くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「返校 言葉が消えた日」「サイコ・ゴアマン」

「返校 言葉が消えた日」ファン、ウェイ

ホラー映画ですが、1962年ごろの台湾国民党時代の白色テロ時代の恐怖を描いた作品で、単純な化け物映画でもありません。ただ、少し作り込みすぎたというか凝りすぎた感じで、お話は至ってシンプルなのにそれに至る怖さを描こうと力が入りすぎた感じで、終盤さすがの疲れてきました。ハイレベルのホラーという感じの映画でした。監督はジョン・スー。

 

1962年、共産党員を密告したり相互監視が奨励されていた恐怖政治の時代の声が街に流れておるところから映画は始まる。高校に整列して登校してくる学生達の場面、迎えているにはバイ教官で、彼が学校の中でも権力を握っている。ひとりの生徒が止められカバンを開けるように言われるが駆けつけたウェイがうまくかわす。カバンの中には発禁本が隠されている。それをさりげなく見つめるファンという女生徒。

 

ウェイらは、備品室に集まって発禁本を移したり朗読したりしていた。顧問はチャン先生とイン先生。しかし、ある朝礼の朝、ホアン先生が憲兵に連れられていく。チャン先生らは、安全のために発禁本を隠す。画面が変わるとウェイは拷問を受けている。その果てに気を失う。一方、ファンは教室で眠ってしまう。

 

ファンが目が覚めると学校は荒れ放題で誰もいない。彷徨っているとウェイに会い、彼と二人で脱出を試みるが、足の長い提灯を持った化け物が襲ってくる。これは当時の圧政者のイメージかと思います。実は、発禁本のことをバイ教官に告げ口した人間がいるらしく、物語はその犯人を探しながら、様々な学校での物語が描かれていきます。

 

ファンの父親は政府の役人ですが、母は何やら宗教に凝っていて家族を顧みていない。どうやら母とバイ教官は愛人関係であるかのような描写もある。一方ファンはチャン先生と付き合っていて、そのことはイン先生も感づいている。ファンはイン先生に嫉妬していてチャンとインは別れればいいと考えている。そんな頃、帳簿の不正が見つかってファンの父は逮捕される。実力者でもあるバイ教官にチャン先生から預かっていた本のことをファンは話したらしい。

 

ウェイは、逮捕され、発禁本のことで拷問を受けていたが、チャン先生も入獄され、いずれ未来には自由があるから生きることを選ぶようにと告げる。ウェイは裏切り行為になるが生きるために全てを話す。

 

時がたち現代、ウェイはチャン先生が最後に託したことがあった。それは描きしてある発禁本の中の手紙をファンに渡してほしいというものだった。かつての高校はマンションに生まれ変わるべく取り壊されようとしていた。ウェイは学校を訪れ、手紙をファンの霊に届けてやる。ファンはその手紙を開くと、「今は一緒になれないが、次の世界では一緒になろう」という内容の文章がしたたまれていた。こうして映画は終わる。

 

学校に閉じ込められたファンの霊が解放されるさまを、白色テロ事件時代の圧政への恐怖をホラーに見立てて描いたラブストーリーという感じの作品ですが、様々な人物の裏切り行為を疑心暗鬼に進んでいくストーリーと、過去と現代、空間を縦横無尽に飛び回る構成は、ちょっと凝りすぎな気がします。前半の、悪夢、という場面は完全なホラー仕立て、後半の、密告者、の部分はミステリー仕立てとかなり盛り込んだ客品になっている上に、映像もそれなりにクオリティが高いので、終盤は少ししんどかったです。でも金馬奨5部門受賞は納得のいく作品でした。

 

「サイコ・ゴアマン」

呆れるほどに適当感満載のやりたい放題映画。日本のコスチューム戦隊ものの方が幾分かレベルが高いんじゃないかというクオリティの映画ですが、こんな適当な映画をお金払って見にきている自分を褒めたくなって楽しんでしまいました。監督はスティーブン・コスタンスキ。

 

かつて、ガイガックスという惑星の極悪宇宙人は、宇宙を席巻して大暴れしていた。しかし、テンプル騎士団という異星人達が彼を封じ込めたというテロップから映画は始まる。庭でルークとミミの兄妹がクレイジーボールという訳のわからないゲームで遊んでいる。クソがつくほど生意気な妹ミミは兄ルークを何かにつけ罵倒している。今回もゲームに勝ったミミはルークに庭に穴を掘らせるが、そこで、赤く光るものを発見、それを拾い上げる。その夜、近所の廃工場でたむろしていた犯罪者達の前に異様な姿の化け物が現れ、犯罪者達を惨殺する。

 

翌朝、その穴には何やら足跡と爪痕があったが、ミミらの両親は適当に考えて埋めることに。ミミとルークはその足跡が廃工場に続いているので、それを辿って行って化け物に出会う。一生懸命自分のことをアピールする化け物だが、そんなことは関係なく、適当に受け答えするミミたち。化け物が襲おうとするが何故かミミが叫ぶと動けなくなる。ミミが掘り起こした宝石はその化け物の力の源でもあり、宝石を持つもののいうことを聞かなければならなくなるものだった。て、なんやねん。(笑)

 

ミミ達は化け物にサイコ・ゴアマンと名付け、家来のように引き連れ始める。そんな頃、テンプル騎士団のエイリアン達はサイコ・ゴアマンを倒すべくパンドラというリーダーが地球に派遣される。パンドラは人間に化けてミミの家族のところに現れる。その頃、サイコ・ゴアマンは仲間のエイリアンを呼び寄せたが、全然従わないのでそいつらをやっつけるが、最後にサイコ・ゴアマンが食べてしまったエイリアンの体にサイコ・ゴアマンの弱点が埋められていてサイコ・ゴアマンは動けなくなる。この展開の説明がよくわからなかった。

 

パンドラは、サイコ・ゴアマンが弱っている間に倒そうと、ミミの母親を味方にしてサイコ・ゴアマンのところへやってくる。かねてから生意気な妹に仕返ししてやろうと思っていたルークは妹の持つ宝石を奪ってパンドラに味方していた。しかし突然、ミミがみんなでクレイジーボールゲームをしようと言い出し、何故かみんな始める。そしてミミが勝ち、宝石はサイコ・ゴアマンに戻り、力を取り戻したサイコ・ゴアマンはパンドラを倒してしまう。ミミの母も、パンドラのやり方に納得せず、ミミを助けたりする。もう無茶苦茶。

 

パンドラを倒したサイコ・ゴアマンは、宝石よりもっと力強いものを見つけた。それは愛だ。といって、ミミ達家族と仲直りし、別世界を滅ぼすために出かけていく。最強のパンドラが敗れたことで失望したテンプル騎士団は、いずれやってくるサイコ・ゴアマンを恐れ、自殺する決意をして映画は終わる。

 

いつのまにか、正義の筈のパンドラが悪者になるし、普通にスプラッターで人間を潰すし、ラストのいきなりゲームをする流れは笑ってしまった。コスチュームもちゃちやし、お話も脈絡がバラバラやし、突然別キャラクターが出てきたり、ルークの友達が脳の化け物にされても普通にご飯食べるし、もう遊びまわる映画という感じです。ここまで好き放題にやって、入場料取ろうというのはあっぱれです。そんな映画でした。