くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「テーラー 人生の仕立て屋」「スペース・プレイヤーズ」「モンタナの目撃者」

テーラー 人生の仕立て屋」

ちょっと変わったストーリーと、リズミカルな演出を徹底したテクニカルな映画作りは面白い作品でした。もっと盛り上がる映画かと思ったけれど意外にあっさりと流れるのは個性的な感じでした。監督はソニア・リザ・ケンターマン。

 

ミシンを踏む足のアップ、リズミカルな音が背後に被ってきて映画は始まる。テンポに乗って主人公ニコスがピシッとスーツを着て店に立つ。しかし客は来ない。父と営む老舗の仕立て屋だが、かつての盛況は過去のもので、今や高価な仕立てスーツを頼みに来ることもない。父が保管している型紙の客は次々と亡くなっていた。銀行からは店の差し押さえの通知をもらう。そんな折、父は病に倒れてしまう。ニコスの部屋の隣にヴィクトリアという少女がいてニコスと手紙のやりとりなどしていた。実はニコスはヴィクトリアの母オルガが好きだった。

 

ある時、屋台を引いて露店で本を売る若者を見つけたニコスは、ガラクタで屋台を作り、露店でスーツを売ろうとする。しかし、高価な上に男性の客は全く寄りつかなかった。ところが、ある家のベランダから一人の女性がウェディングドレスを作れないかと声をかける。作ったことはなかったが仕事を受け、隣のオルガに手伝ってもらってドレス制作にかかる。オルガもウェディングドレスの制作にのめり込みはじめどんどんニコスを手伝い始める。さらに娘のヴィクトリアも参加して、ウェディングドレスのみでなく女性服も作りはじめていく。そんなニコスを快く思わない父だったが、一生懸命の息子の姿に頼もしさを感じ始める。

 

オルガと親しくなっていくニコスは、とうとう体を合わせるが、そんな母やニコスからヴィクトリアの心は離れていく。そしてタクシーを運転して夜勤ばかりの父に昼もいてほしいと懇願する。オルガの家に招かれたニコスにはヴィクトリアの父に言う言葉はなかった。帰ってみると店の中は荒らされ、屋台も壊されていた。ニコスは店を出る決心をし片付ける。そして父を招く。父は生地に自分の型紙で最後の仕立てをし出ていく。最後にニコスのウェディングドレスを褒める。ニコスは、ワゴン車を改造して、自分の名前の仕立て屋として出ていく。こうして映画は終わる。

 

静かな作りの作品で、独り立ちしていく成長の物語という感じです。良い映画だと思いますが、オルガやヴィクトリアと確執が生まれただけでエンディングというにはちょっと寂しいです。

 

「スペース・プレイヤーズ」

バスケットボールのスーパースターレブロン・ジェームズとアニメを交えた映像エンタメという感じで、これという中身もなく、賑やかな遊びを楽しむという感じで面白かった。監督はマルコム・D・リー。

 

幼い頃のレブロンが、ゲームがやりたくてもできないまま、やがてバスケットボールのスーパースターになっていくオープニングから始まる。結婚して子供もできたレブロンだが、息子たちにもバスケットボールを半ば強要するようにやらせていた。ゲームを自分で作るほどゲームオタクの次男ドミニクはそんな父に反抗的だった。

 

ある時、父に連れられワーナーブラザーズの企画会議に出席したドミニクはそこでワーナー3000というアルゴリズムに飲み込まれる。そこでゲームのキャラクターとして活躍できることになったが、実はアルゴリズムは悪人で、リアルのスターを取り込んで楽しもうとしていた。息子を取り戻すためにレブロンらもゲームの中に入り、ドミニク中心のアルゴリズムのチームに勝たないと一生ゲームの世界に取り込まれることになる。

 

