くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「嘘八百 京町ロワイヤル」「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」「バッド・ボーイズ フォー・ライフ」

嘘八百 京町ロワイヤル」

前作はそれなりの面白さでしたが、今回はキレが良くなって、テンポよく楽しめました。サスペンスタッチが前面に出た感じで、ちょっとドラマ感は弱くなりましたが、できは良かったかなという感じです。監督は武正晴

 

京都で古物商と娘が占いをしている店をしている則夫のところに、旧知の知人のテレビ番組を受けるところから物語は始まる。ところがやってきた古物商の老舗嵐山堂の主人と鑑定人の男は則夫の出す品物を腐して恥を書かせて帰る。そんな時、志野という美人が訪ねてきて、はたかけという名称の茶碗を取り戻して欲しいと依頼する。ところが、佐輔が作った写しを渡したら即日ネットオークションに流れる。

 

裏があると志野に迫る則夫たちに、志野は嵐山堂にひとあわふかせようと言い出す。実は志野は嵐山堂が贋作を始めた頃の番頭の娘だった。嵐山堂は20年前から裏で大量の贋作を作っていたのだ。則夫はたちは、かつてのメンバーを集め、もう一度テレビと組んで、偽の茶会を企画、はたかけの偽物をたくさん作り、嵐山堂の主人らに恥を書かせる。全てが終わり、志野は則夫たちの前を去って行って映画は終わる。よくある展開で素直に楽しめる作品でした。

 

「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」

確かに面白い。しかし、根底にある謎の部分が、無理やり隠している感が強くて、もちろん隠しおおせているので成功しているのかもしれないがフェイクがしつこいほど全編を覆っているのが最後まで気になって仕方ないミステリーでした。アガサ・クリスティの向こうを張ったと言いますが、クリスティのすごさはまだわかっていない感じですね。監督はライアン・ジョンソン

 

巨大な古屋敷、二匹の犬がこちらにかけてくる。如何にもなオープニングから幕を開ける。この屋敷の主人でミステリー作家のハローラン・スロンビーが誕生パーティの夜亡くなり葬儀が行われた。自殺だったが、一週間後、警察は有名な探偵ブノワ・ブランを伴ってやってきた。

 

物語は、死に不信があるとして、謎の依頼文で呼ばれたブノワがハローランの子供や孫たちに話を聞きながら真相を突き詰めていくのが本編となる。ハローランには、長年ついている看護師のマルタがいた。ブノワの質問に次々と答えていく親族たち。その話の一方で、マルタは、実はハローランを殺したのは自分だった経緯が描かれていく。

 

パーティの夜、いつものようにマルタはハローランを部屋に送り、いつものように碁を打つ。そのあと、痛み止めの注射をしたが誤ってモルヒネを注射。致死量だったため、十分の猶予しかない中、ハローランは、マルタに罪が及ばないように即興のトリックを伝授する。そして自らナイフで自殺したのだ。

 

ブノワはマルタに最初から注目していたが、マルタは嘘をつくと吐いてしまう癖があった。しかし、問い詰めても嘘を言わなくて済むようにハローランはアドバイスもしていた。

 

やがて遺言書が公表されると、なんと全ての財産や版権はマルタに与えるものとなっていた。親族は怒り、様々な手段でマルタに取り入ったり脅したりし始める。一方ブノワはマルタのあの夜の行動を推理しかけていた。そんな時、マルタのミスを証明するコピーと一緒に脅迫文が届く。たまたまマルタに近づいてきた孫のランサムと、その取引場所に向かう。そこへ、二人を見つけた警察やブノワが追いかける。

 

取引場所にマルタが行くと、そこにハローランの娘フランがモルヒネを打たれて瀕死だった。マルタは救急車を呼び、ブノワに伴われる。そしてマルタは親族に全て話すと言って、屋敷に集める。しかしそこで、ブノワは、最後の最後に、遺産の返却を止める。実は真犯人はランサムで、彼はマルタを巧みに利用し、ハローランの変更後の遺書を無効にしようと考え、それを嗅ぎつけたフランを殺そうとした。

 

実はマルタの持っていた鎮痛剤とモルヒネの中身を入れ替えたのはランサムで、マリタは鎮痛剤を注射しただけだったのだが、動転して気がつかず、悲劇になったのだ。

 

マルタに病院から電話が来て、フランは助かったと知らせが入り、ランサムは観念して殺人を告白。直後、マルタは吐いてしまう。フランは死んだのだ。ランサムは捕まり、マルタは遺産を得ることに。

 

長男リチャードが父から渡されるはずだった不倫の証拠の手紙で真っ白だったものは、妻のリンダがライターで温めると真実が浮かび上がる。このエピローグで映画は終わる。

 

確かに謎で包まれているのですが、どこかストーリーのすぐ下を走っている感じのミステリーで、そのフェイクがしつこくて、深層の奥底に隠された謎を解くという爽快感が生まれてこなかった。

 

「バッド・ボーイズ フォー・ライフ」

予想以上に面白かった。カーチェイスが抜群だし、カメラワークも大胆で大きく、映像が派手に動くので、ワクワクして画面に引き込まれます。セリフの掛け合いが少々うざくなってますが、ラストに一気に出てくる人間ドラマも胸に迫るし、非常によくできた娯楽映画の秀作という感じでした。監督はアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー。

 

ポルシェに乗ってすっ飛ばすマイクとマーカスの軽快なシーンから映画は幕を開ける。マーカスに孫ができるということですっ飛ばしている。一方、ある刑務所から一人の女性刑囚イサベルが脱獄する。彼女は20年近く前に夫を殺され、自分も逮捕された原因の警察関係者を恨み、息子のズウェイロに命じて殺し始める。その一人がマイクだった。

 

いきなり撃たれて重傷を負ったマイクだがなんとか生還、犯人を追い始める。一方マーカスは引退を考えていた。マイクの周りで次々と関係者が殺され、また最新のITを駆使したチームも参加するが、ここに来てマイクらの上司も撃たれて死んでしまう。

 

マイクは犯人をメキシコにいるイサベルと特定していき。狙撃してくるズウェイロらを追い詰めていくが、実はズウェイロはマイクの息子らしいとわかる。かつて警察になりたてのマイクは潜入捜査で麻薬組織のボスの妻イサベルと親しくなり一度だけ関係を持ったのだ。獄中でイサベルは男の子を産み落としていた。

 

マイクとマーカスはメキシコシティに乗り込み、最後の決戦へ。ITチームも参戦し派手な銃撃戦ののち、イサベルは炎に包まれ死に、ズウェイロは、マイクに息子だと言われ、重傷を負って逮捕される。刑務所のズウェイロに面会に来るマイクのシーンでエンディング。

 

とにかく全編息もつかせない面白さというのが正直な感想で、カメラワークが実に見事に映像テンポを作り出している。終盤ようやく親子のドラマなんてものが入ってくるが、このタイミングもうまい。本当に掘り出し物でした。