くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」「RED SHOES レッド・シューズ」「愛のゆくえ」

「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」 若松孝二のプロダクションの黎明期を描いた第一作の続編ですが、めちゃくちゃ面白かったし、ものすごく良かった。生映画という表現がぴったりの生き生きした映画世界に浸ることができました。主人公のみならず脇役…

映画感想「12日の殺人」「πパイ」(デジタルリマスター)

「12日の殺人」 ミステリーというより、人間ドラマという範疇の作品で、特に映像演出が優れているとかもなく、物語の構成や展開も面白いわけでもなく、鬼気迫るおもしろさもカリスマ的な魅力もない映画だった。監督はドミニク・モル。 トラック場を自転車で…

映画感想「変な家」

「変な家」 こう言う映画を真面目に見るものじゃないと思うので、その前提で見れば、全編見せ場の連続で全く退屈しない。しかし、ふと我に帰ると、細かいリアリティをすっ飛ばしたあまりに非現実的な脚本に唖然とする。その雑さゆえ、この映画がホラーではな…

映画感想「海街奇譚」「ミニオンの月世界」「FLY!フライ!」

「海街奇譚」 個性的なカット割と大胆な編集、鏡や窓ガラスを効果的に使った見事なカメラワークと美しい構図で、相当映像クオリティの高い作品なのはわかるのですが、いかんせん物語が追いかけていけなかった。現実なのか回想なのか妄想なのか、過去と現在を…

映画感想「マリの話」

「マリの話」 所々にキラキラ光るシーンやセリフが楽しい作品で、60分と言う中編映画の面白さを堪能できる作品でした。監督は濱口竜介監督の助監督に就いた経験のある高野徹。 四つのパートに分かれて、現実か夢かわからない場面が交錯して展開していきます…

映画感想「DOGMAN ドッグマン」「PLAY!勝つとか負けるとかは、どーでもよくて」

「DOGMANドッグマン」 なかなか深みのある人間ドラマだった。B級ホラーアクションかと思いきや主人公のキャラクターが単純なサイコ野郎ではなくて、なるべくしてなってしまった深みのある存在感で、その描写がドラマを大きく膨らませている。さらに神の存在…

映画感想「青春の反抗」

「青春の反抗」 青春映画という触れ込みなのですが、芯になる話がまとまっておらず、三角関係の展開を繰り返す一方で学生運動の成り行きを同じウェイトで描いていくので視点が見えてこない。ラストの締めくくりから遡って思い起こしても、今ひとつ心に迫って…

映画感想「ロッタちゃん はじめてのおつかい」(2Kリマスター版)「水平線」「アバウト・ライフ 幸せの選択肢」

「ロッタちゃん はじめてのおつかい」 たわいない子供映画かと思っていたら、思いの外楽しい映画だった。当時大ヒットしたのもうなずける作品でした。主人公ロッタちゃんの愛くるしさだけでなく、何気なく展開するエピソードに心温まる感動を覚えるし、街の…

映画感想「ゴールド・ボーイ」

「ゴールド・ボーイ」 原作が弱いのか脚本が甘いのか、登場人物が全く生きた人間に見えない上に、それぞれの人物背景が全く感じられず、しかも小手先だけの展開を繰り返し、キレのない演出で目先の面白さだけを追いかけていく作品だった。役者陣も精彩がない…

映画感想「DUNE 砂の惑星PART2」

「DUNE 砂の惑星PART2」 SF超大作とはこういう映画だと言わんばかりの圧倒的な映像と壮大なドラマを堪能できる映画だった。とは言ってもPART1でも書いたが、ドラマ部分がやや持て余し気味に走ってしまうのが非常に残念。三時間近くかけたものの、クライマッ…

映画感想「犯罪都市 NO WAY OUT」

「犯罪都市 NO WAY OUT」 大ヒットシリーズですが見たことがなかったので、一見のためと見にきたが、娯楽映画としては非常に雑な脚本とグチャグチャな展開で、上映時間の割にダラダラと長く感じる作品だった。マ・ドンソクのスター映画といえばそれまでです…

映画感想「ポーカー・フェイス 裏切りのカード」「フィリピンパブ嬢の社会学」

「ポーカー・フェイス 裏切りのカード」 脚本、監督をしたラッセル・クロウの思いが強すぎて表現がついていかなかった感じの作品で、カット割もテンポが悪いし、ストーリーテリングも奇妙だし、何より、めちゃくちゃと言う出来栄えの映画だった。 美しい景色…

映画感想「FEAST 狂宴」「52ヘルツのクジラたち」

「FEAST 狂宴」 題名から、もっと奇抜で、突拍子もない映画なのかと思ったら、崇高な宗教観を伴った、ちょっと高尚な作品だった。と思うが、果たして理解できているのかは自信がない。食をモチーフに人々の生きる道徳感や宗教観を俯瞰で見下ろすような映画だ…

映画感想「エマニエル夫人」(4Kレストア版)

「エマニエル夫人」 公開当時は映画館に入れない状況で結局劇場で見れなかった上に、まだまだ学生で躊躇していた話題作をこの年でようやく見ることができた。すでに五十年前の作品で、現代のように刺激過多の時代で見直すと、これという作品ではない物足りな…

映画感想「ARGYLLEアーガイル」「コットンテール」

「ARGYLLEアーガイル」 二転三転四転五転、遊びきったストーリー展開と、モダンでスタイリッシュなバトルアクションシーンのオリジナリティで、映画って本当に面白いものだなと拍手させるほど楽しい映画だった。この監督の感性は本当に面白い。一体頭の中に…

