くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「河童のクゥと夏休み」

河童のクゥと夏休み

プロの評論家の方たちが絶賛、さらにMoviewalkerのみて良かった映画第二位ということで、ものすごい評判のアニメ「河童のクゥと夏休み」を本日最終にして見に行ってきました。

元々みるつもりは全然なかった映画ですが、その完成度の高さと、「クレヨンしんちゃん」シリーズの評判の高さもある原恵一監督作品でもあったので,気にはなっていたのです。

さんざん悩んだ末、また、特にほかに見たい映画もなかった中、本日の最終日に行きました。

そもそも、二時間三十分近い長尺映画、どう考えても子供向けではない。つまり、作る側は最初から、大人も意識してのアニメであったのでしょう。

評判の通り、非常に丁寧なストーリーづくりと練りに練った構成、素直な展開と、どこか、胸の中に染み渡るシーンの数々。確かに良質の映画でした。長尺が長尺に感じられないほどのテンポづくりのうまさ。ありきたりの物語になりそうでならない上に、わざとらしく引き延ばすこともしない。本当に、これでもかと何度も練り上げた結果のいい作品でした。

江戸時代に物語が始まり、主人公の河童とその父親、そしていずれ運命的な出会いになる侍とのいきさつから、一気に地震で、主人公クゥ(当時はその名前ではありませんが)地中に埋もれてしまう導入部。そして、現代、ふとした偶然から、一人の少年に発見され、心が通う中で,例によって、マスコミにかぎつけられる中盤、たいていの映画がここで一気にクライマックスへと進むであろう安易な作り方ではなく、ここからが、物語の後半部分になるというもう一段上の展開に拍手。

特に、見事なほどの映像があるわけでもなく、突拍子もない画面があるわけでもないのですが、まさに日常を日常のままに、流れは流れのままにストーリーが展開する平凡さ。そして、後半からクライマックスへのなぜか、心が温かくなるようなまじめな展開に、後味の良いラストまですんなりと見せてくれました。

もちろん、先頃みた「時をかける少女」のような斬新な感動はありませんが、並のアニメではないという感動は体験できました。
個人的な好みとしては、絶賛はしないものの評判通りのいい映画でした。