くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

映画感想「HOMESICK」「ジンジャーの朝〜さよなら、わたしが

「HOMESICK」 PFFスカラシップ助成作品である。確かにマイナーな映画なので、こういう映像は仕方ないと思うが、スタッフが足りなかったとはいえ、もう少し照明に配慮した方がいいかなと思う。意図的かと思えばそうなのだが、ほとんど登場人物の顔…

映画感想「天国の門」【デジタル修復完全版)「人類資金」

「天国の門」(デジタル修復完全版) 30年ほど前に短縮版は見ているのですが、今回、再見。 膨大な製作費と公開後の不評でユナイティッド・アーチストを消滅させたマイケル・チミノ監督の歴史的な超大作が、ついに、デジタル修復され、しかも当初の公開の…

映画感想「デッドマン・ダウン」「アルカナ」「恋の渦」

「デッドマン・ダウン」 「ミレニアム ドラゴンタトゥーの女」のニールス・アルデン・オブレブ監督作品なので見に行った。 いやぁ、これはおもしろかった。アメリカ映画のアクションのようなのだが、やはり色合いが違うところがとにかく引き込まれます。一人…

映画感想「カッコーの巣の上で」「ダイアナ」

「カッコーの巣の上で」 さすがに、映画が終わった後、席を立てないほどの傑作でした。30年ぶりに見直した名作は、やはり名作だった。しかし、これほどの傑作が、なぜ、それほど心に残るほどの印象がなかったのか考えてみると、やはり、これは体制に対する…

映画感想「カイロ・タイム 〜異邦人〜」「眠れる美女」

「カイロ・タイム〜異邦人〜」 タイトルが終わると、一人の女性ジュリエットが、夫が待つはずのカイロにやってくる。夫マイクは国連の仕事らしく、ガザにいるのだが、カイロで妻と観光をするために呼んだのである。しかし、ついてみると、マイクはいなくて、…

映画感想「タンゴ・リブレ 君を想う」「危険なプロット」

「タンゴ・リブレ 君を想う」 ピアノの音楽と、たぶん、アルゼンチンタンゴの歌なのだろう、背後に流れる中、なにやら二人の男が一人の男を殺したらしいスローモーション映像、車の炎上するショットがかぶる。タイトルが終わると、J.C.と呼ばれる刑務所の…

映画感想「鍵」(市川崑監督版)

市川崑監督の「鍵」を京都まで見に行った。 いやぁ、物語もめちゃくちゃにおもしろかったけれど、カットつなぎのリズムのうまさといい、さすがに市川崑の演出は見事、絶品でした。しかも、最後の最後、刑事の前で飄々と自白する北林谷栄の演技も最高。まさに…

映画感想「ゴースト・エージェント/R.I.P.D.」「フローズン・グラウ

「ゴースト・エージェント/R.I.P.D.」 いわゆるゴースト版の「メン・イン・ブラック」である。一人の警官ニックが、太った化け物を追いかけて、飛び出してくるファーストショットから映画が始まり、その3、4日前にさかのぼる。いかにもB級映画的な映像に…

映画感想「天使の処刑人 バイオレット&デイジー」「ムード・インデ

「天使の処刑人 バイオレット&デイジー」 何とも不思議な映画だった。一見、美少女たちの殺し屋によるアクション系の映画かと思っていたが、いきなりのファーストシーンがすぎてからは、妙な会話の連続で、ひたすら、不思議でシュールな展開と映像が続く。…

映画感想「麗しのサブリナ」「おしん」

「麗しのサブリナ」 何十年ぶりかで見直したビリー・ワイルダー監督の名作にして、オードリー・ヘップバーンの代表作ですが、さすがにすばらしい作品です。考え抜かれ、練り抜かれたロマンティックなせりふの数々、そして、決して、ほんのわずかなエピソード…

映画感想「お遊さま」

本当に品のよい映画である。画面の端正な美しさ、素朴な京都の風情を再現する、ゆっくりと流れるようなカメラワーク、御簾の隙間を出入りする人物の、どこか霞のかかったような映像。巨匠宮川一夫のカメラと、長回しの流麗なワンシーンワンカットで演出する…

