くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ムービー43」

ムービー43

ここまでおバカな映画を堂々と作って、堂々と公開するアメリカという国の、心の広さというか、奥深さというか、異常さということに拍手したい一本。決して、ブラックでも風刺でもない、笑うに笑えないギャグの連続を、ハリウッドの今をときめく男優、女優たちが繰り広げていく。

下ネタ、黒人差別、児童虐待、フリーク差別、女性蔑視などなど、アメリカが今まで歩んできた影の部分を徹底的に取り上げていく。せりふの間合いや編集の醍醐味、演出のおもしろさとかいうテクニックで見せるものはなにもない。

ひたすら、ストレートに押しつけてくるギャグの連続。それも、ヒュー・ジャックマンクロエ・グレース・モレッツリチャード・ギアデニス・クエイドなど書き連ねたらキリがないほどの大俳優が演じていく。まじめにみていたら、こちらが反吐がでるほどの嫌悪感にとらわれるだろう。

しかし、これだけの俳優がでていたらみないわけにもいくまい。この観客の弱みにつけ込んだ製作者側の態度にさえも胸くそ悪くなる。でも見る。そんな最低最悪の映画である。

映画はデニス・クエイドが持ち込んだ様々な映画のネタの数々をプロデューサーに押しつける展開で進んでいく。
それぞれのネタエピソードはいちいち書かない。というより、書いてられないのだ。

最初は笑っていられるが、そのうちに、気分が悪くなる。というか、笑うことに抵抗が生まれてきたりもする。素直にばか笑いする人間の性格を疑い始めたりする。

でも、大ファンのクロエ・グレース・モレッツがでているし、せめてそのシーンだけでもとがんばる。エロがセクシーであるわけでもなく、気の利いたアイロニーもないのである。

一通り終わった後、アニメと実写のからみのお話がもう一つあって、エンディング。

ただ、唯一ちゃかしていないことがある。大統領についてである。たまたまか、意識的か、それとも考え過ぎか。

まぁ、見逃して損はないけれど、見ていなかったら気になる一本、そんな映画だった。