くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ミスター・ガラス」

不思議ワールドはいつものことですが、一時の形而上学的な不思議感、シュール感がちょっと失せて俗っぽくなった感じのⅯ・ナイト・シャマラン監督作品でした。

 

ひとりの坊主頭の男が、女たちを拉致し「ピーナッツバターはどうのこうの」というセリフから映画が始まり、リズミカルな音楽とともに夜の街、一人の男が、とびかかってきた若者になぎ倒される。その様子をカメラに撮り、ネットに拡散して楽しむ姿。

 

その若者たちの部屋に、カッパを着た謎の男が現れ、彼らを倒し姿をくらます。彼はデヴィッド。正義を果たすヒーローとして出没する謎の男で有名な人物だった。彼の息子が、彼をサポートしている。

 

デヴィッドは、手に触れた人物の心の背景が見える。四人の女子学生が拉致された事件の犯人を捜して人込みを歩いていた。そして一人の男に触れたとき、彼が犯人と認識し、拉致された女性四人を助けに行く。そこに現れたのは、ビーストという獣のような男。冒頭での坊主頭の男ケヴィンが獣の人格に変身した姿だった。彼は24の人格を持っていた。

 

死闘の末、二人は警察に麻酔フラッシュを浴びせられ精神病院に収容されてしまう。担当している医師エリーは、ヒーローと思い込んでいるデヴィッドたちを普通の姿にしようと研究していた。しかもこの病院には、天才的な頭脳を持つが、生まれて94回骨折した壊れやすい男イライジャも入院していた。

 

一見、古臭いほどの頭の固いエリーが、三人に執拗にヒーローと思い込んでいるのは妄想だと繰り返す場面が、違和感ありあり。そして、ここに、イライジャの母、ケヴィンが拉致していたが、なぜかケヴィンに心惹かれるケイシー、デヴィッドの息子ジョセフも絡んでくる。

 

実は、イライジャにはある計画があり、自分たち特異な才能のある人間が、世の中に存在することを世間に明確に認識させようとしていた。そして、まんまと部屋を脱出、体の弱い自分のサポートにイライジャを巻き込み、デヴィッドとの対決を試みる。

 

エリーは警察の特殊班に彼らの弱点を伝え、獣からケヴィンに変わった瞬間にケヴィンを射殺させ、水に弱いデヴィッドは、水溜りに顔を押し付けて警官に殺させ、ケヴィンの父を殺したのは実はイライジャで、イライジャが、列車事故を起こさせ、デヴィッドとケヴィンを作りだしたことがわかり、ケヴィンはイライジャを突き飛ばし、体を壊す。

 

三人がそれぞれ、死んでしまうが、エリーはこのことを隠ぺいしようとビデオ映像を消そうとするが、実はイライジャがダウンロードしていて、それが世界に流れ、世界中には彼らのような特殊な人類がいること、そしてそんな人たちが、自覚を持つことを促す。その様子をイライジャの母、ジョセフ、ケイシーが見つめる中映画が終わる。実はエリーはデヴィッドら特殊人類を抹殺する集団にメンバーだった。

 

かなり無理があるストーリーで、従来のような、ただ訳が分からないつくりではなく、ただ、つじつまが古臭いだけに終始した作品でした。面白い以前に、どこか脚本がおかしいので入り込めない瞬間が多々ある。エリーのキャラクターが医者に見えないし、組織の姿がはっきりしない。ケヴィンの人物像も通り一遍で、ああいう風になるほどのトラウマも見えない。これまでの作品の続編的な色合いであるそうですが、さすがに甘すぎる物語だった気がします