2023-01-01から1年間の記事一覧
「M3GAN ミーガン」 期待しすぎたというのもあるけれど、もう少し演出にキレが欲しかったのと、じわじわ迫って来る前半の伏線が実に弱い。ただ、クライマックスでテンポよくスタートする音楽効果は評価できるし、ワクワクさせてくれた。大体のラストの展開は…
「渇水」 小説なら、それなりに引き込まれるのだろうが、映像になった時点で、あの脚本では弱いし、演出にも迫力がないためにラストのサプライズがインパクトを呼ばなかった気がします。平凡で稚拙なエピソードの羅列が終盤まで展開して、そのどれもに、観客…
「アダプション ある母と娘の記録」 作られた1975年と、ハンガリーという国柄を考えると相当に斬新な女性映画の傑作だと思いました。しかも、カメラワークとカットのリズムが抜群に上手い上に、的をいた選曲に映画がリズミカルに展開して行きます。前半のほ…
「ウーマン・トーキング 私たちの選択」 寓話形式で描く女性蔑視を訴える痛烈なインテリ映画ですが、いい作品でした。出だしは、ちょっと小賢しい空気感で始まるのですが、どんどん物語が一方向性へ集約していくとともに、登場人物一人一人が生き生きし始め…
「独裁者たちのとき」 アーカイブ映像と実際のセリフを巧みに利用して、ヒトラー、スターリン、チャーチル、ムッソリーニらが天国の門に集まって審判を受ける様を描く異色のドラマ。ドラマというのか映像テクニックの証明というのか、面白いけれど不可思議な…
「ドント・クライ プリティ・ガールズ」 全編に軽快なビート音楽が流れ、フィクションなのですがドキュメンタリーのように展開していく映像が瑞々しくて、しかも主演のユリを演じた少女がとってもキュートなので、本当に爽やかな青春映画という感覚が伝わっ…
「宇宙人のあいつ」 こう言う馬鹿馬鹿しい映画大好きなので結構楽しめました。決してよくできた映画ではないけれど、ボケとツッコミ、あり得ない展開、なんでもありの遊びまくり、それでいて脇役キャラクター登場が適当、穴だらけの映画ですが肩の凝らない映…
「はざまに生きる、春」 小品ですが、めちゃくちゃに良かった。特にカメラワークが良い。オーソドックスに捉えているカメラが、春が屋内と意気投合し始めるきっかけで躍動感あふれる手持ちカメラに変わる。しかもこの瞬間だけ輝いたように映像が踊ります。な…
「雄獅少年/ライオン少年」 躍動感あふれる物語なのに、カメラ視点が良くないので、アニメにする必要性を感じない絵作りで終わったのがものすごく勿体無い。それに、エピソードの配分が悪く、後半の主人公の出稼ぎシーンがやたら入っていて、お国柄でしょう…
「書かれた顔」 1995年に製作された傑作ドキュメンターリーで、ドキュメンタリーとしてに現実と虚構の映像が交錯し、どこまでがフィクションかという境目をなくすことで独特の妖艶さが画面に生まれた気がします。色使いの美しさも相まって、女を演じるという…
「クリード過去の逆襲」 友情の物語として普通に面白かったし、それなりに感動した。可もなく不可もないかもしれないけれど、普通の映画だった。監督はマイケル・B・ジョーダン。 2002年、少年のクリードは深夜、友人でこの街のボクシングの世界で名を馳せた…
「TAR ター」 二回目の鑑賞。かなり整理ができたが、二度見ても全く退屈せずに引き込まれてしまった。全く恐ろしい映画である。今回気がついたのは、基本となる物語は、冒頭でスマホで、居眠りしているターを中傷している書き込みをして動画撮影している、お…
「シンデレラ3つの願い」 シンデレラの物語を元にしたノルウェーのファンタジー映画で、ロードショーの時に見逃していた一本。真っ白な雪景色と、美しい馬がいかにも北欧らしい風景で、映画自体はそれほど目新しいものはないけれど、心地よい鑑賞後感を感じ…
「御用金」 恐ろしいほどの傑作だった。微に入り細に入った計算され尽くされた緻密な脚本、ここまで書き込まれれば凡人でもそれなりに面白いものができるだろうという出来栄えに圧倒される。しかも仲代達矢、中村錦之助、丹波哲郎、浅丘ルリ子、司葉子などな…
「少年と犬」 小品ながら、短編SFの常道を踏襲したちょっとした佳作。ユーモアとブラックな色合いを織り交ぜながら、巧みに人間を風刺した展開がとっても面白い作品でした。これまで公開されなかったのもわかる一方で、どこかでやっていてもいいんじゃないか…
