「ラスト・ウィッチ・ハンター」
なんの変哲もない普通のアクション映画で、これといって面白いわけでもない。監督はブルック・アイズナーです。
800年の昔、魔女を倒したものの不死の呪いをかけられた主人公コールダーは、ドーランと呼ばれる神父とともに、人間と共存し始めた魔女達のうち邪悪に走るものを捉えて罰していた。
ところが36代目のドーランが何者かに殺され、その犯人を倒すための37代目のドーランと魔女ハンターに出る。そこには、かつて倒された女王を復活させ、人類滅亡を画策する陰謀が渦巻いていた。
今更特撮に新鮮味もないので、編集や演出や演技、脚本の面白さで見せ場があればいいのだが、実に平凡で、正直つまらないほどの凡作。
まあラストは復活を阻止して終わってハッピーエンドだが、続きを作りそうなエンディング、そんなに面白くなかったけどな、という映画でした。
「陽のあたる坂道」(田坂具隆監督版)
三時間を超える文芸大作ですが、丁寧な演出と、きめ細かな脚本構成でしっかりと作られた名編でした。監督は田坂具隆です。
画面奥まで続く坂道を北原三枝扮するたか子が歩いて行く場面から映画が始まる。行き先は会社経営者の邸宅で、そこの娘の家庭教師に行くのである。石坂洋次郎原作らしい上流階級の男女を描いた青春映画である。
出迎えたのは石原裕次郎扮する信次で、荒っぽい出迎えにあっけにとられる。兄の雄吉は優等生で、妹のくみ子は幼い頃の怪我で足が不自由である。
実は信次は腹ちがいの兄弟で、父が若い頃芸者に生ませた息子だが、子供同然に今の母が育てた。そしてその実の母トミ子はたか子の下宿の管理人の女で、さらにくみ子は歌手の民夫に惹かれている。民夫はトミ子の息子でという人間関係が前半で紹介され、次第に、絡み合いながら、最後はハッピーエンドでまとまるという流れである。
とにかく、一つ一つのエピソードに手抜きがなく、画面作りもしっかりしているので、見ていて間延びしないし、だれてこないのは見事なものである。少々ラストの処理が甘い気がしなくもないですが、いい映画だと思います。
石原裕次郎と北原三枝のスター映画の様相ももちろん強いのだが、心理描写もしっかりされているし、登場人物が生き生きと見える。
文芸映画の名編というキャッチフレーズがぴったりの一本でした。