くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「シャーロック・ホームズ」

シャーロック・ホームズ

いやぁ、久しぶりにわくわくするほどおもしろい娯楽映画に出会いました。
画面に疾走する馬車がフレームインしてくる、そしてカメラの前を通り過ぎるや画面奥へ走る、それを猛スピードで追うカメラ。
中にはシャーロック・ホームズ(ロバート・ダウニーJr)とワトソン博士(ジュード・ロウ)が乗っています。
そしてとある建物へ忍び込む。中ではなにやら黒ミサのような儀式が。一人の女性が台の上に仰向けに縛られ、怪しい黒ずくめの男が呪文を唱えている。

その女性を助けにきたのがホームズたちのようで、これから起こる格闘の手はずがナレーションにつぶやかれ、次の瞬間その通りの動きで襲ってくる見張りをやっつけるホームズ。
デジタルカメラによるハイスピードの映像とコマ送り、スローモーションを多用したモダンかつスピーディなアクションシーンでこの映画は幕を開けます。
後はもうノンストップの展開に息つく暇もありません。

一つの見せ場が終わると次の見せ場に入る前に、これからだぞといわんばかりにカメラが大きく全体を俯瞰したり回転したりし、音楽が盛り上がってくると一気に次の見せ場。この繰り返しが何とも小気味よくて爽快です。そして天才的なくらいの洞察力を見せるホームズのセリフが随所に挟み込まれ、その切れの良さが嫌みなほどにストーリーにスパイスの役割をします。

そもそも私たちが作り上げているシャーロック・ホームズはパイプをくわえた英国紳士のイメージが強いが、今回はあくまでキャラクターを借りただけというだけあって、無精ひげを蓄え、小柄な風貌でしかも拳闘も一流で格闘シーンも随所に見せる。最初はちょっと違和感があったものの、そんなものはストーリーが進めば忘れてしまうほどにおもしろいのです。

物語は単純で、黒ミサの力でフリーメイソンのトップになり、果ては英国をそして世界を支配せんとするブラックウッド卿のたくらみを阻止すべく、謎解き対決をするホームズの姿を描きます。時代が19世紀末という設定で、モノクロームに近い色彩でレトロなムードを盛り上げ、当時の最新技術をまるでSFのごとくアレンジしたテクニカル演出に黒魔術の不気味さを盛り込んだアクションは見応え十分。ホームズとワトソン博士の掛け合い、さらにホームズが愛したアイリーン・アドラー(レイチェル・マクアダムス)の存在感も物語のおもしろさを盛り上げる趣向は何とも練られた脚本である。

しかもホームズの宿敵モリアーティ教授も姿こそ見せないものの不気味な登場で物語に厚みを加えます。
ロンドンの町並みのCG美術もなかなかのもので、クライマックスは建築中のロンドン橋という設定の壮大さは見応え十分。

謎解きは一見単純ながら、ローバート・ダウニーJrの演技力のたまものかガイ・リッチー監督の演出手腕か、説得力のある展開はエンターテインメントとして一級品に仕上がっています。
とにかく、もっともっと話が続いてほしいと思うほど楽しめる映画でした。是非続編を作ってシリーズ化してほしいですね。