「ソング・サング・ブルー」 これはいい映画だった。ミュージシャンの話なので音楽シーンが圧倒的に多いのだがドラマ部分がしっかり描かれているので、物語が非常に厚みを帯びてきて、さりげなく配置された脇役の存在感もひかり、主人公たちが引き立ってくる…
「マイ・ブラザーズ・ウェディング」 いわゆるインディーズ映画ですが、これという大事件が起こるわけでもない中で、黒人社会の現実を、的確なカットつなぎとスピーディな展開で映像に仕上げて行く手腕は大したもので、見終わって振り返ると、ちょっとした映…
「人はなぜラブレターを書くのか」 いい映画だった。様々な人たちが繋がり、未来に向かって行く様が、時に切なく、時に勇気づけられ、時に人生を振り返り、そして前に進んでいく。心の染み渡る深い感動を残してくれる秀作でした。画面もとても美しいし、色彩…
「Riceboy ライスボーイ」 これはいい映画だった。とにかくカメラが美しい。色彩や構図だけでなくカメラワークも流麗で躍動感に溢れていて、どんどん引き込まれていきます。韓国からカナダに移り住んだシングルマザーと一人息子のヒューマンドラマというシン…
「鬼の花嫁」 何とも言えないゆるゆるのファンタジー。原作が弱いのか脚本が雑なのか、演出にもキレはなく、演技演出も適当、マンガチックにというか原作は漫画なのだが、そんなまま映像化しきれない映画だった。ただ、ロケ地が素晴らしく、建物、庭のロケー…
「炎上」 何とも薄っぺらい幼稚な感性の作品。ビデオクリップのような映像であるかに見えて、今一つまとまらないし、ドキュメンタリータッチに見えてそれも中途半端。ストーリーテリングで見せていくのかと思えば、細切れで人物描写も軽すぎて響いてこない。…
「不貞の女」 全編心理サスペンスの傑作。シンプルなストーリーですが、カメラワーク、BGM、登場人物のクローズアップと視線、さまざまな映像演出を駆使して不穏な空気感を醸し出していく様が実にうまい。流石に監督の才能を思わせる映画でした。監督はクロ…
「ハムネット」 西洋のお話ですが東洋的な演出が施されて、ややシュールな映像やカメラワークを繰り返すのはやはり監督の色でしょうか。息子を失った母の再生のドラマを、時に一気に暗転させる画面を交錯させ、時に一瞬過去の場面に戻るカットを挿入した構成…
「ヒット・エンド・ファン!臨時決闘」 ゆるゆるの香港映画、アクションもそれほどなく、お話も至って単純かつ中身もない。笑いのペーソスも弱くて、まるで、ほぐれた糸が風に靡くような映画だった。でも、こういうノリも香港映画の味かもしれない。監督はア…
「水の中で」 全編ピンボケ映像で綴った一人の青年の切ない恋の物語という感じの作品だった。60分ほどの中編作品で、淡々と進むいつもの会話劇が、それとなく主人公の過去に愛した女性への想いへと昇華して行く展開がどこか切ない。ピンボケが、主人公の心の…
「落下音」 映像詩という作りの作品で、入場時に渡された相関図を見ていなければ、四つの時代の女性の物語だとほとんど把握できない作りの映画だった。それぞれがシュールであるわけではないが、地鳴りのような不穏な音が背後に聞こえ、蝿の音、そのほか様々…
「そして彼女たちは」 望まぬして妊娠、あるいは出産した五人の少女たちのドラマを見事に描き分けた手腕がまず上手い。さらに、それぞれの少女たちへ向けたカメラの視点に、どんどん引き込まれて、それぞれが不幸のどん底に落ちて行く姿を描いてラストでスッ…
「女鹿」 画面の隅から隅まで、物語の冒頭からラストまで、張り詰められた心理サスペンスに彩られた傑作。カメラ、映像、音楽、役者の視線、動作、セリフ、何もかもに隙間なく埋められたミステリーに片時も目を離せない。淡い色彩と、流れるカメラワークも素…
「北の螢」 極寒の北海道を舞台に、赤と黒を基調にした色彩演出と構図で描き切った男と女の濃艶なドラマ。その重厚感はさすがではあるけれど、全体に非常に平坦な作りで、胸に迫る何物かが今一つ物足りない。決して出来の悪い映画ではないけれど、五社英雄監…
「ザ・カラテ」 荒唐無稽な空手映画で、ストーリーを作る気は全くなくて、役者の演技もつける気もなく、ひたすら空手アクションを漫画のように描いていく。それが、意外に退屈しないから不思議だし、ある意味映画の作り方の原点なのかもしれない。終始、苦笑…
