くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「デビル」

M・ナイト・シャマラン監督がプロデュースしたサスペンスホラーシリーズの第一作。評判もいいし、ヒットしているので期待で見に行った。そして、予想通り期待を裏切らない出来映えの映画でした。映画が始まると、町並みを真っ逆様に撮ったシーンが続いてタ…

映画感想「風と共に去りぬ」

劇場上映される度に必ず見に行く生涯のベストワン作品を今回の午前10時の映画祭で再見。 何度見ても胸が熱くなるし、4時間近くある大作なのに全く間延びせず、だれない。物語のプロットそれぞれが次々とオーバーラップするように展開していくためであると…

映画感想「貸間あり」

井伏鱒二原作、古びた邸宅を改造した長屋に集う人たちの様々な人間模様を川島雄三独特のどたばた群像劇に仕上げた傑作の一遍である。出だしが良い。道頓堀の古本屋(天牛書店)で一人の男が学生風の青年江藤と出会い、その青年があこがれる五郎(フランキー…

映画感想「太陽の墓場」「士魂魔道 大龍巻」「背徳のメス」

「太陽の墓場」 1960年代、大阪は釜が埼を舞台に、ドヤ街に生きる人々の底辺の生活をまるで日本の縮図のようなキャスト配分で描く群像劇である。戦争が再び起こると信じ、日本帝国の再興を叫びながらたった一つの手榴弾を手にして、その日の生活をいきる…

映画感想「浪華悲歌」「春琴物語」

「浪華悲歌」 溝口健二監督の初期の傑作、すでに30年近く前に見たことがあり、よかった感想だけが頭に残っていた。今回見直してみて、そのストーリー構成の展開のうまさにうならせられるものがあった。一見、コミカルな男女の物語のごとくスタートするスト…

映画感想「大坂城物語」

東宝が送る娯楽時代劇の典型のような痛快活劇でした。監督は稲垣浩、特撮は円谷英二、主演三船敏郎となれば話の展開さえ見えてきます。関ヶ原の戦いの後、執拗に豊臣方に無理難題をふっかけてくる徳川方。大阪城を舞台にその存亡の駆け引きを中心に描きます…

映画感想「残菊物語」

溝口健二監督が、彼のスタイルであるワンシーン・ワンカットを完成させたとされる傑作。1939年作品故にかなりフィルムの痛みも激しいものの、溝口健二ならではの舞台の外から縫うように、延々ととらえていくカメラワークが最高の効果を発揮するすばらし…

映画感想「甘い罠」

ほんの些細なことからどんどんほころびが広がっていくというクロード・シャブロルお得意のミステリーサスペンスです。映画が始まると、一組のカップルが結婚式を挙げている。有名なピアニストアンドレ・ポロンスキーと後妻となるミカである。 その宴会の席上…

映画感想「悪の華」「最後の賭け」

「悪の華」 クロード・シャブロル監督作品である。 第二次大戦下から脈々とうけつがれる名門一族、今その一族の一人の女性アンヌが来る市長選に出馬しようとしている。アメリカから帰ってくるフランソワ、アンヌの義妹で恋人であるミシェルが出迎える。さら…

映画感想「大鹿村騒動記」「ムカデ人間」

「大鹿村騒動記」 阪本順治監督作品、長野県、300年の伝統がある大鹿村に伝わる村民歌舞伎を背景に、コミカルに、そしてたわいもなく展開する小さな田舎の村の人情ドラマである。降ってわいたような作品なのですが、初期の阪本順治らしいさりげない笑いや…

映画感想「人斬り」

二時間を超える大作時代劇である。監督は徹底した様式美でこれぞ時代劇と呼ばせる名匠五社英雄監督、私の大好きな監督の一人である。物語は土佐藩士で幕末人斬り以蔵と呼ばれた岡田以蔵の半生を描いている。仲代達矢扮する武市に飼い犬のごとく使われ、いわ…

映画感想「BIUTIFUL ビューティフル」「サンザシの樹の下で

「BIUTIFUL ビューティフル」 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品、これがなかなかの一品であった。黒澤明監督の「生きる」をモチーフにした作品ということであるが、物語としては全く違う。舞台はスペイン、中国人や黒人の不法就労者…

映画感想「黒蜥蜴(’62)」「黒蜥蜴(’68)」

「黒蜥蜴」(’62) 京マチ子主演、井上梅次監督作品、しかも脚本は新藤兼人というのだから何ともものすごいスタック、キャストである。 物語は江戸川乱歩原作らしく、どこか伝奇小説のごとき不気味さを持ちながら明智小五郎と怪盗黒蜥蜴の対決という構図を…

