くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「20世紀少年第一章」

20世紀少年第一章

原作を読んで期待の一作「20世紀少年」その第一章を見る。
監督は堤幸彦。きらいな監督ではない。キャストも唐沢寿明豊川悦司などなど、芸達者をそろえ、原作の複雑なプロットを映像化にチャレンジ。

そもそも、原作のプロットの組み立てが複雑すぎるがゆえに、今まで映画化困難とされてきた一作である。半分不安、半分期待の作品でしたが、原作をかなり忠実に再現し、堤幸彦監督のオリジナリティな映像表現も交えて無難なできばえでした。

全三部作の第一章、しかも原作が、謎が謎を呼ぶという二転三転するストーリーでもあるので、今回の第一章は登場人物の紹介、そして、物語の舞台の背景を丁寧に説明する内容になっています。

40歳代50歳代の人間には出てくるオブジェクトそれぞれが一見で理解できますが、若い人には原作を知らないと、意味不明なものも多々あると思います。
月面着陸、万国博覧会太陽の塔、鉄人28号、などなどが、くどい説明もせずにさらりと、しかもそれなりに意味を持たせてスクリーンに登場させてきたのは成功でしょう。

クライマックスのスペクタクルシーンが今回の作品の最大の見せ場ですが、そこへ行くまでを手を抜かずに丁寧に演出してくれているので、二時間半近くある映画をすんなりと見ることができました。

原作の登場人物に似通った配役(子役を特に)を起用したのは、原作がいかに緻密に計算されたものであるかを証明しています。
ともすると、省略を多く取りすぎて意味不明になるところを、長尺作品になることを覚悟で、なるべくカットせずに書いた脚本が今回の作品の成功の一助でしょうね。

傑作と呼べるほどのハイレベルな映画にはなっていませんが、これから続く第二章、第三章までを引っ張れるだけの力作に仕上がっていると思います