ドミニクチームとレブロンチームの戦いが始まるが、レブロンが集めたメンバーはルーニーチューンのアニメたちで全く歯が立たない。前半が終わり、作戦を変えたレブロンチームは同点まで追いつく。最後の戦いで、ドミニクはアルゴリズムの悪事に気が付き、父レブロンへの想いを思い出し、レブロンチームに代わる。そして最後の最後でアルゴリズムチームを倒して大団円。ドミニクの気持ちをやっと理解したレブロンがドミニクにゲーム合宿を認めてやってエンディング。

 

ワーナーブラザーズのアニメキャラや映画のスターたちが次々登場する楽しみが見所の一本。普通の娯楽映画でした。

 

「モンタナの目撃者」

少々お話は雑ですが、普通に面白いサスペンスでした。悪役が非情なくらいに強いのが功を奏してるし、主人公側もそれなりに頭がいいので見ていて飽きてきません。物語の発端の肝心の汚職事件の部分は結局わからないままですが、あくまでネタとしての登場で済ませたのも良かったかもしれません。監督はテイラー・シェリダン

 

山火事消火のパラシュート部隊のハンナは、昨年の消化活動で風を誤り部下をはじめ犠牲者を出したことの後悔から監視塔勤務に変わっていた。カットが変わり、ある地方検事の家に二人の男がやってくる。まもなくして出てくるが、家は大爆発する。地方検事が暴いた汚職事件を揉み消しすために殺し屋ジャックとパトリックが派遣されたのだ。もう一人、この事件に関わったオゥエンは、身の危険を感じ、息子のコナーを連れて脱出、森でサバイバルキャンプ場を営むイーサンとアリソン夫妻のところへ向かうが途中で殺し屋たちに襲われ、コナーは逃げたがオゥエンは殺されてしまう。コナーは父から汚職事件の証拠になるメモを預かっていた。たまたま通りかかった女性が殺し屋に殺され、それを通りかかったジャックが見つけ、コナーを探し始める。

 

殺し屋二人はアリソンが一人留守番をしているキャンプ場へくるがアリソンに返り討ちにあい、アリソンはその場を脱出。しかし、アリソンからの連絡で駆けつけたイーサンが捕まってしまう。一方、川に沿って逃げていたコナーはハンナと出会う。ハンナは事情を察し、危険を感じたので、すぐに街へ向かう。落雷で監視塔の無線が使えず連絡ができなかっていたからだ。しかし、殺し屋がカモフラージュに仕掛けた山火事が広がり、ハンナたちは監視塔に戻らざるを得なくなる。監視塔にいれば、山火事があるのに連絡がないことで誰かが来ると察したのだ。

 

殺し屋はイーサンを利用してコナー捜索に向かい、やがて監視塔にやってくる。イーサンが塔内に上がってきたが、あらかじめジャックたちが殺し屋だとコナーが確認していたのでハンナたちは隠れていた。イーサンは危険を知らせるが、イーサンが喋っているのを見た殺し屋は一斉に塔を銃撃、イーサンはその場に倒れるがハンナたちは逃げる。

 

ジャックはアリソンに火傷を負わされ動きにくいのでパトリック一人がハンナたちを追うが、イーサンのGPSで駆けつけたアリソンがジャックを倒す。そして塔に駆け上がりイーサンを見つける。一方、ハンナたちは山火事が迫ってくる方向へ逃げていた。追ってきたパトリックをハンナは斧で殴り殺し、コナーと二人で川に飛び込み山火事から逃れる。

 

火事が通り過ぎ、アリソンたちは発見されるが、イーサンは事切れていた。そこへハンナたちも戻ってきて、救出される。コナーの預かっていたメモはマスコミを呼んで取材させて映画は終わっていく。

 

結局どんな汚職?ということですが、それはどうでもいい仕上がりです。冒頭にハンナのトラウマの解決はコナーを助けたことで立ち直った感じで、ジャックが話していた黒幕らしい大男は何者か不明のまま。まあ、アクション場面だけをシンプルに作り上げた脚本は良かったと思います。普通に楽しめるサスペンス映画でした。