「左利きの女」 癖になる映画です。カット割りの面白さ、時間と空間のジャンプカットの見事さ、小津安二郎を意識した構図、ある意味シュールな展開が実に楽しい映画だった。何回も見たくなる一本です。監督はペーター・ハントケ。 空港で、夫ブルーノの帰り…
「軍旗はためく下に」 偏った部分もないわけではないけれども、相当な反戦映画の傑作です。見ているうちにどんどん画面に引き込まれ、戦争の悲劇が直接心に突き刺さって、真っ直ぐに目を向けられないほどに打ちのめされていきます。モノクロの静止写真を巧み…
「最後まで行く」 相当に荒っぽい脚本ですが、かなり面白い娯楽映画です。二転三転する展開はB級ホラーレベルですが、面白ければいいじゃないかとやりたい放題の演出には頭が下がります。日本版リメイクが楽しみです。監督はキム・ソンフン。 殺人課の刑事ゴ…
「フリークスアウト」 もっとB級テイストのキワモノ映画かと思っていたら、一級品のクオリティの寓話だった。もう一工夫あれば傑作になっているレベルの映画で、ラストに向かってどんどん引き込まれていくし、クライマックスは切なさと虚しさを兼ね備えた見…
「それでも私は生きていく」 こういう映画は好きですね。これという劇的な出来事が起こるわけでもないけれども、人生のひとときの機微を淡々と綴る物語は、どこかしんみりと胸に迫ってしまいます。こういう映画を作るのは才能がないとできません。いい映画で…
「砂の小舟」(丹波哲郎の地上より大霊界) なんだこりゃという珍品映画で、ファンタジーなのか宗教映画なのか、青春映画なのか、意味不明とはこのことをいう一本でした。監督は丹波哲郎、原田雄一。 鬼の面を被った素裸の少年少女が寺の境内を走り回っている…
「TAR ター」 クオリティの高い作品でした。全編、音が迫ってくる重圧感に息苦しくなる感覚を味わう映画で、セリフさえも音にしか聞こえず、いつの間にか主人公の周りの存在さえもが音の化身であるかのような錯覚に陥ってしまう。主人公リディア・ターの心象…
「MEMORY メモリー」 単純なアクション映画でしたが、ちゃんと物語を作っている感じで素直に面白かった。監督はマーティン・キャンベル。 メキシコ、ある病院に、いかにもチンピラ風の男が花束を持って見舞いに来る。母親らしき患者の部屋に入ると傍に看護師…
「ジュリア(s)」 少々、頭で作った感がしないわけではないですが、人生の岐路をさまざまに織り交ぜて、それぞれが辿る様々な未来を巧みに描き分けて行く脚本は見事。しかも、決して混乱しないようにさりげないアイテムを散りばめている演出も秀逸。完成度の…
「銀河鉄道の父」 手持ちカメラによる長回しや、ランプの灯りを配置した絵作りなどなど、作品への工夫は随所に見られるのですが、映画全体をレベルアップするだけの効果が出ていないのと、原作はどうかわかりませんが、宮沢賢治の父親に的を絞った人間ドラマ…
「帰れない山」 可もなく不可もない、スタンダード画面と押さえた色調で描く良質のヒューマンドラマですが、原作が膨大なのか、脚本にする段階で焦点が定められていないために、淡々と何もかもの物語が展開して行くだけにとどまったのはちょっと勿体無いです…
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVOLUME3」 面白かった。クライマックス、キャラクターたちが次第に血の通った生身の存在になってくると、胸が熱くなって涙ぐんでしまいました。物語の展開は例によってごちゃごちゃと流れるのですが、主軸とロケットの…
「聖闘士星矢 The Beginning」 もっとしょぼい出来かと思ったが、思いの外しっかりと作られていたので面白かった。ハリウッドトップクラスのCG技術と東映アニメの真骨頂を見せつけられた。その技術の上にこれだけ本気のアクションができる役者を揃えたにも関…
「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」 とっても楽しいエンタメ映画でした。今更いうまでもない任天堂のゲームキャラクターを使った3Dアニメです。映画の出来のどうこうより、とにかくキャラクターがとっても可愛く描けているのが一番。キノピオ、マリ…
「殺人容疑者」 丹波哲郎生誕百年祭で、本名丹波正三郎でクレジットされているデビュー作、二度目の再見。非常にシンプルな刑事ドラマという作品で、1952年当時の渋谷の景色、さらに映画俳優を使わず劇団員中心で配役したリアリティ、警察の全面協力で本物の…