くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アラビアのロレンス」(完全版)「縞の背広の親分衆」

アラビアのロレンス

何回見たことか、さすがにこれは映画史に残る至宝だなと思います。よくもまあこんな映画を作ろうとしたものだと改めて感動してしまう。監督はデビッド・リーン。

 

今更物語を語るものではないですが、砂漠の威容をスクリーン全体に描き出し、しかも美しい。おそらく、何度も何日もそのタイミングを待ったのでしょう。今やそんな贅沢ができることはないしする人もいない。だからこそ本物の映像が観れるのです。

 

アカバ攻略までの前半はとにかくダイナミックで砂漠の威容とスペクタクル場面が続き、後半ダマスカスでの国民会議を中心とした部分は、ロレンスが人間的な弱さで壊れていく様をまざまざと見せる。後半は明らかにスペクタクルシーンが減るにもかかわらず、前半同様、退屈しないし時間の長さを感じない。これこそ脚本の優れた部分、演出の卓越したゆえと言える。

全体に隙間なく物語も映像も映画になっている。これが本物。これが名作です。

 

「縞の背広の親分衆」

その場その場で脚本を書きながら進めたという軽いタッチのコメディで、悪く言えば茶番劇を見せられているような作品です。監督は川島雄三

 

南米から15年ぶりに守野というヤクザものが日本に戻ってくる。彼が厄介になっているのは大鳥組という昔ながらのヤクザ。時に高速道路が建設され大鳥組の守り神のような祠を巡って、新興ヤクザとの諍いが起こっている。

 

物語は、ヤクザ同士のドタバタ劇が、明らかに適当に付け加えていったかのエピソードを挟みながらノリだけで展開していく。芸達者が揃ってこその一本で、たわいもないと言えばたわいもないが、川島雄三ならではの都会的な感性が見え隠れするのも確か。まあ、これも川島作品という一本でした。