くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「最期の命」「サボタージュ」

kurawan2014-11-10

「最後の命」
中村文則原作の話題の映画だが、原作の弱さか、脚本の弱さか、独りよがりの展開と演出に終始したために、全体がとってもわかりづらいしんどい映画に仕上がったという感じだった。

もちろん、物語が全くわからないわけではないが、心理描写がうまく処理されていないために、現実の展開もぼやけてしまったようなのである。唯一、現実の世界をシャープにするはずの殺人事件さえも、うやむやな映像で処理したために、ここで一本筋を通すべきサスペンスが生きてこなかった。

物語は一人の少年桂人が、窓に当たる小石の音で目覚めるシーンに始まる。小石を投げていたのは友人の冴木。二人は「世界が」「終わる」という合い言葉を交わして夜の町を走り回る。

近くのホームレスの男達とも仲がいい。二人の家庭環境は描写されないが、おそらく孤独な二人なのだろう。

ある日、冴木が家を出るといいだし、桂人と夜、家出をし、二人の秘密基地へ行くが、電池切れ等で不安になり、家に戻ることに。ところがその途中で、ホームレスの男達が、工場に住んでいる女をレイプしている現場を目撃する。

映画は、このトラウマで、冴木は連続婦女暴行を起こす犯罪者となり、桂人は人にふれられることに異常に嫌悪感を持つようになっている。その二人の現代の姿、高校時代、そして、成長につれて異常になっていく二人の姿をフラッシュバックさせながら描く。

ある日、桂人が家に戻ると、なじみのデリヘル嬢が殺されていて、指名手配されている冴木が浮かび上がる。この場面をもう少ししっかりと物語に取り入れれば、作品がしまったのだが、ここでの刑事の登場シーンは数シーンのみで終わってしまう。

高校時代の冴木のガールフレンド香里が、物語の中に登場し始め、彼女は、精神的に異常になっていて入院してるのだが、その詳細は説明されない。

結局、桂人を訪ねてきたデリヘル嬢が、たまたま、押入で隠れていた香里ともみあって、死んで、そこへきた冴木が香里をかばっているのだという真相が明らかになる。

冴木も桂人も、幼い頃の目撃のトラウマで、精神的に参っていて、特に冴木は、犯罪者となり完全に壊れている。最後に、薬を飲んで自殺してしまい、桂人は香里のベッドの傍らで寄り添ってエンディングとなる。

終始こだわった心理描写による映像演出が、全体をぼやかしてしまった。作品が暗いのは仕方ないとはいえ、メリハリも必要ではないかと思える一本でした。


サボタージュ
デビッド・エアー監督作品ということで見に行ったが、アクション映画としては並みという感じの作品だった。少々脚本が荒いのか、ストーリー展開が雑なところがあり、アクション以外の見せ場である、サスペンス部分が練りたいないのが残念。しかし、刈り上げのシュワルツネッガーをうまく使い、銃撃戦の場面もシャープで、その点は成功してた気がします。

映画は、シュワルツネッガー扮する主人公ジョンがビデオを見ている。そこには、ジョンに助けを呼ぶ女性の姿、どうやら妻のようである。そのシーンのあと八ヶ月後とテロップが出て本編へ。
ジョンが率いる麻薬組織取締局特殊部隊がとある麻薬組織に突入するシーンへ。このシーンはなかなかに緊迫感と迫力で一気に引き込んでくれる。そこで1000万ドルを盗むが、何者かに略雑される。一時は疑われたジョンたちだが、大物捜査官でもあるジョンたちは釈放。しかし、その後、仲間が次々と殺され始める。

麻薬組織の復讐かと思われ、市警の女刑事を交えてストーリー展開するが、このあたりから展開が雑になり、やがて、殺していたのはジョンの部下の女だったり、その動機も金目当てだったりと、雑になり、その上、金はジョンが妻の復讐のためにメキシコの警官への賄賂のために取ったという展開から、あっけなく復讐を遂げてエンディング。

これなら、最初から仲間でメキシコへ行けばよかったのでは?あれほど家族のような仲間なのだから、可能だろうにと思えるし、中盤のジョンの苦悩の描写も弱い。市警の女刑事の存在も、最後はおざなりになっているし、かなり荒っぽくエンディングした感じです。

まあ、娯楽アクションとしては普通に楽しんだから良いとしよう。的な映画だった。