くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「天使のはらわた 赤い淫画」「ゲンスブールと女たち」

「天使のはらわた 赤い淫画」 池田敏春監督作品、日活ロマンポルノ後年の作品である。もちろん原作は石井隆、主人公の名前は名美である。赤い色が非常に淫美なムードを醸しだし、雨やネオンをスタイリッシュに演出し、池田敏春独特の女の物語を描いた秀作で…

映画感想「バンド・ワゴン」「戦火のナージャ」

「バンド・ワゴン」 ライザ・ミネリの父で名監督ヴィンセント・ミネリの名作ミュージカルである。「ザッツ・エンターテインメント」のテーマ曲にもなっているミュージカルナンバーが心地よい古きよきハリウッド黄金期の息吹を感じさせてくれる作品でした。な…

映画感想「実録阿部定」「(秘)色情めす市場」

「実録阿部定」 日活ロマンポルノ映画時代の名匠田中登監督作品、大島渚監督が「愛のコリーダ」を発表する一年前に公開された傑作である。 というふれこみで見に行ったが、解説通り見事な作品でした。全編、充実した映像づくりで圧倒されてしまう上に、演技…

映画感想「ジュリエットからの手紙」「ザ・ホークス ハワード・ヒュ

「ジュリエットからの手紙」 すごく素敵でいい映画に出会いました。こういう映画は本当に久しぶりなんですよね。 映画が始まるとまるでスキップしたくなるような軽やかでテンポよくタイトルが始まり、次々とキスしている幸せそうなカップルの写真や絵、イラ…

映画感想「天使のはらわた 赤い教室」「壇の浦夜枕合戦記」「エロス

「天使のはらわた 赤い教室」 日活ロマンポルノの傑作と呼ばれる曽根中生監督の一本である。 名美という女性を中心に展開するこのシリーズの特徴はやはり女の悲しい性であろうか。冒頭、ブルーフィルムに映し出される一人の女性、彼女が教室で学生たちにレイ…

映画感想「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉」

この手のお気楽な娯楽映画にできばえがどうとかこうとか言って作品分析するのはどうかと思うのですが、正直前3作までのこのシリーズに比べて一番こじんまりした作品でした。まず第一に物語の構成が実に練り込み足りない。’生命の泉’を求めていくバルヴォッ…

映画感想「名前のない少年 脚のない少女」「歓待」

「名前のない少年、脚のない少女」 これをオリジナリティと呼ぶなら、一つの感性で埋め尽くされたシュールな中に宿る甘酸っぱいような青春ストーリーなのだろうと思う。ベルリン映画祭などでその独特の映像で会場を席巻したブラジル映画を見てきました。まる…

映画感想「スコット・ピルグリムvs邪悪な元カレ軍団」

「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」 ノリでどんどん展開するボケとツッコミ満載の機関銃ムービー。そんな言葉がぴったりのお気楽なお遊び映画でした。とにかく、出だしのユニバーサルのロゴがでてからすでにテレビゲームの世界へ引き込んでいき…

映画感想「続忍びの者」

山本薩夫監督が描いた娯楽時代劇「忍びの者」の続編。織田信長の家来に子供を殺された伊賀忍者石川五右衛門が恨みを晴らすため紀州雑賀党に身を隠し、明智光秀を巧妙に操って本能寺の変を起こさせ本願を果たす物語。 といっても本能寺の変は中盤にあり、さら…

映画感想「少女たちの羅針盤」

何の前触れもなく突然公開された長崎俊一監督作品。見る予定もなかったが、今日は「逆転裁判」のエキストラで終日空けていたのだが午前中で終了したため急遽見てきた。まぁ、たわいのない作品である。というか、取るに足りない。しかし、作品の中で劇中劇の…

映画感想「悲しみのミルク」

南米の映画なので、まず国の背景、歴史などがある程度頭にはいるまでがちょっと戸惑ってしまう。しかし、そのあたりの知識はあるに越したことはないとはいえ、すぐに物語に入り込んでいくことができた。 とにかく、なんともいえない切ないドラマでした。わか…

