すごい!
チャウ・シンチー監督というのはものすごい才能ですね。
「少林サッカー」の時もそうでしたが、とにかく徹底した娯楽指向の映像を展開するのです。
今回の「カンフーハッスル」その才能がさらにパワーアップして爆発しています。
にもかかわらず細かい描写や演出も散りばめられて、作品としての完成度がさらにアップしています。
冒頭、蝶が舞うシーンに始まって、軽快なテンポのテーマ曲と共に物々しいタイトルが現れる。
そして、カメラはまるでヒッチコックを思わせるようなワンシーンワンカットのように長回しで警察内部を移動したかと思うといきなりバーンと投げられるシーン。
そして次の瞬間には派手なカンフーシーンへと物語は一気に観客を引き込んでいきます。
一方、舞台となる貧民窟、そこに登場するチャウ・シンチー扮する主人公。いきなり、「少林サッカー」を思わせるお遊び。
そして、ふざけたシーンを挿入して、次の本編の物語の導入を促す。
本編に入ってからも、随所に過去の主人公の生い立ちや、作品のテーマになる物語を織り込んで、一方でこの貧民窟を破壊しようとする刺客たちが次々と貧民窟から現れるカンフーの達人に翻弄され、終わったかと思うとまた、意外な人物がカンフーの達人として登場。
もう楽しくて楽しくて息もつかせません。
そんな娯楽的な物語の合間に主人公の本来の姿を演出し、ラストに向かっての伏線をしっかりと張っています。
そしてクライマックスとなると、いままで重ね合わせてきた細かいシーンの数々が一気に一つにまとまり、すべてが一本の線につながって、大団円を迎えます。
その見事なこと。CGがばかげたシーンを次から次と作り出していくにもかかわらず、それがあり得ないはずなのに当然のように見てしまう。このさりげなくも土派手な演出がたまりません。
それにしても、チャウ・シンチー監督は本当にブルース・リーが好きなのだなぁと感心しました。
ブルース・リーは自ら足への攻撃を中心とする格闘技を編み出しました。それが、前作「少林サッカー」同様、今回の作品でも執拗に主人公は足への攻撃場面を作ります。
ラストシーンでチャウ・シンチーが着る服はブルース・リーが好んで着たカンフースタイルですよ。
本当にチャウ・シンチーの大ファンになってしまいました。
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