2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧
「遥かなる山の呼び声」 良い映画ですね。山田洋次監督ということで当時見逃した一本ですが、監督の職人芸が光る名作でした。北海道の大地で、なくなった主人の後を継ぎ、息子と二人で牧場を営む民子のところに、あるの雨の夜、一人の男田島が雨宿りをする。…
「彼女がその名を知らない鳥たち」 これは良かった。確かに、ややゆがんだところがないわけでは無いし、大傑作という範疇では無いかもしれないが、相当よくできた作品である。何と言っても、阿部サダヲと蒼井優、さらに松阪桃李、竹野内豊など、普段なら正義…
「ブレードランナー2049」 ここまで長々と間延びさせて描写する必要があるのだろうかという一本。しかも、ストーリーというのは実にシンプルなのだ。ただ、前作からの空気感を見せたいだけにしか見えない作品に仕上がってしまった気がします。監督はリドリー…
「横堀川」 山崎豊子原作のテレビドラマを映画として仕上げた作品で、吉本興業創業者吉本たかの半生を描いたものですが、さすがに倍賞千恵子では、線が細い感じがします。監督は大庭秀雄です。昆布問屋のいとはんの多加が、やがて呉服屋へ嫁入りするが、若旦…
「天国と地獄」 何十年ぶりかで見直した。今回は4K デジタルマスター版。しかし何度見てもすごいと思う。二時間半見せるとはこういうことなのだ。どの三十分を取っても映画として成り立っている。しかも、さりげなく遊びを挿入した緻密な脚本にも驚かされる…
「愛の讃歌」(山田洋次監督版) 典型的な松竹映画で、松竹色がムンムンして、かなりしつこいものの、やはり山田洋次監督の力量が伺える一本だった。小さな島の港町、主人公の春子と竜太は恋人同士だが、竜太は夢を求めてブラジルに旅立ってしまう。一方、春子…
「婚約者の友人」 モノトーンで静かに展開するミステリーですが、どこかいつもの不思議な空気感を感じることができませんでした。監督はフランソワ・オゾンです。主人公アンナがフィアンセのフランツの墓参りに行くシーンから映画が始まる。ところが、墓には…
「斉木楠雄のΨ難」 こんな馬鹿馬鹿しい映画を金とって見せるな!というところだが、大好きなんですよね、福田雄一の世界。とにかく、背景にある理屈など吹っ飛ばして、ただノリだけで展開していくストーリー感が最高。もちろん、原作があるので、こういう物…
「女神の見えざる手」 典型的なアメリカン法廷劇であるが、ハイスピードでリズムに乗って行く映像展開は秀逸、とにかくラストシーンまで突っ走って、予想通りのどんでん返しが埋め込んであって爽快に終わる。これがサスペンス、と言える傑作だった。監督はジ…
「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」 眠くて眠くて参った。物語の中心に置くべきE.1027の建造物のすごさを描写しないために、何がどうかわからないままに、凄い凄いというセリフだけでル・コルビュジエとアイリーン・グレイの話が展開して行く。…
「ブレードランナー」(ファイナルカット) 初めて見てから、DVDなどで見直したものの、大スクリーンで見直したのは初めてであるが、たしかにこのビュジュアル感はすごいと思う。ジョン・ダイクストラの特撮と、日本の道頓堀界隈をモチーフにしたと言われる街…
「野良犬」(4Kマスター) やはり黒澤明は凄い。何十年ぶりかで見直したけれど、改めて、怖いほどの演出に圧倒される。それに、サスペンスの面白さもさることながら、人間ドラマが半端ではないために、スクリーンに釘付けになり涙が溢れてきます。これが抜きん…
「わたしたち」 なるほど、映画になっている。みずみずしいほどに一瞬の時間を切り取ったストーリー構成と淡々と進む中に主人公たちの心の動きを目の当たりに見せてくれる演出が素晴らしい。映画づくりの究極の世界がここにあるという一本だった。監督は韓国…
「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」 新猿の惑星シリーズの三作目、元ネタの流れを汲んで行く大河ドラマなので、ラストはそれなりに胸に迫るものもあった。でも、どう見ても「地獄の黙示録」やったなという感じです。監督はマット・リーブス。人間と猿の…
「踊りたい夜」 ショービジネスの世界をミュージカル仕立てで描いた娯楽映画で、たわいのない話ですが、華やかな色使い、賑やかで能天気な展開が楽しい一本でした。監督は井上梅次です。三人姉妹のショーダンサー「ピンクタイツ」が踊っているシーンから映画…
「あいつばかりが何故もてる」 ゆるゆるの物語で、こんなことあるわけないやろと思うのですが、これが当時の映画の良さであると思うし、本来映画館に足を運んで、こんなありえないフィクションを楽しんで、なぜかほんのりして劇場をでる。これでいいと思うの…
「追想」 ロベール・アンリコ監督の代表作の一本を見る。第二次大戦末期、ドイツ兵に家族を惨殺された医師がたった一人で復讐をする物語。一見静かなタッチで展開して行くドラマですが、あちこちに主人公の悲しさが溢れているという独特の演出スタイルが目を…
「あゝ、荒野」前篇 これは傑作、菅田将暉の迫真の演技で作品を牽引して行く一方で、さりげなく配置した脇役の存在感が物語に厚みを加える。さらに的確なテンポのカメラワークが映画を躍らせていきます。久々に、力の入った本当の力作に出会った気がします。…
「われ一粒の麦なれど」 相当に重い内容と、今では絶対に作れないような描写をちりばめたドキュメンタリータッチ、そして、悪くいえば、かなりの偏りのある作品でした。監督は松山善三です。外に愛人を作り麻雀や賭け事を好む当たり前の農林水産省の役人の主…
「水面のあかり」 いわゆるインディーズのマイナー作品もたまに見るのもいいかと見にきて見たが、果たしてメジャーではないならもっと思い切ったことができないのかと思ってしまう。確かに技術はしっかりしているし、丁寧な演出がされている。勉強してきた監…
「エタニティ 永遠の花たちへ」 映画でしかなし得ないような三世代の家族の大河ドラマ。ピアノの旋律に乗せて、死を見送りながら展開する人生のドラマは感慨深いという感想がぴったりの心にしみる作品でした。監督はトラン・アン・ユンです。ヴァランティー…
「亜人」 アクションシーンが抜群に面白いしスピーディ、しかも物語のテンポが実にうまく組み立てられていて、サスペンスの面白さも堪能できる。原作があるとはいえ、これは脚本のうまさと演出力が見事にマッチングしたという感じ。さらに演じた佐藤健も綾野…
「望郷」(菊地健雄監督作品) とにかく、陰に陰に沈んで行く映画でした。見ていて、イライラしてくる作品だった。湊かなえ原作なので、どこかにミステリーが存在するかと思ったが、「夢の国」「光の航路」という二部仕立てというだけの映画でした、参った。監…