映画感想「アンノウン」

「96時間」あたりから最近のリーアム・ニーソンはこの方向へ進んでいるのでしょうか。今回のサスペンスもアクションミステリーという感じで、謎が謎を呼びながら次第に真相に迫っていく。そして証されるどんでん返しのごとき真相というお話。評判もいいの…

映画感想「ブラックスワン」

今年のアカデミー賞ノミネート作品の中で一番期待の一本がこの映画でした。大好きなナタリー・ポートマン主演であり、内容もかなりミステリアスだったからです。期待レベルの作品で安心しました。おもしろかったし、最後まで画面に釘付けにされてしまいまし…

映画感想「八日目の蝉」

あまり期待していなかったのですが、思っていた以上にすごくいい映画で、ラストは涙が流れてしまいました。永作博美さんの演技が見事なので、「まだ薫はご飯を食べていません、よろしくお願いします」と泣き崩れるシーンで涙が止まりませんでした。さらに、重…

映画感想「キッズ・オールライト」「マーラー君に捧げるアダージョ」

「キッズ・オールライト」 ちょっとおもしろい映画である。二人の女性とそれぞれの女性の子供たちの四人家族の物語。あまりにも常識のある二人の女性と、今時珍しい、まじめな二人の子供。ただ一つ変わっているのはこの二人の女性はレズビアンで、同じ精子提…

映画感想「ナバロンの要塞」

まだ学生時代にテレビの洋画劇場でしかみていなかった娯楽超大作、今更説明するまでもない名作である。覚えているのはクライマックス、砲台に取り付けたおとりの爆弾が発見された後で、もう一つが爆発するという仕掛けだけだったが、前半部分にあれほど見せ…

映画感想「素っ裸の年令」

赤木圭一郎主演デビュー作ということであるが、どちらかというとわき役的な登場シーンであるような作品でした。監督は鈴木清順、1959年作品なので、この翌年にはアクション映画に次々と出演し大ヒットを飛ばしていくのですが、一気にスターに上り詰めた…

映画感想「拳銃無頼帖 抜き射ちの竜」「霧笛が俺を呼んでいる」「拳

「拳銃無頼帖 抜き射ちの竜」 赤木圭一郎特集の手始めの一本。 日活アクション映画の典型的なストーリーですが、なんといっても、シーン展開がひじょうに切れが良くてシャープなのには驚きました。おそらく、一コマでも、一秒でも短く仕上げなければいけない…

映画感想「恍惚の人」「娘・妻・母」

「恍惚の人」 豊田四郎監督の映像美の世界がようやく理解できてきたので何十年ぶりかで再見。豊田四郎監督が文芸映画で見せる独特の様式美の世界はこの作品では目立って見られませんが、さすがに画面づくりの見事さはほかの監督とはレベルが少し違いますね。…

映画感想「ブラック・サンデー」「ミスター・ノーバディ」

「ブラック・サンデー」 公開直前に上映中止になり、長らく映画ファンの間では幻とされていたジョン・フランケンハイマー監督のサスペンス映画、とうとう見ることができました。しかも大スクリーン。いやぁ、おもしろかった。娯楽映画というのはこうやって作…

映画感想「阪急電車 片道15分の奇跡」

それほど期待もしていなかったのですが、知り合いがエキストラ出演していることもあって見に行きました。 際だって芸のある演出もなく、さらりさらりと繰り返される薄っぺらな映画かとおもっていましたが、なんの、まぁまぁそれなりに楽しめる奥の深い作品だ…

映画感想「生き残るための3つの取引」「ブルーバレンタイン」

「生き残るための3つの取引」 細かいカットとハイテンポな編集、小刻みな画面展開で一気に物語りに放り込んでくれる導入部は実に見事で、これはと思わせる予感が走る。そして本編にはいると、主要人物が誰なのかあっちをいじり、こっちをいじりという展開で…

映画感想「女の歴史」「放浪記」「衝動殺人 息子よ」

「女の歴史」 高峰秀子が娘時代から中年の母親役まで一気に演じる成瀬己喜男監督作品である。 成瀬監督作品としては中レベルの映画だったと思います。 一人立ちし美容院を経営する主人公信子、彼女の現在の生活を描く一方で戦中から戦後の混乱期の彼女の物語…