くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ビクター/ビクトリア」「若草の頃」「アンチャーテッド」

「ビクター/ビクトリア」

なるほど名作ですね。登場人物の隅々まで行き渡った演出と、洒落たコミカルシーンを散りばめた展開、軽妙な話なのに、どこか奥の深いメッセージ、とっても楽しかった。監督はブレイク・エドワーズ

 

1934年パリ、ホモのトディのベッド、恋人の若い男リチャードがベッドを出ていく。彼はあるクラブの専属歌手である。そのカフェで一人の女性歌手ビクトリアがオーディションを受けている。高音を発するとグラスが割れるほどの音量だが、オーナーは彼女を認めない。一文なしの彼女はホテルに戻っても、フロントで家賃を催促される。クラブが開店するとトディが自慢の歌声を披露するが、ふとしたことで喧嘩になり大騒ぎになって店はしばらく営業停止に、トディもクビになる。

 

場面が変わるとレストラン、ビクトリアが好き放題に料理を注文している。たまたま通りかかって彼女を見かけたトディもそのレストランに入る。トディがビクトリアに近づくと、ビクトリアは、カバンにゴキブリを隠しているのでお金はいらないのだという。そして二人でしこたま食べて、最後のサラダでゴキブリが入っていたといちゃもんをつけるがレストランの支配人は、慣れた返答で彼らをとっちめようとする。しかし、ゴキブリが別の客の足元に行ってレストランは大騒ぎ、その隙にビクトリアたちは逃げ出す。

 

トディの家で一夜を明かした二人だが、ビクトリアの服が洗濯で縮んでしまう。仕方なくトディの恋人の服を着るが、なんとよく似合う。そこへやってきたリチャードをビクトリアが殴り倒してしまう。ビクトリアの男装姿を見たトディはこれはいけると興行師のカッセルのところへ連れていく。そして、カフェでおカマの男性としてデビューさせるが、いきなり大盛況、しかもクラブを経営する大物キングの目に留まる。キングが連れてきたいかにもマリリン・モンロー風のノーマという女が、ビクトリアに惹かれていくキングを横目で見る場面がなんともコミカル。しかも、女じゃないかと疑うキングに、ビクトリアは男よと断言するノーマの台詞もまた楽しい。

 

しかし、疑いが晴れないキングはビクトリアとトディが泊まる部屋に忍び込み、浴室に身を潜め、ビクトリアが風呂に入る現場を見てしまう。それでもすっかりビクトリアに惚れてしまうキング。一方、キングに追い出されたノーマはキングの相棒のサルの元で、ややいかがわしいながらもショーをして人気を博していく。

 

ビクトリアは、オカマとしてショーを演じながらもキングに惚れていく自分に悩んでいた。キングはビクトリアを自分のクラブに招く。そして、レストランのディナーに誘いますが、そこで司会者から望まれて歌うことになります。しかしそこで騒動が起こり、キングはビクトリアを助けて外に出ますが、そこで、男でも構わないとビクトリアにキスをします。そしてホテルに戻りベッドへ、そこへボディガードのスカッシュが飛び込んで、キングもゲイだったのかと勘違いして、自分も実はゲイだったと告白する。笑える展開が続きます。さらにスカッシュはトディとねんごろになったりする。

 

一方、ビクトリアは普通に恋人としてダンスに行きたいとキングに迫り、オカマたちのダンスホールへ行くがキングはいたたまれなくなり出てきてビクトリアだけを先に返してしまいます。キングがゲイだと広まり、マフィアのボスにゲオは認められないとノーマを連れてサルがやってくる。そして、ボスの座を降りるようにと契約書を出します。そこへ乗り込んできたビクトリアはノーマに、自分は実は女だと証拠を見せる。そして、次のステージを最後にビクトリアは女だということを白状すると言います。

 

やがてステージが幕を開けます。客席のキングの傍には女としてもビクトリアがいます。そしてステージの家のビクトリアはいつものスレンダーなオカマではなく、トディが扮したビクトリアがショーを繰り広げ、客席は爆笑の渦になります。こうして映画は終わっていきます。

 

散りばめられたコミカルなノリの数々、脇役に至るまで書き込まれたストーリーの緻密さ、そして何より、オカマのふりをすることとギャングのふりをすることは何も変わらないじゃないかなどという余計な偏見など吹っ飛ばしてしまうセリフの数々に、この作品の奥の深さを実感。ジュリー・アンドリュースの圧倒的な歌唱力の素晴らしさも相まって、本当に名作の貫禄十分な一本に仕上がっていました。いやあ楽しかった。

 

若草の頃

これこそ名作、どこかどうという蘊蓄など思い浮かばないほどに全体から伝わって来る不思議なほどの心地よさを肌で感じてしまう作品でした。こういう映画を本物の名作と呼びますね。たわいのない物語なのに、なぜかどんどん引き込まれて、どこか心に残るのです。「若草物語」で注目されるマーガレット・オブライエンの末娘の存在が際立ちます。監督はヴィンセント・ミネリ。彼の出世作になった映画で、この作品の縁でヴィンセント・ミネリジュディ・ガーランドと結婚します。