映画感想「男子高校生の日常」「わたしはロランス」

「男子高校生の日常」 ベストセラーコミックの実写版であるが、実写になったことのメリットを最大限に生かした、とっても楽しい作品に仕上がっていました。舞台は山の中の男子校、女子と接することがほとんどない主要人物ダタクニ、ヨシタケ、ヒデノリの三人…

映画感想「死霊館」「トランス」

「死霊館」 久しぶりに一級品のホラー映画に出会いました。 題名だけをみると、いかにもB級の下手物ホラーに見えるのですが、全くそんなことはない。カメラのワーキング、編集、スピード感あふれるリズム感が見事な一本でした。所詮、下手物映画だろうと高…

映画感想「クロニクル」「陽だまりの彼女」

「クロニクル」 「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」以来一種のジャンルになっている、ドキュメントタッチで描く映画、これもまたそういう一本である。主人公アンドリューが自分のカメラで生活を写し始めるところから映画が始まる。病気でベッドに寝ている母…

映画感想「アイス」「マイルストーンズ」

「アイス」 孤高の映画作家ロバート・クレイマーという監督の作品を初めてみる。フィクションでありながら、手持ちカメラの16ミリで描いていく映像は全く混沌としている。物語は近未来、様々な革命に身を投じる若者たちの、もがく姿を描いていくが、背景は…

映画感想「雪夫人絵図」

溝口監督作品は、世界の映画史に燦然と輝くような大傑作があるかと思うと、非常に凡作そのものも存在するのが事実である。完全主義にこだわる彼の気質が生み出した、ある意味両党の刃であるのだろう。今回の作品もどちらかというと彼のライブラリーの中では…

映画感想「歌麿をめぐる五人の女」(溝口健二監督版)

めくるめく女の情念が交錯する溝口健二監督の世界をじっくりみることができる。もちろん、彼の作品群の中では傑作のレベルに入るものではないが、じっくりと長回しで撮るカメラワークと、セットをゆっくりと這うように移動する長大なパンニングは、やはりそ…

映画感想「ランナウェイ/逃亡者」「今日子と修一の場合」

「ランナウェイ 逃亡者」 非常にストーリーの骨格がしっかりした脚本、そして、その中心になる骨格からぶれないストーリー展開で、じっくりと見せてくれる硬派の人間ドラマの秀作でした。なかなか、ロバート・レッドフォードはストーリーテリングの才能はあ…

映画感想「パリの恋人」「「また、必ず会おう」と誰もが言った。」

「パリの恋人」 スタンリー・ドーネン監督がオードリー・ヘップバーン、フレッド・アステア主演で作ったミュージカルである。当時、最先端のカラー撮影ビスタビジョンで作られた作品だけに、あざといようなカラーシーンが気にならなくもないけれども、スタン…

映画感想「パッション(ブライアン・デ・パルマ監督版)「ルノワール

「パッション」 パルマワールド全開、めくるめくブライアン・デ・パルマの世界を堪能することができました。最高におもしろかった。しかも、音楽がピーノ・ドナッジオとくれば、さらにわくわくなのです。延々と主人公を追いかける長回しのカメラ、クローズア…

映画感想「私が愛した大統領」「ロード・オブ・セイラム」

「私が愛した大統領」 とっても上品な画面と静かな音楽、そして光の演出を大切にした良質な大人の映画でした。短焦点のレンズを利用したピン送りの演出がとっても美しく、スタンドライトのオレンジ色に浮かび上がる人物の顔のショットや、、のどかに広がる田…

映画感想「甘い鞭」「謝罪の王様」

「甘い鞭」 いくら、今話題の壇蜜が主演だからといって、監督が石井隆でなければ見に行かない作品である。一昔前なら完全なポルノ映画のジャンルの一本だが、キネマ旬報に特集として取り上げられているとなれば、見ないわけにいかないと言うところで、見に行…

映画感想「地獄でなぜ悪い」「ティファニーで朝食を」

「地獄でなぜ悪い」 園子温版”映画に愛を込めて”。 とにかく、映画が始まって、観客はスタートラインにたたされ、よーいどんの合図で一斉に走り始める。ゴールは百メートル先の短距離。あれよあれよとめまぐるしいほどに展開する、なんでもありの奇想天外な…