くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ペルリンプスと秘密の森」「悪の報酬」「エクソシスト 信じる者」

「ペルリンプスと秘密の森」

アニメ自体は素朴な作りですが、オリジナリティのある色彩と構図がシンプルなお話に彩りを作り出している感じの面白いアニメ作品でした。監督はアレ・アブレウ。

 

かつて、森にはペルリンプスというのがいたが、巨人がやってきてどこかへ行ったらしいというオープニングからタイトル、太陽の王国の秘密エージェントクラエは森の中で月の王国の秘密エージェントブルーオと出会う。森が巨人に征服され、間も無く大波が来るという情報を受信機で聞いたクラエはブルーオといがみ合いながらも協力して、森を守るペルリンプスを探しに出かける。

 

クラエは何やら受信機と発信機を持っていたが途中で無くしてしまう。ペルリンプスの音色に誘われて雲の上にたどり着いた二人はそこでジョアンという年老いた鳥に出会う。彼もまたペルリンプスで、巨人の国に潜入していたという。クラエらはそこから夢の船に乗ってペルリンプスの元へ向かうが、着いたのは二人が出会った場所だった。二人は巨人の工場へ向かい、柵から中に入るが、クラエは捕まってしまう。

 

クラエが目を覚ますと巨人の国で、ドーリエ大尉が出迎える。クラエは実はドーリエ大尉の子供でクラオと言った。やがて大尉の命令で水が放出され森はダムの底に沈んでしまう。ダムを見ながらクラエはブルーオを呼ぶが返事はない。ダムの中央の島にジョアンの姿を認めながらクラエは車に乗って去って映画は終わる。

 

文明が押し寄せてきて自然が淘汰される様を描いたファンタジーですが、独特の絵作りはこれもまたブラジルのアニメの個性でしょう。映画の出来栄えは普通でしたが、作品としては面白かったです。

 

「悪の報酬」

ラストの処理をキレ良くあっさり仕上げたら、ちょっとした秀作になったろうに、ほんのわずかエピローグにこだわったためにだらけてしまったのがとっても残念。でも、この時代の世相をさりげなく反映させたフィルムノワール的な空気感は面白かった。監督は野口博志

 

刑務所の門の格子を捉えるカットから、一人の男萩原が出所して来る場面になって映画は始まる。妻が出迎えているがまもなくして警視庁の剣持の代理という刑事が来て萩原らを出迎えて車で去る。ところが直後、本物の剣持刑事がやって来る。まもなくして萩原の妻が遺体で発見される。

 

一人の男が障子の影で大物らしい男南郷と話している。障子の影の男は太田と言うらしい。警視庁では偽札の取引とそれに絡んだ麻薬の取引の捜査が進んでいたが影に太田と言う男がいるらしいがその正体を掴めずにいた。ここに、地道な商売で財産を築いた栗橋という男がいた。彼の妻の弟勇一は何かにつけて反抗的で、この日も追われているからと栗橋のところに逃げてきて、栗橋は追ってきたチンピラに金を渡して後始末をしてやる。

 

剣持は夜の街に行き情報を集めていた。一方、行方不明になっていた萩原という男は偽札印刷の技術を請われて太田の部下に地下室で仕事をさせられていた。妻に会わせて欲しいというのを適当に誤魔化されながら仕事を進め、一段落した後、結局殺されてしまう。栗橋と剣持は時々一緒に碁を打つほどの友人だった。栗橋は孤児の施設に多額の寄付を続けていた。剣持は太田と言う人物を捜査するためキャバレー黄金馬車に忍び込むが証拠は掴めなかった。

 

太田は南郷の片腕で偽ドルと麻薬の取引をし、麻薬を闇のボス南郷に渡していた。剣持は偽ドルを持ち出す情報を掴みトラックをマークしようとするが、太田の指示で輸送方法を変更、トラックは囮になる。直前でおかしいと気づいた剣持は一人で一台の乗用車を追うが、途中で事故に遭ってしまう。これも太田の指示だった。重傷を負った剣持を栗橋が見舞いに来る。そこに来ていた署長から、太田の指紋らしいものの写真を見せられ、栗橋はついそれを素手で掴んでしまう。

 