「妖艶毒婦伝 般若のお百」 エロスと残虐シーンを取り混ぜた典型的なB級時代劇という一本。いかにも二枚目の新九郎は早々に斬首されて、物語は一気に妖婦お百のドラマに集約、さらにあれよあれよと進む復讐劇で、都合よく、なんのストレスもなくラストまで走…
「プロジェクト・ヘイル・メアリー」 思っていた以上に良かった。おそらく原作がいいのだと思うけれど、人類滅亡を救うと言う重いストーリーながら軽いタッチで描いていく息苦しさのなさが、終盤にかけてどんどん効果を発揮していって、ラストは、SF的なテー…
「君が最後に遺した歌」 青春ラブストーリーの凡作という一本。ここまで直球勝負で展開すると、あまりに物足りなくて、しかも、主人公二人の心の機微が全く伝わってこないので、感動も湧き上がってこなかった。この中身のなさは、演技力の弱さか、演出が甘い…
「私がビーバーになる時」 昔からディズニーは環境保護をテーマにした作品は得意なのですが、最近はどこか鼻につく描写が目立つようになった気がします。今回の作品もどこというわけではないけれどいまひとつちぐはぐで、ほのぼのした面白さがなくてディズニ…
「資金源強奪」 90分あまりに娯楽が詰め込まれた傑作。どうなるのかどうなるのかとワクワクさせながら全く退屈せずにストーリーが前に転がって行く。とにかく面白い。あれよあれよと展開した先に、微に入り細に入った細かい伏線の果てのピカレスクロマンの粋…
「カミング•ホーム」 ほのぼのしたヒューマンファンタジーという作品で、人生の晩年にこんな日がきたらある意味素敵だろうなという映画だった。監督はマーク・タートルトープ。 ペンシルバニア州の小さな街に済む70歳を超えるミルトンは、認知症への不安もあ…
「ザ・クロウ」 いわゆるダークファンタジー。かなり前に見た旧作はなかなか面白かった印象があるので見に行ったが、シュールな映像を駆使しているかに見せて、かなりグロテスクな殺戮シーンを見せ場にしようという程度の感性の映画だった。全編シャープで陰…
「96分」カンレン、 構想から完成まで九年かけたという割りには間延びしたダラダラした映画だった。もっとサスペンスフルに緊張感が盛り上がって来るのかと思ったが、犯人が早々に現れてネタバレした後は、ひたすら時間まで引っ張る演出にさすがに飽きて来た…
「ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編」 長い話の一部分だけ映画で作り、また配信ドラマで続きを作るという、観客をばかにしたような作品だった。演出のキレも脚本の組み立ても適当で、マンガチックな仰々しいメイクと、劇画チックな動作の数々、それでいて、…
「ナースコール」 全編、看護師の日常をカメラが追って行くだけの作品なのですが、緊張感は半端なく襲いかかってくるし、息つく暇もなく展開するドラマの数々に、自身を被らせている暇もないほどに追い詰められて行く作品だった。つまりは世界的な看護師不足…
「激動の昭和史 沖縄決戦」 第二次大戦末期の沖縄の悲劇の戦場を、派遣された日本軍司令官の姿を中心に各地の惨劇を描いて行くドラマで、次々と記録されている様々な出来事が羅列的に描かれて行く。終盤、誰も彼もが死に向かって行くという作劇はかなり意図…
「しあわせな選択」 もっと面白いのかと思ったが、導入部が如何ともし難く入り込めず、中盤まで、空間と人物関係をつかめないままだった。だんだんと物語の全体が見えて来ると、終盤に至る中、凝った映像演出の面白さもあり、映画の楽しさを堪能できる作品と…
「#拡散」 沢尻エリカが久々に映画に出るというので見に行っただけの作品ですが、脚本がいいのだろう、思いの外中身が詰まった面白い展開の映画だった。ありきたりの導入部から、あれよあれよと思っているうちに、平凡な展開がどんどんあらぬ方向に進んで行…
「オーロラの涙」 辛い映画だった。日本がそれなりに安定した国になっているがゆえに、こういう現実を目の当たりに見せられても、正直、受け入れられないほどに違和感がある。信じられない物価と、信じられないくらいの低賃金、日常、娯楽に手を出すこともで…
「小川のほとりで」 ホン・サンス映画の割りに、なかなかドラマティックな展開をする一本。センスのいいカメラ演出はさすがだが、次々と物語が新たな展開をするわりにいつもの淡々とした会話劇なので、終盤少し単調さを感じてしまった。 河原で大学の講師ジ…