くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「オーガストウォーズ」「マジック・マイク」

オーガストウォーズ

オーガストウォーズ」
ロシア軍が全面協力したというスペクタクル映画で、チラシなどではまるで「パシフィック・リム」みたいな巨大ロボットがでそうなイメージの宣伝なので見に行ったが、なんと、ロボットや特撮の場面は主人公の少年チョーマが空想するだけの世界で、物語の中で展開するのは、グルジア軍に攻撃されたロシア軍との戦闘シーンが中心になる。

なぜか尻軽女のチョーマの母クセーニアは、軍人である前夫と疎遠になっていて、新しい彼氏と旅行にでたいと考えている。そんなとき、チョーマを前夫が会いたいと言いだし、呼び寄せるのだが、場所がなんと国境のそばにある両親の家。主人公のチョーマ少年は悪の巨大ロボットを正義のロボットがやっつける物語に夢中で、ことあるごとに空想し、自分をロボットが守ってくれると信じている。

父の両親のところにいったものの、時を同じくしてグルジア軍が攻めてきたために、父もその両親も攻めてきたグルジアの戦車にその場で殺され、チョーマは孤立する。そのチョーマを助けるために母親が駆けつける展開が本編になる。

待ち伏せするグルジア軍の中を次々とその場その場でロシアの軍人に助けられながら進む母親のお話が、さすがにロシア軍が協力しただけあって迫力満点だし、森の中に現れるロボットの特撮シーンもよくできている。

とはいえ、今にも戦争が起こりそうな状況なのに、前夫の軍隊では把握してないし、いかにも男好きで子供などどうでも良さそうなクセーニアを演じた俳優がなんともいえなくも妙な感じで、数々の危機の中をくぐり抜けるにはどこかリアリティに欠けるのが珍妙。

さらに、時々、大統領官邸での作戦会議のシーンもあるが、いったい、この映画はなにを中心に描こうとしているのかが定まらない。

結局、反撃したロシア軍がグルジア軍を追い払って、クセーニアもチョーマを助け出して、ジープのカーチェイスしーんもあるが、なぜにあれほど執拗にグルジア軍が彼女を追うのかはてなである。

しかし、小さな伏線を無駄なくラストシーンまで書き込んだ脚本はなかなか丁寧であるし、所々の矛盾はさておき、ふつうに娯楽映画としてみればあれでいいのかと思うが、なんかロシア軍の強さみたいなものを見せつけれメッセージもないわけではないかとも思える映画でした。


マジック・マイク
メンズストリッパーの世界でのサクセスストーリーを描いたスティーヴン・ソダーバーグ監督の作品であるが、これが実に楽しいし、いい映画だった。

ステージシーンの一つ一つのショーがきっちりと作られ演出されている。その多彩なショーに、映画を忘れて楽しむことができるのです。

もちろん、腰をくねらせ、狂喜する女性たちと抱き合うストリッパーたちの姿は、卑猥と言えば卑猥なのですが、品の悪さが全然ない。あくまでショーとして、プロとして割り切った世界をまじめにカメラがとらえていく。その様が実に真摯で好感があるのです。

主人公マイクはメンズストリッパーの世界ではトップスター。普段は屋根修理の仕事などをしているが、たまたま屋根の吹き替えで新人のアダムと知り合う。そして、夜のショーの時にたまたま彼を店に引き入れ、穴のあいたショーにちょっとだしたところ、一気に彼は人気を得る。

画面は6月というクレジットから始まり、7月、8月と展開していく。

彼には姉のブルックがいるが、彼女は堅気で、ストリッパーの世界に入った弟が心配でマイクに託す。

今の世界では将来に不安のあるマイクは新事業を興して実業家になろうとするが、それもうまくいかない。
一方堅実なブルックに徐々に引かれ始めるマイク。

次第にアダムは人気を高め、マイクの人気もあって、オーナーのダラスの店は繁盛し、マイアミへ進出することが決定。そのころ、ドラッグの失敗で一万ドルの借金を作ったアダムだが、マイクの貯金で急場をしのぐ。そしてマイクは今の生活を捨てることを決意。マイアミへ発つ最後の夜のステージは降りてブルックの元へ。そして、ブルックに愛を告白し、お互いのカットでエンディング。店では次のトップスターになったアダムのステージが行われよとしている。

最初にも書いたが、ステージシーンが毎回趣向を凝らした演出で、それが多彩な工夫が施されていて実に楽しい。背後に流れる音楽のテンポも実にいい。

マイクを演じたチャニング・ステイサムも周辺のダンサーを演じた俳優たちの個性もしっかりと描かれている。さらに、今回も奇妙なオーナー、ダラスを演じたマシュー・マコノビーのステージもなかなかの怪演で見せてくれる。

テンポよく展開するストーリーも切れがよくて、合間に挿入されるステージ、色彩を黄色っぽく変色させた画面づくりも美しくマッチしている。

全体に実にバランスのよい作品で、見ていてぜんぜんだれることがない一本。なかなかの秀作でした。