太田が海軍の元通信士だという情報を得て、さらに先日の指紋の写真のついた栗橋の指紋が太田と一致したことで、栗橋=太田と判明し、剣持が追い詰めていく。栗橋は、南郷によって手を汚されていくことに苦悩し始めていて、家族を青森に送り出し、店を売って後から行くと約束をして南郷の元へ行き彼を殺す。そして覚悟を決めて家族を駅で見送り、自宅の店の地下へ向かう。一緒に太田としての愛人典子もいた。そこへ剣持らが乗り込んでくる。剣持は栗橋に出頭するよう説得するが栗橋は剣持を外に出し、火をつけて爆発して果ててしまう。結局、剣持は太田のバックは突き止められなかった。港では取引を抑えられた太田の部下や取引の相手が逮捕される。こうして映画は終わる。

 

非常に丁寧に書き込まれて、面白いサスペンスなのですが、ラスト、栗橋が家族と別れてからがちょっとくどくどしていて勿体無い。ここをもう少し切れ良くまとめれば傑作だったと思います。でもいい映画でした。

 

エクソシスト 信じる者」

あの名作の続編に果敢に臨んだのはいいが、力が入りすぎて何がなんだかわからない映画に仕上がっていました。細かいカットで切り返していく前半から、圧巻の悪魔祓いシーンまで、全編肩が凝りっぱなしの映画だった。しかも、なんで悪魔に取り憑かれるのが二人でしかも黒人と白人、そしてあのラスト、クリスの登場の意味は?何もかもがうやむやにこじつけなのがどうにもこうにも感想をかけない映画だった。監督はデビッド・ゴードン・グリーン。

 

ハイチ、カメラ好きのビクターは妊娠している妻とこの地に来ている。妻は地元の祈祷師に祈祷してもらう。疲れたので妻は先にホテルに帰り、ビクターは一人写真を撮っていたが突然大地震が襲い、妻は瓦礫の中重傷になる。医師は母か子供かを選ばないといけないといい、ビクターが悩んで、時は13年後に移る。ビクターと娘のアンジェラは仲のいい親子で、この日もビクターはアンジェラを学校に送る。学校でアンジェラは友達のキャサリンと降霊会をする約束をしていた。

 

アンジェラは、母に会いたくて、その方面に詳しいキャサリンに頼んだのだ。二人は親に嘘をついて森の中に入るが、それから行方不明になる。ビクターはキャサリンの両親と捜索するが見つからない。ところが三日後、突然ある農家の納屋で二人は見つかる。しかし、アンジェラもキャサリンも次第に異常な行動をとるようになる。たまたま看護師で二人の様子を見ていたアンは、アンジェラが自分のかつて修道女になろうとしていた時の名前を言われたことから不穏なものを感じ、娘が悪魔祓いをしてもらった体験談を本にしていたクリスを紹介する。

 

クリスの娘リーガンは、本を出したことから確執が生まれ行方がわからないままだった。アンに言われてアンジェラの病院に行ったクリスは悪魔祓いの必要を訴える。一方自宅で療養していたキャサリンも訪れるがその寝室でクリスはキャサリンに両目を潰されてしまう。クリスは入院するが、アンらは地元神父に助けを求め悪魔祓いの儀式を要請する。

 

キャサリンとアンジェラを椅子に固定し、近所や教会の関係者らで悪魔祓いの準備をするが教会は儀式を認めず、神父は参加できなくなる。そこでアンを中心に悪魔祓いの儀式が始まる。最後の最後神父が駆けつけるが、首を捻り切られて死んでしまう。悪魔は、キャサリンかアンジェラかいずれかを選べと叫んでくるがビクターもキャサリンの母ミランダも選べないと叫ぶ。ところが、神父が殺され、極まったキャサリンの父親はキャサリンを選ぶと叫んでしまう。瞬間、悪魔は離れ、その代わりアンジェラは一旦心肺停止するも息を吹き返すがキャサリンは死んでしまう。後日、普通に戻ったアンジェラとビクターの姿があり、クリスの病室に行方不明だったリーガンが来て映画は終わる。

 

え?なんだったの?というエンディングと展開になんとも言えない余韻が残った。白人は死んで黒人が生き残る?悪魔はどうなった?そもそも悪魔祓いの場面の必要は?あの神父はなんのため出てきた?狐に摘まれっぱなしの映画だった。