「ラプソディ・ラプソディ」 少々話の展開がくどくて、堂々巡りの感があり、もう少しキレ良く仕上げれば面白い映画になった気もします。コミカルなエピソードがクスッと笑わせてくれるのですが、全体のスパイスには少し物足りなくて、繁子の祖母のエピソード…
「家庭日記」 シンプルな家庭ドラマなのに、グイグイと見せて来る迫力が見事な一本で、今見れば時代色はあるとはいえ、男と女、母と子供、家族の在り方など普遍的なものはしっかりと今に通ずるものが描けていて、映画としてのリズムも優れている上に淡々とし…
「許されざる者」 さすがに、年代を感じさせる作品で、インディアンと開拓民であるアメリカ人との確執を勧善懲悪で割り切って作っているので、いま見ればメッセージが見えなくなってしまった。といっても、映画としてはしっかり作られた娯楽映画であることに…
「ARCO アルコ」 アカデミー賞にノミネートされたというのでどの程度かと見に行ったけれど、アニメ技術はそれほどでもないし、絵の独創性も普通、ストーリー展開も何処かで見たような雰囲気の作品だった。先日見た同じくノミネート作品「アメリと雨の物語」…
「スクラップ・ヘブン」 オダギリジョーのオーバーアクトが最後まで画面を覆い尽くし、ドタバタ劇のような展開で進んで行く前半から、次第に何かしらの監督の言わんとする事、やりたいことが見えて来て整理がついて来ると、徐々に面白くなって来る。そんな個…
「今日からぼくが村の映画館」 のどかで美しい画面、ほのぼのする人々の景色、そして素朴そのもののストーリーに、心が洗われる気がする作品でした。映画としても、丁寧な演出が施されて実に心地よい仕上がりで、ラストは素直に感動してしまいました。いい映…
「ペリカン・ブルー〜自由への切符〜」 独創的なアニメーションを使ってドキュメンタリータッチで描くちょっと面白い作品。実話をもとにしているとはいえ、妙に重くならずに、軽いタッチで展開して行く様が心地よい映画だった。監督はラースロー・チャーキ。…
「サムライ」 一流の監督が作る一流の映画というのはこういうのをいう。アンリ・ドカエのカメラが恐ろしく美しいし、淡々と流れるストーリーに不思議なほどに芸術的な空気が漂っている。にもかかわらず、物語は一人の孤独な殺し屋の姿を描いたフォルムノワー…
「ソング・サング・ブルー」 これはいい映画だった。ミュージシャンの話なので音楽シーンが圧倒的に多いのだがドラマ部分がしっかり描かれているので、物語が非常に厚みを帯びてきて、さりげなく配置された脇役の存在感もひかり、主人公たちが引き立ってくる…
「マイ・ブラザーズ・ウェディング」 いわゆるインディーズ映画ですが、これという大事件が起こるわけでもない中で、黒人社会の現実を、的確なカットつなぎとスピーディな展開で映像に仕上げて行く手腕は大したもので、見終わって振り返ると、ちょっとした映…
「人はなぜラブレターを書くのか」 いい映画だった。様々な人たちが繋がり、未来に向かって行く様が、時に切なく、時に勇気づけられ、時に人生を振り返り、そして前に進んでいく。心の染み渡る深い感動を残してくれる秀作でした。画面もとても美しいし、色彩…
「Riceboy ライスボーイ」 これはいい映画だった。とにかくカメラが美しい。色彩や構図だけでなくカメラワークも流麗で躍動感に溢れていて、どんどん引き込まれていきます。韓国からカナダに移り住んだシングルマザーと一人息子のヒューマンドラマというシン…
「鬼の花嫁」 何とも言えないゆるゆるのファンタジー。原作が弱いのか脚本が雑なのか、演出にもキレはなく、演技演出も適当、マンガチックにというか原作は漫画なのだが、そんなまま映像化しきれない映画だった。ただ、ロケ地が素晴らしく、建物、庭のロケー…
「炎上」 何とも薄っぺらい幼稚な感性の作品。ビデオクリップのような映像であるかに見えて、今一つまとまらないし、ドキュメンタリータッチに見えてそれも中途半端。ストーリーテリングで見せていくのかと思えば、細切れで人物描写も軽すぎて響いてこない。…
「不貞の女」 全編心理サスペンスの傑作。シンプルなストーリーですが、カメラワーク、BGM、登場人物のクローズアップと視線、さまざまな映像演出を駆使して不穏な空気感を醸し出していく様が実にうまい。流石に監督の才能を思わせる映画でした。監督はクロ…
