品群を構成したドキュメンタリーの第二弾。50秒の作品を110本集めて描くのだが、驚くような構図、カメラワークに今回も驚かされてしまった。現在の一級品の映画に通ずる原点を、軽妙なナ…
「雨の中の欲情」 現実か夢かはたまた漫画の中の世界か、目眩くようなシーンの交錯に中盤以降はとうとうついていけなくなった。果たして現実の話はどれだったのかと混乱してしまい、原作がどうなのかわからないが少々作りすぎの感がないわけではない。ただ、…
「正体」 最初に気になった点ですが、原作もあるのでわざとなのかもしれませんが、主人公鏑木の背景の家族の描写が全くない。それが作劇にプラスになっているのなら構わないのですが、生身の人間感が希薄になってしまって、なぜここまで逃亡劇を繰り返すのか…
「ネットワーク」 オープニングからラストまで機関銃のようにセリフが応酬、そしてクローズアップの見事な演出に圧倒されてしまう作品だった。ロードショー以来だから四十年ぶりくらいの再見、名作ではあるが、個人的にはあまり好きな作品ではない。とは言っ…
「チネチッタで会いましょう」 ダンスや歌が挿入され、一見シリアスな話がみるみる映像として踊り始めると言う作りはとっても面白い。時代遅れの映画監督がさまざまな今時の周囲の人々に翻弄されながら、次第に時の流れに乗って、最後はみんなハッピーエンド…
「ふたりで終わらせる IT ENDS WITH US」 よくあるDV映画ではあるのですが、非常に練られた脚本と演出で、映画作品としてもなかなかの出来栄えになっているのは良かった。カメラワークも丁寧だし、DVとそうでない境目を見ごとなタッチで映像に表現したのは感…
「海の沈黙」 書き込まれた脚本、掘り下げられた演出、圧巻の演技陣、美しい映像、そして物語は若干詰め込みすぎた感もあるがそれなりにシンプルに、非常にクオリティの高いしかも良質な秀作。こういう映画を見て評価しないと日本映画は廃れる。それくらいの…
「ジュブナイル」 かつてのNHK少年ドラマシリーズのような物語ですが、めちゃくちゃ面白かった。特撮シーンのワクワク感、かつて子供の頃に味わっていた高揚感、そんなノスタルジーとエンタメが融合した秀作だった。監督は山﨑貴、デビュー作である。 ワーム…
「小さなムックの物語」 一般劇場公開されていないのかデータが見つからなかった東ドイツ映画。シネヌーボーの特集で見る。アグファカラーの落ち着いた色彩で見せるお伽話ファンタジーで、たわいない特撮を散りばめながらの物語は個性的で面白かった。監督は…
「他人は地獄だ」 韓国WEBコミック原作だけあってかなりグロテスクなシーンが連続するが、それを無視すれば、なかなかよくできた面白いサスペンスホラーだった。東洋思想を背景にした作劇もこれはこれで面白いし、若干、ラストは思った通りという予想が八割…