2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧
「エスター ファースト・キル」 前作でリアル12歳のイザベル・ファーマンが25歳の今、再度エスターを演じるというのだけが売りなのかという映画だった。前作のキーは十歳に見える少女が実は三十歳を超す大人の女性のサイコ的な殺人鬼というのがサプライズだ…
「赦し」 暗い作品ではあるけれど、訴えかけてくるメッセージがラストまでぶれない演出はなかなかのものでした。ただ、脚本はかなり古臭いし、薄っぺらいのは残念。監督はアンシュル・チョウハン。 川岸を俯瞰で撮ったタイトルからカットが変わると一人の男…
「メグレと若い女の死」 なんとも普通のミステリーでした。映画も物語も、映像も普通すぎる普通の仕上がりで、淡々と進む捜査の過程を捉えて行って、最後に犯人が見えてきてエンディング。なんなのだという感じで退屈だった。監督はパトリス・ルコント。 何…
「ロストケア」 素直に良かったと感想を書く作品ではないと思うし、終始、自分に問いかける相当に重苦しい映画だった。確かに、殺人も人種差別も、児童虐待も、そんな社会のそれぞれは悪であり罪であるかもしれないが、その裏側を本気で推し量って意見してい…
「シング・フォー・ミー、ライル」 本当にたわいもない映画ですが、曲が良いので最後まで楽しめました。物語は後半かなり適当に展開するけど、ほのぼの浸るファンタジーミュージカル、童話の世界観がとっても良かった。監督はウィル・スペック、ジョシュ・ゴ…
「BLUE GIANT」 行く予定になかったが、評判が良いので見に出かけた。ジャズについては全くの素人ですが、ステージシーンは抜群に良かった。躍動する絵作りと色彩、そして動きに圧倒されていきます。ただ、モーションキャプチャーを使っているのか、遠景でス…
「コンペティション」 モダンな建物と徹底したスタイリッシュな構図で描きながらの会話劇は、まるで人を食ったように毒々しくも本能のぶつかり合いになっている。まるで演技のワークショップかと思えるようなストーリー展開、天才監督ローラが何が天才なのか…
「無法松の一生」 三船敏郎版の作品。スタンダードからワイドに、モノクロからカラーにかえ、阪妻版と同じ脚本監督でリメイクされた名作。カットされた部分が復活されていますが、阪妻と三船の違いでしょうか、。個人的には阪妻版の方が泣けてしまいました。…
「零落」 淡々と進むストーリーなのだが、流れが五里霧中で、手探りでついて行く感じがなんともしんどい。繰り返し繰り返し、自分のステイタスを上から目線で周りに訴える主人公の立ち位置が今ひとつ引き込んでくれない。ところがラストの十分くらいから妙に…
「Winny」 映画自体はそれほど優れたものではないし、脇役を見ればその程度かという作りになっているのですが、最初から最後まで興味深くかつ面白く見ることができました。Winny開発という点を通じての現代の私たちがすべき事を突きつけられた気がします。監…
「ひとりぼっちじゃない」 ダラダラと間延びした脚本と演出、意図的だろうがぼそぼそと台詞を喋らせる展開で、二時間が退屈の極み。しかも同じシーンを繰り返すシュールさに面白さもなく、暗転を繰り返す編集もしんどい。蓉子が登場するまでの流れとその後の…
「パンズ・ラビリンス」 国内最終上映ということで、再度見に行った。流麗なカメラワークと目眩くような陶酔感、フランコ独裁政権下という暗黒のスペインを舞台にした厚みのある物語設定で描かれるダークファンタジーの傑作、公開当時の圧倒的な印象を再度確…
「無法松の一生」(阪東妻三郎版) 何回見たかわからない大好きな映画、さすがにこれだけの名作になると技術とか演出力とか言う理屈では書けない迫力があります。今回は、フィルム修復の過程と当時の検閲によるカットの経緯などを説明した短編映像がセットされ…
「テイク・イット・イージー」 吉川晃司のアイドル映画、学生映画のようなノリで展開するたわいない映画ですが、大森一樹監督らしい瑞々しい青春の空気感がみなぎった作品でした。 吉川晃司のステージシーンから映画は幕を開けて、主人公裕司=吉川晃司がコ…
「黄金の七人」 とにかく面白い。余計な前段階を排除していきなりの本編からひたすら娯楽に突っ走っていく作りと、ラストシーンまで気を抜かないエンタメ性に、これぞ娯楽映画と言わしめる面白さが凝縮されています。名作と言っても過言ではない面白さでした…
「そして光ありき」 一見、近代化に飲み込まれていく原住民部落の哀愁の物語の如く見えるのですが、風刺と毒を散りばめたユーモア満載の演出が至る所に見え隠れする相当ハイレベルな快作でした。原住民の言葉は都度字幕が出ず、時々サイレント映画のように説…
「フィッシャー・キング」 久しぶりの再見でしたが、やはりいい映画ですね。ちょっと終盤がくどい気がしますが、シュールなショットとダンスシーンを盛り込んだロマンティックなシーンを融合させたドラマ作りがとっても良くできています。監督はテリー・ギリ…
「マジック・マイク ラストダンス」 マジック・マイクシリーズ第三弾最終章、前二作は面白かったが、今回はちょっと理屈がすぎた感じで、映画全体がリズムに乗ってこなかった。それでもダンスシーンはさすがに圧巻で、特にオープニングのマイクのダンスはワ…
「エッフェル塔 創造者の愛」 何ともあっさりした映画でした。ラブストーリーがしっかり描けているわけでもなく、エッフェル塔完成までのサスペンスがしっかり描けているわけでもなく、それぞれが適当に織り込まれた安直な脚本で、何の面白みもなかった。監…
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 徹底的に低俗な映像を繰り返して描く家族愛の超大作という感じです。二時間半退屈せずに見入ってしまうほど面白いのですが、個々の映像がいかにも下品。高級品を作る気はなくやりたい放題に自らのセ…
「ちひろさん」 期待していなかったというのもあるけれど、まあまあ楽しめる映画でした。登場人物それぞれの背景をほとんど描かずに淡々と主人公を中心に回る物語を綴っていく感じで、前半はいいのですが後半につれてどんどん平凡になっていく失速感はちょっ…
「小さき麦の花」 ハロゲン光を基調にした柔らかく温かい照明演出が秀逸で、戸外の場面の色彩演出と構図も絵画のように美しい。そんな画面の中で展開する、家族からも疎まれている貧しい夫婦の純粋な愛の物語、というベールを被った鋭い政府批判の映画だった…