 

1903年セントルイスの街、半年後に万博が開かれるということで、街がどこか活気付いています。次女のエスターは長女のローズと隣に越してきた青年ジョンのことが気になっている。ローズはニューヨークに住むウォーレンからこの日プロポーズの電話が来ることになっていた。エスターには妹のアグネス、末娘のトーティ、兄のロン、両親と祖父と暮らしています。物語はこの家族の四季を通じての物語を淡々と描いていきますが、エスターら娘たちの嬉々とした毎日が実に瑞々しくて躍動感に溢れています。

 

エスターはなんとかジョンの気をひこうと、ホームパーティに呼んだ際、巧みに最後に二人にきりになり、心を通わせることに成功します。万博建設地を家族で見に行くことになり路面電車で向かったりします。

 

秋になり、トーティとアグネスがハロウィンに行き、いたずらで路面電車に人形を置いたことで、大騒ぎを起こし、その騒ぎの中、トーティたちを助けようとしたジョンに余計な疑いがかかり、エスターが切れてジョンを懲らしめたものの、トーティの悪戯がバレて、エスターはジョンに謝罪に行き、そこでとうとうキスをします。そんな頃、父に転勤が決まりクリスマスの後ニューヨークへ行くことになりますが、家族は気乗りしません。

 

やがて冬、クリスマスイブのパーティでエスターはジョンとダンスに行くのを楽しみにしていましたが、ジョンがタキシードを洋服店から出せなくなり、エスターは落胆、そんな彼女を祖父がエスコートすることでパーティへ行きます。しかも、そこで、ロンがダンスに誘い損ねていたルシルから、パートナーとして選ばれ、ルシルが一緒に来ていたウォーレンをローズにひき合わせて、何もかもうまくいきます。そしてエスターも祖父とダンスを始めますが、なんと途中からジョンがやって来てダンスをし、最後にプロポーズをします。しかし大学に通うジョンを思ってエスターは遠距離でしばらく付き合おうと言います。

 

エスターが帰ってくると、一人サンタクロースを待つトーティがいました。そしてトーティは、どうせ連れて行けないなら壊してしまうと庭に作った雪だるまを壊し始め、それを見ていた父は、ニューヨークに行くことをやめる決心をします。そして家族団欒のクリスマスを迎えます。春になり、家族は万博へ行きます。そして、初めて電気が会場に灯るのを見て、時の流れを実感して映画は終わっていきます。

 

なんのことはない話なのですが、そのたわいなさの中に、恋や仕事、家族などの温かさ、切なさ、などがスクリーンから溢れんばかりに伝わってくる感がとっても素敵です。これが本物の名作ですね。本当に見て良かった。

 

アンチャーテッド

ゲームの実写版なので期待してなかったのですが意外に面白かった。監督はルーベン・フライシャー

 

主人公が目を覚ますと、飛行機の荷物から落ちていく自分に気がつく。必死で飛行機へ戻ろうとするが最後の最後で車が落ちて来て何かに手を掴まれて時は15年前に戻る。養護施設で暮らすネイトはこの日、兄のサムと博物館に忍び込んでいた。目的はマゼランが残した宝のありかを描いた地図。しかし、すんでのところで捕まり、サムは逮捕されることになるが、窓から脱出してネイトの前から姿を消す。そして現代、ニューヨークでバーテンダーとして働くネイトは姑息なスリをしながら毎日を送っていたが、サリバンという男が近づいてくる。サリバンはかつてサムとトレジャーハンティングしていたがその時にネイトのことを聞いたのだという。そして一緒にマゼランの黄金を探そうと持ちかける。

 

サリバンがサムのことを知る事もあり、ネイトはサリバンと行動を共にし始めるが、同じくマゼランの黄金を探しているモンカーダ財団のサンティアゴらと競合するようになる。サリバンはクロエを仲間に入れるが、一方サンティアゴはブラドッグら殺し屋を雇いサリバンらを狙ってくる。物語はサリバンらとサンティアゴ達との抜きつ抜かれつの黄金のありかをめぐる攻防戦を描いていきますが、なかなか面白い展開が続くので飽きて来ません。

 

そしてとうとうネイトは黄金のありかの謎を解き単身向かうとそこには行方不明になったマゼランの船と黄金があった。そこへサリバンもネイトのGPSを追ってやってくるが、サンティアゴを殺したブラドッグらも迫ってくる。そして、クライマックスはブラドッグらが二艘の船をヘリコプターで吊り上げ、サリバンらとの追跡戦となる。この場面がなかなか大胆で迫力があって面白い。

 

そして、ネイトが船の大砲でブラドッグらの船を撃ち落とし大団円、ネイトとサリバンはお宝こそ取り損ねたものの無事脱出、ネイトがポケットに持っていた金塊だけ手に入れ新たな冒険へと進む。エピローグとして、死んだとされているサムの姿があったり、新たなトレジャーハンティングをしているネイトとサリバンの場面でエンディング。

 

期待していなかったというのもありますが、なかなか迫力のあるシーンの連続で楽しめました。