お話はおもしろい、まさに歴史ロマンというイメージで、スペクタクルとか、壮大なとかいう言葉は全然当てはまらない。でもそれがこの映画の魅力かもしれません。そして、人々が、特に大阪にすむ人々が胸の奥深くに大切にしておきたいお話をこういう形で物語にしたという感じなのです。
東京からやってきた会計検査院の三人が大阪の財団法人OJOで見た信じられない物語。大阪に密かに豊臣の末裔を守りながら独立した国家大阪国を築いている人たちがいる。というか、大阪のすべての人たちがその国民であるという荒唐無稽な物語を知る。
作り方によっては一大スペクタクルになるところを淡々とした物語として完成させ、父がその子に口伝えで大阪国の真実を語るという父と子の物語に仕上げたのはある意味で成功だったのかもしれない。
見終わって、どことなく不思議に胸が熱くなるのは決して、自分がエキストラとして参加したための想い入れだけではないと思う。もちろん、映画の作品としては中の下かもしれない。細かいカットを積み重ね様々な方向からのショットをつなぎあわせるというコミカルな演出や主要キャラクターをちょっとふざけたイメージで描こうとした努力はテレビドラマ「HERO」の面白さのごとく認めるが、大作としての横長の画面は全く生かされていないし、満を持して公開されたという迫力は感じられない。
にもかかわらず、全く退屈をしない二時間半であったし、結局、それぞれの人物の物語は深い話になって伝わってこないけれど、すべてが最初に戻って、すべてが秘密になって終わるというエンディングはなんかロマンはロマンのままでさわりたくないという素直な気持ちを大切にした結果として好感でした。
エンドタイトルで魅せるそれぞれのキャラクターのスチールもいいムードで効果を出していたと思います。
ちなみに、私の出演シーンですが、冒頭のガードマンはわかりましたし、府庁での職員はわかりましたが、自分しか気がつかないレベルでした。