映画感想「ネクスト・ゴール・ウィンズ」「コヴェナント 約束の救出」

「ネクスト・ゴール・ウィンズ」 実話を元にしているとはいえ、物語の組み立てがとっても楽しくてユーモアに富んだ脚本が心地よいし、演出のうまさで肩の凝らないスポーツ感動ドラマに仕上がっていました。思いの外感動したし笑えたし、掘り出し物の佳作とい…

映画感想「ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争」「ザ・フェイス」

「ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争」 うとうとしかけたところでエンディングというなんとも言えない作品。映画なのか、ただのメッセージなのか、見ましたというだけの映画だった。監督はジャン=リュック・ゴダール、遺作短編映画である。 奇妙…

映画感想「マッチング」「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」

「マッチング」 雑なミスリードを繰り返すホラーサスペンスだと物語を追いかけて行ったら、最後の最後で騙されてしまったのは非常に悔しい。決して一級品の鮮やかさや起承転結のテンポの良さは見えないのだけれど、B級テイストを貫きながら必死で工夫を凝ら…

映画感想「マダム・ウェブ」「落下の解剖学」

「マダム・ウェブ」 前半、説明過多でちょっともたつくものの中盤からクライマックスにかけて、どんどん主人公の能力が目覚めて来るとエンタメ感が増してきて楽しめました。マーベルコミックのマダム・ウェブ誕生の物語という展開ですが悪役が精彩にかけてカ…

映画感想「ソウルメイト」「ゴースト・トロピック」

「ソウルメイト」 オリジナル版も良かったが、これはこれでめちゃくちゃ良かった。今回、設定は一部変更してますが展開やセリフの隅々までほとんど同じですが、ラストはわかっているとはいえ泣いてしまいました。監督はミン・ヨングン。 精密画を描く手のア…

映画感想「劇場版マーダー★ミステリー探偵・斑目端男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血」

「劇場版マーダー★ミステリー探偵・斑目端男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血」 全く見る映画がなくなって、仕方なく時間潰しで見に行った。俳優陣にキャラクター設定と行動指示のみ与え、セリフはほぼアドリブで進む作品。物語がもうちょっとしっかりできてい…

映画感想「争う美人姉妹(改題前 処女宝)」

「争う美人姉妹」 なんとも言えないぐだぐだのメロドラマですが、あまりにも展開がめんどくさいのでそれはそれで面白かった。資料によるとオリジナルは90分ほどあるようなので、今回60分あまりになっているのは、再編集したものだろうと思います。貴重な一本…

映画感想「ボーはおそれている」「Firebird ファイアバード」

「ボーはおそれている」 つまり、母を恐れて遠ざけていた息子が最後には母に殺されてしまうスリラーなのか?目眩くような奇抜なシーンの連続と、現実感が全くない映像の繰り返し、これで終わりかと思えばさらに先に続く展開、癖になるのもわかるが、ラストシ…

映画感想「ニューヨーク・オールド・アパートメント」

「ニューヨーク・オールド・アパートメント」 もっとほのぼのしたヒューマンドラマかと思っていたが、思いの外辛辣で、しかもどこかおかしい作品でした。不法移民でアメリカに来た家族の厳しい現実の中で出会うさまざまな出来事を掘り下げた展開で描いていく…

映画感想「レディ加賀」

「レディ加賀」 典型的なローカルご当地映画なのでクオリティがどうのこうのという映画ではなく、小芝風花目当てで見に行った映画なので、これで十分満足な一本でした。監督は雑賀俊朗。 小学校の学芸会の舞台、一人の少女がタップダンスを踊っていて、男の…

映画感想「スケアクロウ」

「スケアクロウ」 名作というのはこういう映画を言うのでしょうね。いかにもな賞賛を送るのではなくて、見ているうちに、不思議なほどに好きになってしまう映画。余計なメッセージも何もなく、純粋で素直な人間の感情をストレートに感じて、感動してしまう瞬…

映画感想「いますぐ抱きしめたい」(4Kリマスター版)

「いますぐ抱きしめたい」 さすがにデビュー作だけあって、荒削りでギラギラした作品ですが、スタイリッシュなカメラワークと洒落た色彩演出、音楽センスの良さはのちの傑作を彷彿とさせる作品でした。物語が同じ展開を繰り返すので、少々中盤以降しんどくな…

映画感想「瞳をとじて」「カラーパープル」(ミュージカル版)

「瞳をとじて」 高級な作品ですね。二時間五十分近くあるのに長さを感じさせない作劇のうまさは絶品で、非常にシンプルな話なのに、全体に深みのある味わいを感じさせる映画でした。登場人物の表情から溢れ出る感情がいつの間にか心に何者かを生み出していく…

映画感想「梟-フクロウ-」「一月の声に歓びを刻め」「Here」

「梟 フクロウ」 めちゃくちゃに面白かった。史実を元にしたとはいえ、サスペンスの組み立てがしっかりしているし、次々と変転するストーリー展開が実に上手い。しかも、仰々しい演出もなされず、徹底的に観客の興味を画面に惹きつけることしか考えられてい…

映画感想「リバー・ランズ・スルー・イット」(4Kリマスター版)「夜明けのすべて」

「リバー・ランズ・スルー・イット」 淡々と静かに流れるだけの物語なのに、いつの間にか画面に引き込まれていくとっても素敵ないい映画でした。フライフィッシングの美しい釣り糸の流れが映画をとっても美的なものにしていて、作品全体を染み入るほどに優し…