「ハムネット」 西洋のお話ですが東洋的な演出が施されて、ややシュールな映像やカメラワークを繰り返すのはやはり監督の色でしょうか。息子を失った母の再生のドラマを、時に一気に暗転させる画面を交錯させ、時に一瞬過去の場面に戻るカットを挿入した構成…
「ヒット・エンド・ファン!臨時決闘」 ゆるゆるの香港映画、アクションもそれほどなく、お話も至って単純かつ中身もない。笑いのペーソスも弱くて、まるで、ほぐれた糸が風に靡くような映画だった。でも、こういうノリも香港映画の味かもしれない。監督はア…
「水の中で」 全編ピンボケ映像で綴った一人の青年の切ない恋の物語という感じの作品だった。60分ほどの中編作品で、淡々と進むいつもの会話劇が、それとなく主人公の過去に愛した女性への想いへと昇華して行く展開がどこか切ない。ピンボケが、主人公の心の…
「落下音」 映像詩という作りの作品で、入場時に渡された相関図を見ていなければ、四つの時代の女性の物語だとほとんど把握できない作りの映画だった。それぞれがシュールであるわけではないが、地鳴りのような不穏な音が背後に聞こえ、蝿の音、そのほか様々…
「そして彼女たちは」 望まぬして妊娠、あるいは出産した五人の少女たちのドラマを見事に描き分けた手腕がまず上手い。さらに、それぞれの少女たちへ向けたカメラの視点に、どんどん引き込まれて、それぞれが不幸のどん底に落ちて行く姿を描いてラストでスッ…
「女鹿」 画面の隅から隅まで、物語の冒頭からラストまで、張り詰められた心理サスペンスに彩られた傑作。カメラ、映像、音楽、役者の視線、動作、セリフ、何もかもに隙間なく埋められたミステリーに片時も目を離せない。淡い色彩と、流れるカメラワークも素…
「北の螢」 極寒の北海道を舞台に、赤と黒を基調にした色彩演出と構図で描き切った男と女の濃艶なドラマ。その重厚感はさすがではあるけれど、全体に非常に平坦な作りで、胸に迫る何物かが今一つ物足りない。決して出来の悪い映画ではないけれど、五社英雄監…
「ザ・カラテ」 荒唐無稽な空手映画で、ストーリーを作る気は全くなくて、役者の演技もつける気もなく、ひたすら空手アクションを漫画のように描いていく。それが、意外に退屈しないから不思議だし、ある意味映画の作り方の原点なのかもしれない。終始、苦笑…
「妖艶毒婦伝 般若のお百」 エロスと残虐シーンを取り混ぜた典型的なB級時代劇という一本。いかにも二枚目の新九郎は早々に斬首されて、物語は一気に妖婦お百のドラマに集約、さらにあれよあれよと進む復讐劇で、都合よく、なんのストレスもなくラストまで走…
「プロジェクト・ヘイル・メアリー」 思っていた以上に良かった。おそらく原作がいいのだと思うけれど、人類滅亡を救うと言う重いストーリーながら軽いタッチで描いていく息苦しさのなさが、終盤にかけてどんどん効果を発揮していって、ラストは、SF的なテー…
「君が最後に遺した歌」 青春ラブストーリーの凡作という一本。ここまで直球勝負で展開すると、あまりに物足りなくて、しかも、主人公二人の心の機微が全く伝わってこないので、感動も湧き上がってこなかった。この中身のなさは、演技力の弱さか、演出が甘い…
「私がビーバーになる時」 昔からディズニーは環境保護をテーマにした作品は得意なのですが、最近はどこか鼻につく描写が目立つようになった気がします。今回の作品もどこというわけではないけれどいまひとつちぐはぐで、ほのぼのした面白さがなくてディズニ…
「資金源強奪」 90分あまりに娯楽が詰め込まれた傑作。どうなるのかどうなるのかとワクワクさせながら全く退屈せずにストーリーが前に転がって行く。とにかく面白い。あれよあれよと展開した先に、微に入り細に入った細かい伏線の果てのピカレスクロマンの粋…
「カミング•ホーム」 ほのぼのしたヒューマンファンタジーという作品で、人生の晩年にこんな日がきたらある意味素敵だろうなという映画だった。監督はマーク・タートルトープ。 ペンシルバニア州の小さな街に済む70歳を超えるミルトンは、認知症への不安もあ…
「ザ・クロウ」 いわゆるダークファンタジー。かなり前に見た旧作はなかなか面白かった印象があるので見に行ったが、シュールな映像を駆使しているかに見せて、かなりグロテスクな殺戮シーンを見せ場にしようという程度の感性の映画だった。全編シャープで陰…