「M3GAN ミーガン」
期待しすぎたというのもあるけれど、もう少し演出にキレが欲しかったのと、じわじわ迫って来る前半の伏線が実に弱い。ただ、クライマックスでテンポよくスタートする音楽効果は評価できるし、ワクワクさせてくれた。大体のラストの展開は前半で予想がついたけれど、結局、この手の映画にありがちなオチもあっさり、全体にマイルドなモダンホラーという感じでした。ミーガンの造形は明らかに今どきアニメ顔なので可愛い。監督はジェラルド・ジョンストン。
子供のおもちゃも進化し、子供と一緒に遊んでくれるファッキン社が開発したペッツが大人気だった。9歳のケイディはこの日、両親とスキー場に向かっていた。ペッツに夢中のケイディは母親と言い争いをするが、雪が深い路面に車は立ち往生する。そこへ雪上車が突っ込んで、ケイディの両親は即死してしまう。
ペッツには類似品も現れ、次の開発に社長のデヴィッドも躍起になっていた。一方、ファッキン社に勤めるジェマは同僚二人と新しいおもちゃの開発のため10万ドルの経費を使い完成が近づいていた。それは第三型人体アンドロイド=M3GANで、人間そっくりの姿で、周りの環境から学習して自律的に動作するものだった。姪のケイディがひとりぼっちになり、叔母のジェマが一時的に引き取ることになるが、セラピストのリディアは、仕事が忙しく構おうとしないジェマに苦言を呈する。しかしジェマは、開発中のM3GANの完成に必死だった。
ジェマは学生時代、人と連動して動くロボットブルースを開発していたが、ケイディがそのロボットに興味を持ったことから、二人は心が通じ合い始める。それをヒントにしたジェマは、M3GANを少女の姿にし、未完成ながらもケイディの相手ができるレベルまで完成させる。名前をミーガンと名付けられたアンドロイドは周囲の環境を学習してみるみるケイディと仲良くなる。しかし、ミーガンはケイディのためならどんなことも厭わないという危険を内包していた。
ミーガンをデヴィッドに認めさせるべく、会長を交えて、ケイディとミーガンの遊ぶ姿を見せるが、ケイディが両親の死に涙を流す様子を見たミーガンがケイディを巧みに慰める。その様子に感動したデヴィッドや会長は、大々的な開発にGOを出し、他社に盗まれないように厳重に管理しながらネット上を含めての公開披露イベントを計画し始める。
その頃、ジェマの隣の老婦人が飼っている犬がケイディに怪我を負わせたので、深夜ミーガンはその犬を殺してしまう。さらに、ミーガンは老婦人も納屋に呼び出して拷問して殺してしまう。ジェマはケイディを野外学習を中心にしている学校の体験会へ参加させるが、ケイディがミーガンも一緒にと強引に訴え、ジェマは仕方なくおもちゃ置き場に置いておくことで了解する。しかし、ブランドンという少年とペアで遊ぶことになったケイディは、ブランドンにいじめられる。それを見ていたミーガンはブランドンを捕まえ、耳を引きちぎり、車道へ追い込んで車に轢かれるようにして殺してしまう。
次第にミーガンが疑われ始め、ジェマもミーガンを修正するべくプログラムしようとするもミーガンに拒否され始める。ジェマはペンを使っての緊急停止でミーガンを拘束し、会社のラボへ運ぶ。狂ったように叫ぶケイディだったが、ついジェマを殴ってしまったことから、ジェマとの心の絆を思い出す。
ネットでの公開披露イベントが迫るなか、ミーガンの動作を完全に閉じる計画を進めるジェマ達チームの声を聞き取ったミーガンは、拘束を自ら引きちぎり、ジェマの同僚を排除、デヴィッドを殺した上、彼の片腕だがデヴィッドに反感を持つ助手カートも殺し、会社のラボを脱出してジェマの家に向かう。
ジェマの家で、ケイディを寝かしつけたジェマだが、いつものAI機器のエルシーが反応しないことに不信を持った瞬間目の前にミーガンを認める。チタン合金のミーガンはジェマに攻撃され表面は無惨な姿に変わっていくが、全く歯が立たない。そしてあわや殺されると思われた時、ケイディがブルースを動かし、ミーガンと対決させる。そしてミーガンをバラバラにする。警察が駆けつけ、ジェマ達は保護されるが、ミーガンには緊急避難装置がついていた。今まで動かなかったエルシーの電源が入り映画は終わる。
いわゆる「2001年宇宙に旅」のHALのホラー映画版という感じで、ファッキン社で狂気に目覚めたミーガンがスーパーカーに乗ってジェマの所に向かう時のテンポのいい曲の挿入は上手いのに、そのあと失速してしまうのは勿体無い。ブルースの登場は最初から予想もつくし、カートがハッキングするシーンが全く生かされていないのは、どういうことなのかと思ってしまう。もう一工夫欲しい映画だった。
「リトル・マーメイド」(実写版)
アニメ版の大ファンな上に、今回はアリエル役が黒人ということでかなり引いたのですが、やはり名曲が流れてきたらどんどん引き込まれてしまいました。基本的な台詞回しやカメラワークがアニメ版に近いこともあり、アニメより実写の親近感も相まって、ラストは素直に涙ぐんでしまった。難をいうと、脇役がもう少し引き立っていたら、本編がもっと盛り上がっていた気もします。でも、黒人だからという偏見はいつの間にか薄れてしまう仕上がりでよかった。監督はロブ・マーシャル。
