くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「さよなら、僕のマンハッタン」

kurawan2018-04-15

さよなら、僕のマンハッタン
これは良かった。音楽のセンスといい、映像のリズムといい、カメラワークといい、どこをとっても感性の素晴らしさに息を飲んでしまいました。監督はマーク・ウェブ。

主人公トーマスは作家を目指しているがまだパッとしたものはない。恋人のミミは間も無くクロアチアに行く予定があるという。トーマスの父イーサンは出版会社を経営し、安定した生活をしている。平凡で淡々とした毎日のトーマスがある日、帰ると、二階に越してきたというジェラルドという初老の男が声をかけてきた。こうして物語は始まる。

一つのシーンの切り返しにインサートカットと軽やかなリズムの音楽を入れて空気を変えて次のシーンに移る。美しく切り取ったニューヨークの都会や部屋のアングルが洗練されていて美しい。

トーマスは、何気なくジェラルドと会話をするようになり、日頃の悩みなどもはなす。トーマスの父イーサンはトーマスが作家になるのを拒んでいるかの風で、どうも合わない。ある日、ミミとデートしていたトーマスはイーサンが美しい女性ときているのを目撃、明らかに愛人という彼女に釘付けになる。

その女性はジョアンナといい、トーマスは彼女をつけるようになるが、程なく彼女に気づかれ、接しているうちに、トーマスはいつの間にかジョアンナに恋してしまう。いや、父と別れるように近づいているうちに、とうとうベッドをともにする。

そんなトーマスの毎日を真摯に聞くジェラルド。ある日、トーマスはジェラルドが、12冊も本を出した有名な作家であることを知り、また「ニューヨークの少年」という題名で自分のことを本にしていることを知る。

そして、あるパーティで、ジョアンナはトーマスに、イーサンにプロポーズされ了承したことを告げる。逆上したトーマスはイーサンの部屋に飛び込み、自分がジョアンナと寝たことを告白。ジョアンナは、イーサンを愛していること、そして一枚の新聞記事を挟んだフォトフレームをトーマスに見せる。そこにはトーマスが学生時代テニスの試合に出ていたときの写真があったが、なんと彼の背後で彼を見つめるジェラルドの姿を見つける。

慌ててトーマスはジェラルドの部屋に行ったが、すでにいなくて、残された粗品の灰皿から彼が向かったカフェに行く。そしてそこで、ジェラルドがトーマスの実の父であることを知る。

若き日、イーサンはトーマスの母ジュディスと恋に落ち結婚を決意するが、イーサンは不妊症だった。しかし子供を望むイーサンは、親友で作家の才能があるジェラルドに、代理父を頼む。引き受けたものの、ジェラルドはジュディスを愛していることに気がつく。

そして時が流れ、トーマスが生まれる。ジュディスは愛するジェラルドの本を25年間公園で読んでいた。全てを知ったことを母に告げたトーマスにジュディスは静かに微笑む。

そして一年が経つ。書店を営むトーマスのところにイーサンが訪ねてくる。出版された「ニューヨークの少年」を買うためだという。そのあと二人は公園を歩く。トーマスは相変わらず小説を出版社に送るも採用されていない。イーサンはジョアンナとの交流は続いているという。カットが変わると、ジェラルドの「ニューヨークの少年」出版記念講演でジェラルドを見るジュディスがいた。エンディング。

クライマックス、階段を駆け上るトーマスのカットをはじめ、画面がとにかく美しい
音楽センスも抜群で、映画が軽やかに弾んで行く。素敵な映画そんな形容がぴったりの作品でした。