私はソウルミュージックやジャズなどにはほとんど知識がありませんが、それでもレイ・チャールズという人物の存在は知っています。もちろん盲目であることも、そして昨年亡くなられたことも。
そんな彼の半生をつづったこの映画はとにかく、素晴らしかった。
冒頭部分、レイの手とマイクのアップからピアノを弾く彼の姿を映しながらのタイトルバックはとにかく引き込まれてしまいました。
音楽が好きで好きで、といって、家庭を顧みなかったりすることもなく、家庭、家族を愛した彼の姿は、少年期の悲しい思い出と共に彼の心の支えだったのでしょうか?
成功した後も前進することを忘れずに次々と新しいことに挑戦していく、それはただ音楽が好きでたまらない、そのためだけの理由で突き進む彼の姿には心が打たれました。
現状に甘んじることなく挑戦する彼の姿は「本当にみんなに音楽を愛してほしい。こんなに素晴らしいものがあるのにそれをわかってほしい。音楽ってこんなに楽しいものなのだ」ということをただ伝えたいだけだったのでしょう。まさに彼ほど純粋にエンターテイナーとして生きた人はいなかったのかもしれません。
人生の終演まで頂点に立ち続けられたのはそのためであったのでしょう。人間は前進をやめたら終わりであることを見事に訴えかけてくれた作品でした。この物語を見たら、いまの自分たちの生き方も見直すことになること間違いなしですよ。
テイラー・ハックホードという監督はかつて「愛と青春の旅立ち」でさわやかな感動をもたらしてくれた名監督です。その手腕は今夏にの作品にもいかんなく発揮されていて、少年時代のフラッシュバックを随所に適度な感覚と長さで挿入し、また幻覚を見るレイの姿も無駄なく挿入して物語に厚みを持たせています。
ジェイミー・ホックスの名演は話題を呼んでしますが、まさにキャストスタッフがみごとに解け合って、盲目の天才を見事にスクリーンによみがえらせてくれたのです。
おすすめのいい映画でした。
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