くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「あの橋の畔で」(第一部 第二部 第三部)

「あの橋の畔で」(第一部 第二部 第三部)

「君の名は」同様のすれ違いメロドラマで、展開はあれよあれよと進むが脚本に参加した山田洋次のさりげないユーモアが物語を引き締めるので、見ていて楽しい。監督は野村芳太郎

 

学生時代からの恋人光晴と葉子のラブラブシーンをダイジェストのように見せるところから映画は始まる。もともとTBSのテレビドラマなのでその辺りは走ったという感じです。やがて光晴は葉子の実家宮崎の父のもとへ結婚の承諾をもらいにいくが、父は東京にいる兄健二郎に任せているからと追い返す。光晴は健二郎に会うべく東京へ向かうが、そんな頃、健二郎の上司でエリートコースを進む若手部長沢野信介が葉子を見染めたということで、社長から見合いの話を持ちかけられていた。ことを同じくして光晴は交通事故で入院し、その後、看護婦のトキという女性と親しくなる。

 

優柔不断の健二郎は、断り切れず葉子と信介の見合いを段取りするうちに話はとんとん拍子で進んでしまう。しかし葉子は健二郎を振り切って北海道へ行った光晴の元へ向かう。一方光晴はさまざまな妨害の中葉子から離れた自分を恥じて、自暴自棄になっていた。そこへ葉子が現れるが、光晴を慕うバーの女がついていた。

 

バーの女は光晴と揉み合ううちに湖に転落、自分は助かるが光晴は行方不明になる。そして一年、葉子は信介と結婚していた。そこへ、信介の会社の新社屋の設計で、たかのという設計士が認められて、呼ばれるが、なんと北海道で記憶を失って助けられた光晴だった。

 

記憶喪失の光晴は葉子と再会するが、覚えていない。脳の血腫が原因らしいということで手術をすることになり、無事手術が成功して第一部は終わる。

 

全ての記憶が戻った光晴は信介の会社の設計を進めようとするが、葉子とのことで健二郎の横槍もあり、はずれてしまう。そんな頃、信介は秘書の女と関係を持っていた。葉子は父の元を訪ね、たまたま仕事できていた信介とであう。また同じく宮崎に来た光晴とも再会する。しかしベッドで戯れる信介と秘書を見てしまった葉子は紳助と別居しトキの部屋に住む。やがて仕事につき一人暮らしを始める。

 

光晴は葉子を忘れようとカンボジアでのプロジェクトに参加を決意する。一方、葉子は信介との離婚調停を始めるが埒が開かず、裁判となる。しかし、信介と秘書との不倫を実証しようとしていた葉子側は、秘書の嘘の証言で敗訴が決まり、葉子はカンボジアにたつ前の光晴とおもいでの松本へいく。

 

そして、光晴がカンボジアに立つ日、裁判で敗訴が決まった葉子は二審への再審を決意し第二部は終わっていく。川又昴の松本での風景のシーンのカメラが実に美しいし、山田洋次の脚本の冴えもあり、なかなか面白くて退屈しない。

 

カンボジアへ行った光晴は、アンコールワットで英利奈という二世の女性と知り合う。英利奈は、光晴のことを好きになる。そんな頃、葉子が勤めている会社の社長牧村についてタイに行くことになる。牧村は現地の社長塩沢と商談をするがなんと塩沢社長の娘は英利奈だった。葉子は無理を言ってアンコールワットへ行くことにし英利奈に案内を頼む。そこで、光晴のことを知る。

 

光晴に一目会った葉子は日本へ帰るが、そこに一人のゴシップ記者角倉という男が現れる。健二郎が、信介の失脚を狙って近づいたのだが逆に利用され、信介も健二郎も左遷させられてしまう。さらに角倉は葉子に横恋慕を始める。そんな頃、光晴に盗作疑惑が持ち上がる。

 

この展開の中で、葉子と光晴はすれ違いを繰り返していき、正直、葉子のうじうじにうんざりしかけてくるのだが、横恋慕してきた角倉は、子供を放ったまま実家の能登へ行ってしまい、すれ違いの中で自暴自棄になった光晴は塩沢社長の援助でドイツの大学に行こうとする。しかも、葉子は、角倉の子供を能登まで連れていくことになる。なんと強引な展開。

 

英利奈もドイツへ留学の予定があり、光晴を行かせるのは父の親心だった。しかし、学生時代からの友人藤川に諭された光晴は、葉子を追って能登へ向かう。そんな頃、角倉は葉子に、光晴の盗作疑惑の犯人は自分だと白状して良い人になる。これもまたとってつけた展開。そして、やってきた光晴は曽々木海岸に行った葉子と再会し抱き合って第三部は終わる。なんとサスペンス劇場である。この辺りになると相当に無理がかかってくるものの、伏線をうまく使った展開がなかなか面白い。で、裁判はどうなったの?という感じでクライマックス完結編へ向かう。