くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ソニック・ザ・ムービー ソニックvsナックルズ」「サバカン」

ソニック・ザ・ムービー ソニックvsナックルズ」

前作の方がスピーディで面白かった気がしますが、今回は登場人物が増えたこともあって少し間伸びした感じがします。不必要なシーンがちょっと失敗でしょうか。でも面白かった。監督はジェフ・ファウラー。

 

前作でキノコの惑星に追放されたロボトニック博士は、脱出の機会を窺っていた。そして全宇宙に助けを求め、やってきたのがソニックのライバルでもあるナックルズだった。そんな頃、ソニックはひたすらヒーローになるべく事件を解決していたが、その手段で町中が惨事になり、FBIから目をつけられる存在になっていた。

 

キノコの星を脱出したロボトニック博士らはソニックを倒すべく地球に戻ってくるが、ソニックの危険を察知して、テイルズも地球にやってくる。そして、テイルズはナックルズの不意の攻撃からソニックを助け出す。ナックルズ達が強大な力を手にできるマスターエメラルドを探していることを知り、ロボトニック博士達より前にマスターエメラルドを手に入れるべくソニックが持っていた地図から出てきたコンパスを頼りにテイルズと共にシベリアへ向かう。しかし、ソニックの動きを追っていたロボトニック博士とナックルズが駆けつけ、ナックルズの圧倒的な戦闘力にソニック達は苦戦となりコンパスを奪われてしまう。

 

傷ついたテイルズを救って逃げるソニックはトムに助けられる。そんな頃、ロボトニック博士らはマスターエメラルドにたどり着く。苦手な海を飛び越えたソニックは、マスターエメラルドのところへ駆けつけるが時すでに遅かった。ロボトニック博士はナックルズを出し抜いてマスターエメラルドを手に入れてしまう。ロボトニック博士に愛想をつかせたナックルズはソニックと力を合わせてロボトニック博士に臨むことになるが、強大な力を手に入れたロボトニック博士は巨大ロボットになって襲いかかってくる。

 

遅れて駆けつけたテイルズらと共に力を合わせてロボトニック博士に戦いを挑むソニック達は、マスターエメラルドを取り返し、ロボトニック博士を倒す。そしてソニック、ナックルズ、テイルズはトムらと楽しく過ごすことになって映画は終わる。

 

今回、ナックルズらの登場でお話が膨らんだ事、ロボトニック博士の扱いがちょっと甘くなったこともありストーリーが少し間伸びしてしまいました。ソニックのスピード感がこの映画の面白さなのですが、そこが抑えられてしまったのはちょっと残念。続編に期待です。

 

サバカン

よくある話といえばそれまでですが、脚本が実に細かく練られて抜群にいいので、わかっていながらストーリーに引き込まれます。それに、役者それぞれのセリフの掛け合いのテンポが実にうまく、尾野真知子と竹原ピストルの素朴な夫婦の掛け合いが最高で、脇役に入る岩松了もその存在感が光ります。それがスパイスになって主人公二人の少年の話が上手く浮かび上がりました。大傑作とは言わないまでもなかなかの佳作でした。監督は金沢知樹

 

作家だが今ひとつ目が出ないままゴーストライターのようなことをしている久田、この日も編集者に次のゴーストライターの仕事を依頼されやや落ち込んでいた。新作を書こうとするが出だしが決まらず、そんな時タンスの上のサバ缶に目がいく。そして物語は1986年、久田が故郷の長崎で過ごした夏休みのひとときに戻る。

 

久田のクラスにはいつも机に魚の絵を書いている、決して裕福といえないらしい竹本という少年がいた。クラスメートがからかって竹本の家を見にいくことになり久田も一緒に行く。そこはいかにも荒屋という家で、クラスメートたちは笑うが、久田だけは笑うことをしなかった。夏休みになり、突然、竹本が久田の家に遊びにくる。ブーメラン島というところにイルカが来ているらしいから見にいこうという。しかし、夕方までに帰らないといけない久田は躊躇するが、竹本は、久田の自転車で二人乗りで行こうという。

 

翌日、早朝に家を出ようとした久田の前に父親が声をかける。そして荷台に座布団jを敷いてくれて、小遣い渡し見送ってくれた。本当にほのぼのである。峠は超えたものの下り坂で自転車が壊れ、とりあえず歩いて麓の駄菓子屋まで辿り着くが、そこのバス停で一人の女子高生と久田は目があい、惹かれてしまう。そこへ地元の不良達が現れからかわれ、竹本が必死で向かっていく。そこへ、軽トラに乗った青年が現れ不良達をビンタして久田らを助ける。

 

気がつくとブーメラン島は目の前だった。久田と竹本は泳いで向かうが、着く寸前久田の足が攣って溺れかける。彼を助けたのはバス停にいた少女だった。結局島にイルカはいなくて元の岸へ戻ってくるがそこでさっきの少女と再会、名前は由香だという。由香が、軽トラの青年を連れてきて久田達は自転車を乗せてもらい帰ってきた。久田は密かに由香に恋心を覚えていて、部屋に貼ったファンだった斉藤由貴のポスターをそっと剥がす。このシーンも良い。

 

夏休み中、久田と竹本は遊びまくり、竹本は久田をミカン山に連れて行ってみかんを取ったりし、その山のおやじ内田のじじいに追いかけられたりする。久田が寿司を食べたいと言うので竹本は自宅に呼び、サバ缶で握り寿司を作ってやる。竹本の父親が生前作ってくれたのだと言う。そこへ母の雅代が帰ってきて、久田のことを竹本の友達として話す。

 

夏休みの最後の日、久田がお使いでスーパーに行くとそこに雅代がいた。そして、竹本が、久田が自分のことを友達と思っているかわからないから友達だと話すなと言われたことを言われる。二学期が始まるが、久田はそれから竹本と話さなくなった。そんな頃、雅代の子供の一人がカップケーキが食べたいと言い、雅代は仕事帰りにカップケーキを買って戻る途中交通事故にあって亡くなる。葬式に出向いた久田だが竹本に声をかけられなかった。

 

まもなくして、竹本らが引っ越すことが決まる。兄妹バラバラに貰われていくのだと言う。久田はかねてから天体望遠鏡を買うために貯めていた貯金箱のお金でサバ缶を買い、駅へ走る。そして竹本に「友達だから」と言ってサバ缶を渡す。そこへ、内田のじじいも現れみかんの袋を手渡す。このシーンが抜群にいい。

 

時が経ち、竹本は念願の寿司屋になった。久田は竹本に数十年ぶりに会いに行く。こうして物語は終わっていきます。エピローグで、由香が浜から上がる時、かつて竹本が堤防に落書きした絵を見つける。イルカに乗った少年二人の絵だった。エンドクレジットの後、子供時代の久田と竹本が港で釣りをしている。サバを釣るのだと言う。こうして映画は終わります。

 

小さなセリフの掛け合い、繰り返し、さりげないシーンがとってもノスタルジックで素敵な上に、内田のじじいや由香、不良達、久田や竹本の両親の描写が抜群に上手い。大拍手するほど仰々しい映画ではないのですが、胸にしんみりと染み渡っていきます。とってもいい映画でした。