くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「新女賭博師壺くれ肌」「女賭博師乗り込む」「女の賭場」

kurawan2017-11-27

「新女賭博師壺ぐれ肌」
わかりやすい。気持ちが良いほどに単純明快な勧善懲悪の世界観。映画はこれが基本だなと思います。しかも、それなりにしっかりと脚本ができているので、雑さもないのが良いです。監督は三隅研次江波杏子出世作のシリーズ最終作です。

今更お話を書く必要もない。壺振りで名を馳せた主人公が、賭場での出来事に絡めて、女としての部分も垣間見せる人情物語。

ただただ、わかりやすく、しかも、クライマックスの斬り合いシーンは、ガラスをマジックミラーのように使って、庭での斬り合いと廊下での斬り合いを重ねる演出が眼を見張るほどに美しかった。これが映画全盛期の娯楽。楽しい。


「女賭博師乗り込む」
こちらもわかりやすい一本。江波杏子の人気シリーズの中盤ごろの作品で、例によって主人公昇り竜のお銀が壺振りの冴えを見せるという見せ場の中に織り込まれるヤクザ者同士の縄張り争いが絡む。監督は田中重雄。

これもまた物語というものはたわいのない展開で、江波杏子始め脇役の面白さがストーリーを牽引して行く。

母の死によって、芸妓の道に戻る主人公が、その中で織りなす人情ドラマから再び壺振りに戻って行く。最初から悪者はだれで、主人公は正義という勧善懲悪を鮮明にした絵作りで、江波杏子の正面に凛と見据えるシーンが見せ場になる。

これもまた娯楽映画の王道のような一本でした。


「女の賭場」
江波杏子の女賭博師シリーズの一作目になった作品で、ある意味独立した一本である。主人公が女賭博師として乗り出すまでの人間ドラマとして、普通の映画と言える。でもわかりやすさは同様で、素直に楽しめる。監督は田中重雄である。

ベテランの胴師で有る父が、いかさまを疑われ、その責任で死んでしまう。実はそれには裏があったのだが、堅気になっていた娘が、その復讐のために再度賭博師となって行く様を描く。

これもまたわかりやすい勧善懲悪の世界。ただそれだけで、何のこともない物語ですが、そのストレートさがとっても楽しい一本。シリーズ化されるのもわかる映画だった。