荒れた海を真上から捉え、エリック王子が乗る船の場面からシーンは海の底、コーラルムーンで王の誕生日の日に七つの海の娘の人魚達が集まっている場面へ変わって映画は幕を開ける。ところがアリエルの姿がない。アリエルにいつものようにカニのセバスチャン、熱帯魚のフランダーと難破船が沈む外海で人間の色々な物を拾い集めたり、憧れの人間の世界を夢見たりしていた。時間に遅れ慌てて戻ったアリエルを父のトリトン王が叱る。しかし、何かにつけて縛り付ける父にアリエルは反感を持っていた。
ある夜、いつものように自分の宝物で遊んでいたアリエルは、大きな音と光に気がついて海上へ出ていく。そこで、花火を上げるエリック王子の船に出会い、エリック王子に一目惚れしてしまう。そこへ嵐が襲い、船は難破、アリエルはエリック王子を助けて海岸に運び、得意の歌声を聴かせ息を吹き返す。エリック王子は自分を助けた娘を探し始める。
そんな様子を、密かにトリトン王を憎む叔母のアースラが狙っていた。そして、アリエルに巧みに近づき、人間になるための方法を教える。それはアリエルの声と引き換えに三日間だけ人間の足を与える薬と、その三日間の間にエリック王子に愛のキスをしてもらえなかったら、消えてしまうというものだった。ためらったアリエルだがアースラの提案に乗る。
足を手に入れたアリエルは漁師の網にかかりそのまま城に運ばれる。声の出ないアリエルはエリック王子に声をかけられない上に、アースラの呪いでキスの約束さえ忘れていた。セバスチャンやアホウドリのスカットルらがアリエルを救うべく奔走する。たまたま、エリック王子のコレクションルームに入ったアリエルはエリック王子と遭遇、そこで自分のことを真摯に聞いてくれるアリエルにエリック王子は惹かれ始める。翌日、二人で馬車で街に行き、帰りに小舟で夜空を見上げる。あわやキスというところでアースラの子供達が邪魔をする。
危機を感じたアースラはエリック王子に魔法をかけ、助けた娘に変装して、エリック王子と婚約するように仕掛けていく。それに気がついたアリエル、セバスチャンらは婚約発表の会場へ乗り込みアースラの悪巧みを暴き、声を取り戻したアリエルはエリック王子と結ばれるかとなったが、すでに最後の日没が迫り、アリエルの足は人魚の姿に変わり、海に落ちていく。アースラはアリエルを捉えるが、そこへトリトン王が立ちはだかる。しかしアリエルの命と引き換えにトリトン王の杖を手にしたアースラはトリトン王を海の底へ沈める。そこへエリック王子が駆けつけ、アリエルと共に、アースラを倒す。トリトン王も復活する。
人魚に戻ったアリエルはエリック王子のことを思い、そんな娘を見たトリトン王はアリエルに魔法をかけて、人間にしてやる。一方、エリック王子もアリエルのことが忘れられなかった。ぼんやりしているエリック王子の前に人間になったアリエルが現れ、二人は結婚、新婚旅行へ向かう。見送るのは城の人々だけでなくトリトン王ら人魚達も見送っていた。こうして映画は終わる。
一級品に仕上がることはなかったけれど、実写版になった分の親近感が若干プラスに働いた感じで、名曲の数々に彩られて、いい感じに涙ぐんでしまいました。アニメ版をもう一度大スクリーンで見たいです。
「劇場版 美少女戦士セーラームーンCosmos前編」
次々出てくる新しい登場人物と展開に必死でついていく感じですが、後編に続く準備編なので、見えるままに物語を追っていく状態でした。アニメのクオリティは一昔前のままですが、懐かしいテーマが流れ、次々と変身シーンが繰り返されると照れくさい中、ノスタルジーに浸ることができました。後編が楽しみです。監督は高橋和也
平凡な高校生活に戻った月野うさぎ達。恋人の地場衛が一年のアメリカ留学が決まり、うさぎは空港へ見送りに行く。そこで衛から婚約指輪を渡され、舞い上がっているのも束の間、突然現れた謎の光で衛はその場で消えてしまう。気を失ったうさぎを支えたのは三人のイケメン男性、スターライツだった。スターライツというのは今売り出しの人気アイドルなのだ。
うさぎ達はスターライツのコンサートに行くが、そこでセーラーアイアンマウスと名乗る戦士に襲われる。なんとか撃退したうさぎ達だが、スターライツ達もセーラー戦士に変身する姿を見る。まもなくしてスターライツの三人はうさぎの高校に転校して来る。程なくちびうさの妹だというちびちびまで登場する。実は破壊の戦士セーラーギャラクシア率いるシャドウ・ギャラクティカがシルバークリスタルを手に入れ宇宙のセーラー戦士達の頂点に立つべく野望を持ってうさぎ達に迫ってきていた。
次々とセーラー戦士が消されていく中、うさぎはスターライツの三人、さらに彼ら?彼女らが仕えるクイーンと共に、セーラーギャラクシアに戦いを挑むべく立ち上がる。果たして、消えたセーラー戦士達は肉体を無くして死んでしまったのか、ちびちびとは何者なのか、セーラームーンが望んだ未来は守られるのか?全ての謎を後編に持ち込んで映画は終わる。
とにかく、あれよあれよと次々と襲って来る敵を倒しながら、ルナとアルテミスの真実まで明かされ、人物関係と展開に翻弄される流れの一本で、後半で整理がつくのだろうが、大変な映画だった。でも、楽しめるから良い。