「くるみ割り人形と秘密の王国」
豪華絢爛たるCG映像の中で展開するクラシックの名曲が生み出すファンタジー。夢見るような画面の数々は素敵なのですが、もうちょっとストーリーを見せると言うことも考えて欲しいです。物語の展開は実に陳腐なのが残念。監督はラッセ・ハルストレムとジョー・ジョンストン。
母を亡くしたクララ、父も含め失意の中にいる家族だが、クリスマスイブの日、亡き母から卵型のプレゼントをクララはもらうが、鍵がなくて開かない。
気持ちを切り替える意味もあり、クリスマスイブの叔父ドロッセルマイヤーのパーティに出かけることになる。クララがドロッセルマイヤーに会い、そこから不思議な世界へ足を踏み入れることになる。
あとは、ファンタジーとして、卵型の置物の鍵を持ったネズミを追いかけ迷い込んだ不思議な世界で、クララは、かつて母マリーが女王であったことから、プリンセスとして王国を復興させるために立ち上がる。
一見、敵と思われたマザー・ジンジャーが、実は味方で、味方と思われたシュガー・プラムが王国を乗っ取ろうとする悪者だったと言う展開はわかるが、実に雑な描き方なのので、物語に引き込まれていかない。
不思議の国の入り口にいたくるみ割り人形の大尉の力を借りて、クララは無事危機を脱出、王国を復興させ、現実世界に帰って来る。
帰って来れば、家族も明日に向けて歩み始める。
とにかく映像が美しいのですが、CG画面でこの程度は今時というものでもあるし、ストーリーの面白さももう少し満喫したかったです。
「へレディタリー 継承」
久しぶりに素直に怖がらせてくれるホラー映画でした。最近、よくわからない内容のホラーが多かったので、その意味でも楽しめました。監督はアリ・アスター。
グラハム家で祖母エレンが亡くなったところから映画が始まる。葬儀は一通り終わったものの、母アニーに執拗に憎しみを向けて来るチャーリーらに、グラハム家は崩壊していく。しかし、エレンの遺品の中に、私を許してと言うメモを見つけたアニーは、その意味を探り始める。さらに、娘のチャーリーが事故で、首が切断され死んでしまう。
気持ちを受け入れるために遺族の会に参加するが、そこで一人の女性ジョアンナと知り合う。彼女は息子を亡くし、降霊術で呼び出したのだと言う。
早速、アニーも同じように降霊をしようとするがその過程で何かを呼び覚ましてしまう。そして、エレンとジョアンナは知り合いで、なにやら黒ミサのような事をしていたことを知る。
悪の化身ペイモンがこの世に憑依するため男性の体が必要で、ピーターを狙っていた。最初に憑依したエレンは女だったのだ。なにもかも知ったアニーは夫に訴えるが、夫は、アニーを全く信用できなくなっていたが、アニーがチャーリーのノートを暖炉に投げ込むと炎とともに燃え上がってしまう。
ピーターはただならぬ様子に、居間に行くがそこでアニーに襲いかかられる。必死で逃げ、庭にある別棟の建物に行くと、ペイモンを崇拝する信者がひざまづき、ピーターは新たな継承者として受け入れられる。こうして映画が終わる。
悪魔崇拝ものという作品で、ハイスピードにクライマックスで畳み掛ける作劇が面白い。アニーがミニチュア制作をしている設定も不気味さを生み出している。今時古臭いネタではあるが、ホラーとして楽しめるに十分な出来栄えだったと思います。