映画感想「赤い靴」「永すぎた春」

「赤い靴」デジタルリマスターバージョン バレエ映画の最高傑作がマーティン・スコセッシ総指揮の元美しくよみがえった。何十年ぶりかでスクリーンで見直してみて、これほど美しい映画だったかと改めて感動してしまいました。この映画を始めてみたときは、バ…

映画感想「からっ風野郎」「憂国」

「からっ風野郎」 いやぁ、何とも痛快な一本でした。三島由紀夫の大根役者ぶりが満開なのですが、どこか引き込まれてしまう荒っぽいストーリーが拍手ものなのです。そして、でてくる男がどれもこれもだらしない奴らばかりで、次第に表にでて強さを見せてくる…

映画感想「引き裂かれた女」

クロード・シャブロル監督晩年の傑作とされながら未公開だった一本である。まさにスタイリッシュサスペンスと呼ぶべきすばらしい一本でした。一見、倒錯した愛の行方を扱ったラブサスペンスのごとき物語ですが、見ているうちに何ともいえないしゃれた映像セ…

映画感想「卵」「ミルク」

「卵」 先日見た「蜂蜜」の主人公ユスフのその後を描いた三部作のうちの一本である。 物語は大人になったユスフの姿を描く。映画が始まると、煙るような田園の彼方から一人の婦人がこちらに歩いてきて向こうへ去っていく。ユスフの母であろうと思われるショ…

映画感想「ゴッドファーザー」

およそ30年ぶりにスクリーンで見ました。3時間を超える大作ですが、始めて見た時同様、全然退屈しない。やはりマリオ・プーソとフランシス・コッポラの脚本の完成度の高さゆえでしょうか。今回の再見で、私はこのドン・コルレオーネに父の理想の姿を見た…

映画感想「アイ・アム・ナンバー4」

なかなかおもしろい映画でした。特に、クライマックスのバトルシーンは必見のスピーディさ。めまぐるしいほどのカットつなぎで、あちこちのバトルを次々と交錯させて目にもとまらないアクションをハイテンポで演出するD・J・カルーソ監督の手腕は見事。 映…

映画感想「水曜日のエミリア」「バビロンの陽光」

「水曜日のエミリア」 何ともめんどくさいストーリーの映画である。主人公のエミリアはジャックという男性と結婚している。ジャックには前妻キャロリンとの間にウイリアムという息子がいる。エミリアはジャックとの間に赤ちゃんができたが三日の命で突然死ん…

映画感想「真昼の暗黒」「ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境

「真昼の暗黒」 現実に起こった冤罪事件「八海事件」を元に、まだこの原案になった裁判が係争中に書かれた原作を元に描かれた野心的な作品である。監督は今井正、その年のキネマ旬報ベストワンに輝いた傑作である。非常に暗い内容の物語であるが、重厚とも呼…

映画感想「さよならをもう一度」

フランソワーズ・サガンの「ブラームスはお好き」を原作に、すでに中年の域になったイングリッド・バーグマン、そしてイヴ・モンタンをメインカップルに、この作品の前年に「サイコ」で個性的な役柄を演じたアンソニー・パーキンスを脇に配置したラブストー…

映画感想「蜂蜜」

この映画全編に流れているリズムは自然が醸し出す森の木々のこすれる音や遠くに聞こえる雷鳴、さらに下草に住む昆虫たちのささやかな声などのリズムなのである。現代のように雑踏と入り乱れた多彩な音楽に占められた世界で生きる人間にとっては非常にスロー…

映画感想「酔拳 レジェンド・オブ・カンフー」「プッチーニの愛人」

「酔拳 レジェンド・オブ・カンフー」 ジャッキー・チェンの「ドランクモンキー酔拳」のもとになった個性的な中国拳法”酔拳”を生み出したとされる武術家スー・サンの物語をユアン・ウーピン監督がカンフーアクションシーンとCGやデジタル映像を駆使して描…

映画感想「マイティ・ソー」「小川の辺」

「マイティ・ソー」 ヒーローもの映画の見せ場の壷を心得た演出に単調でかなり荒いストーリー構成もぜんぜん気にならない、本当に楽しめる娯楽映画でした。おもしろかったです。神の世界か遙か彼方の宇宙に存在する伝説の世界。そんなところでも隣国との諍い…

映画感想「大魔神逆襲」

子供の頃に見て、何度かDVDなどでも見ている作品であるが、改めてスクリーンで見直して、その美しい美術、卓越した演出、そしてこんなにおもしろかったかと今更ながら感動してしまいました。物語は例のごとく、悪どい大名が隣国を攻めるために木こりたち…